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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン学院

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113/389

帝国との国境紛争

前回のあらすじ

ワドは子供達からの要望がキッカケで、マラソン大会を思いつきます。

それを国民に強要しましたが、どうも理解が得られませんでした。

そして、どうやら敵襲があったようです。

 敵襲はメイジー王国側からやってきた。


「報奨金の300億カロリは俺らのもんだ!」

「国民を手当たり次第にヤッちまえ!」

「若い女は残しとけよ?」


 ガトーの力で、超遠距離から声を拾う。

 見た覚えがある鎧で、以前、僕の住処に侵入した奴らと同じだった。

 僕とガトーは、すぐにルクルと合流する。


「ね、ルクル。彼らはメイジー王国から来たけど、ザグエリ王国騎士団だよね?」

「んー?いんやー、あれはカービル帝国がザグエリ王国を偽装した集団だよー」

「ほほぅ、なんで分かるんだにゃん?」


 僕とガトーはルクルに質問を浴びせた。ルクルは頭をガシガシとかきながら答える。


「そりゃー、メコソンさんから情報提供があったからだよー」

「どして?彼はスパイでしょ?」

「なぬ?スパイだったのかにゃん?」

「あー、もうめんどくせーなー。全部説明するから、伝心で読み取りなよー」


 僕とガトーは【伝心】でメコソン元兵士長の情報を読み取った。


「二重スパイ……」

「なんかカッコイイから吾輩にも一枚噛ませろにゃん!」

「ガトーは別の専用特務部隊の隊長をやってもらうかなー」

「お!そっちのが吾輩向きだにゃん!」


 ガトーがまたも特撮ポーズを決めている。

 それにしても、ルクルはガトーのあしらい方が、めちゃ慣れて来ているね。好みとかもう全部が筒抜けな気がするよ。

 飴と鞭の、鞭が怖いな。僕も気を付けなきゃ。


「でも、なんでよりによってマラソン大会の日なんだよ!僕、とても楽しみにしてたのに!」

「マラソン大会をしたから、仕掛けて来たんだよー」

「え?」

「どう言う事だにゃん?」


 ルクルから、マラソン大会が狙われた経緯を、説明して貰った。理由はこうだ。



・メコソン元兵士長から大会実施を連絡。

・全員参加の理由や警備体制の問い合わせ。

・巻き込まれ回避でダフ村から離れる指示。


「どうしてマラソン大会の情報を流したのさ!」

「そりゃー、メコソンさんがちゃーんとスパイ業務をしてるとカービルに分からせるためさー」

「流さなくてもいいでしょ!?」


 あ、今、ルクルが僕の事を鼻で笑ったな!二重スパイなんだから、都合が悪い情報は伏せればいいじゃんか!なんだよ、もう!

 ルクルがビッと3本の指を突きつけた。


・1、メコソンさんがスパイとして有益であり『継続利用が望ましい』と思わせる必要がある。

・2、そうしないと、メコソンさんの家族が危険に晒される。

・3、どのみち仕掛けてくるので、タイミングを掴みやすい方が望ましい。


「大まかな理由はそんなとこー」


 な、なるほど。家族が人質だったっけ?

 人質をさっさと解放しないのはなんで?

 しかも、仕掛けてくるって分かっていたの?

 僕は矢継ぎ早に質問を投げかけた。ガトーは飽きたのか、ホバーバイクに乗って遊んでいる。


「メコソンさんの身分偽装を続けるためにも、スパイとしての楔の人質は解放できないのー」

「なら、二重スパイをやめてもらって、家族ごと避難してもらおうよ!」

「それじゃ、情報戦で後手引くじゃんー?」


 敵なんか大した事は無いんだし、後手を引いて何がダメなのか分かんない。でも、ルクルは情報を大事にしているから、僕の気持ちに寄り添うとは思えない。


「仕掛けてくるのが確定してるから、情報はあったほうがいいのー」

「なんで仕掛けてくるの分かったん!?」

「そんなん、最初からだよー」

「僕、分かんないんだけど?」


 僕が説明を求めていると、ガトーから返事があった。ホバーバイクが僕の横にピタリと停まる。


「そんなもん当然だろにゃん?スパイ送りこんだ時点で『ちょっかいかけます』って宣言してるだろにゃん?」

「あーーー!」

「ワドは、マジで分かってなかったんかー」


 あーーー!2人から鼻で笑われたよ!


「カービル帝国は、ポロッサ村の接収が不愉快なんだよー。でもさー、表立って敵対はしたくないのよー。ここまでOK?」

「う、うん。大丈夫。分かるよ!」

「ザグエリ王国騎士団の撃退に関しては、騎士団が沈黙を守ってるのねー」


 沈黙?なんか分からなくなったぞ?


「なんで沈黙?それが何故カービルに?」

「リゼの秘密強要を覚えてないんー?」

「あーーー!あの『アッーーー!』な卑猥映像!」

「そ、なのでワド以外の戦闘力はバレてないのー」


 そもそも戦闘力を測る魔術具が無いから、戦闘力は分かんないんじゃ?


「んで、捨て駒の偽装兵でちょっかいかけて、戦力を測ろうとしてんのー」

「だから、ザグエリ王国騎士団の装備なのか!」

「そゆことー」


 んんん?なんでザグエリ王国から侵入じゃなくて、メイジー王国側から侵入なんだろ?


「なんで、メイジー王国側から来たん?説明モトム!」

「警備をわざと薄くしといたのもあるけどさー、実質的にメイジーからしか無理なんー」

「何故だにゃん?それ吾輩もわからにゃん」


 ガトーのにゃんスキルが2上昇したにゃん。


「カービルだとバレたく無いから、ザグエリかメイジーになるのはわかるー?」

「さ、流石に僕をバカにし過ぎかな?17歳も怒ると、ドスが効いた声で怖いのよ?」

「ごめんごめん。ストローの噂は覚えてるー?」


 どこがどこに攻めるのか、ごちゃついていて僕はあんまり覚えていない。

 でも、ここは知ったかで押し切るよ!(ドヤァ)


「勿論!バッチリね!」

「吾輩も分かったぞにゃん!攻め込む情報があるからザグエリとカービルは緊張関係なんだろにゃん?」

「え?」

「そうだよー、ガトーは察しがいいねー」


(僕って、ガトーより察しが悪いの!?ヤダ!僕の偏差値低すぎ!)


 ルクルが全体像を説明し始めた。

 僕の国は、メイジー、ザグエリ、カービルのみに隣接していて、いずれかの陸路でしか入れない。

 僕の強さを調べ上げたカービルとしては、所属を隠し、明確な敵対は避けたい筈。誘導する為、メイジー側だけわざと防衛を手薄にしたと言う。

 ストローが各地で撒いた噂のせいで、疑心暗鬼に陥ったザグエリとカービルは、極端な警戒体制に入っている。武装した集団が、ザグエリを経由して攻め入るのは難しいという話だった。


「そういう訳でさー、カービルから大勢でザグエリに入るの無理だしー、ヘタすりゃ戦争なのー」

「あー、それでメイジーしか選択肢ないのか!」


 ルクルとガトーが僕に生暖かい目を注いでいる。

 ぐぬぬ。カルカンみたいな扱いが屈辱だよ。


「こ、国民に伝えなくていいの!?」

「要らないでしょー?ジャックさんから聞いた情報だと、200~300人程度らしいしー?」

「でもさ……」


 ルクルは人差し指を立てて横に振る。


「チッチッチッ。エリーゼ将軍の初陣だよー?敵が何秒持つか賭けようかー」


 ルクルが賭けを提案し、ガトーはホバーバイクから降りて本腰を入れている。やる気マンマンだよ。


「いいだろうにゃん。で、一番正解に近かったらご褒美はなんだにゃん?」

「君らが勝ったら、スイーツ食べ放題と1日自由時間を与えるよー」

「お、それは良いにゃん!」

「ちょっと待ったーーー!ルクルが勝ったら?」


 ルクルはニヤニヤしながら、優しい口調で語り掛けてくる。絶対にヤバいやつだコレ!


「不足してる最高品質の、マナ鉱石を提供してもらうよー」

「なんだそれなら余裕だにゃん!」

「そだね。それなら大丈夫かなぁ?」


 何か嫌な予感がするけど、内容は日常業務の範囲だから問題ない。僕も賭けに参加する事にした。


「僕は3分くらいかなーと、思うかな?」

「吾輩は1分に賭けるぞにゃん!」

「2人ともファイナルアンサー?」


 ルクルが黒い笑顔で最終確認をする。


「うん」

「うむにゃん!」

「俺は5秒に賭けるよー」


(ふぁ!?流石に5秒は無理だよ?)


「フハハ!ワド、これは勝ったな。もうスイーツの事を検討しようぜにゃん!」

「ガトー!ダメだよ、そんなフラグ発言したら!ルクルが根拠なくこんな事いわないし」

「む、確かに……にゃん」

「んー、カジノ作るのもいいかもねー。いっぱい儲かりそうだよー」


 ルクルが黒い笑顔でご機嫌だ。ヤバい。3分はかからない可能性が高過ぎるよ!

 そうして、待ちに待ったエリーゼ将軍の初陣だよ!


「不届き者は万死ですわ!真空衝撃波!」


 天地を引き裂くような轟音が鳴り響き、数キロに渡って地形が変わり果てた。まるでそこだけ大地が、巨大なアイスクリームディッシャーでくり抜かれたかの様だった。そして誰も居ない。赤く染まった大地だけが、彼らが居た証拠だ。


「わたくし、ワールドン様の敵は全力で駆除しますわ!天誅ですわ!」


 タイムは4.40秒だった。

 なんなのあの緑のガントレット?去年と比べ物にならない威力なんですけど?

 ほんとに人族?僕らのドラゴン咆哮クラスの威力に迫っているんですけど?


「なんだあれは?人族の強さじゃないぞ?」

「ガトー、驚きのあまりに語尾忘れてるよ?トスィーテちゃんに怒られるよ?」

「あぁ!しまったぞにゃん!」


 ガトーは慌てて両手を口に当てていた。


「それにしても凄いガントレットだね?」

「1000倍に引き上げるんだぞにゃん。でも、人の拳圧なんてたかが知れてるだろにゃん?」

「あー、進化もしてるし、白が力を与えたんだって」

「な、なるほどにゃん」


 僕も動揺を隠せなかった。正直言って過剰戦力だ。エリーゼならザグエリ王都を全壊させられるね。

 そこにニヤニヤしたルクルが、僕らの顔を至近距離で覗き込んで来た。


「お楽しみの所、悪いけどさー、俺が賭けの勝者なんだよねー」

「ん?あぁ最高品質のマナ鉱石だったな……すぐに用意するにゃん」

「ほんとー!助かるよー!じゃあ、赤と青と銀の最高品質のマナ鉱石をよろしくー」

「「な、なんだってー!」」


 おどけた素振りで、肩を竦めるルクル。


「俺はさー、不足してる(・・・・・)最高品質のマナ鉱石ってちゃーんと言ったよねー?」

「「あ!」」


 や、やられた。だからなんか嫌な予感したのにぃ!ガトーが安易に賭けに乗ったのが悪いんだ!僕、悪くない!


「ワドが一番大きく外したから、2種類ねー、ガトーが1種類でよろー」



 シクシク……(チラッ)……シクシク……(チラッ)


「そんなあざとい演技じゃダメだよー」



 許して貰えなかったよ。



白の力は瞬間的にしか引き出せない為、エリーゼは長距離走より短距離走の方が得意です。

ちなみに50m走なら約0.1秒で走れるので、音が遅れてやってきますよ。


次回は「ドラゴン捜索クエスト」です。

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 お邪魔しています。  国を作ったら、やっぱり敵国の心配をしないとダメなんですね。ルクルの作戦もとっても緻密でいいと思いますが、エリーゼの破壊力だけでこんなに威力があるなら、ワド君やガトー君がちょっと…
[良い点] 天変地異だ…!怖w [一言] 詐欺というか最早イリュージョンですね!
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