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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン学院

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建国初の新年祭

前回のあらすじ

新年祭までに色んな事を間に合わせる為に、国民総出でブラック社畜として頑張ったワド達。

ドラゴン学園の校舎と寮を、遠足中に一新するサプライズを間に合わせました。

「「「すげー!」」」


 遠足から戻ってきた子供達が、新しい学院校舎と寮を見て大興奮していた。

 既に中に入って駆け回っているよ。ガトーも子供達と仲良くなったみたいで、一緒にはしゃいでいる。ポポロとテトサも、激変した国の様子に驚いていた。


(ドッキリ大成功だね!)


 それはそうと、別の意味で興奮している人もいるね。


「先生!このお土産は、本当に素晴らしいですー!俺、一生先生についていくよー!」

「ほほほ、師匠から聞いていたホップに近かったので、現地で交渉して大量に手に入れました」

「それはなんですにゃ?」


 ホップという言葉に反応したカルカンが、会話に割って入ってきた。


「これはねー、ほぼシムコーなんだよー!」

「シムコーってなんにゃ?」

「旨いビールが造れるという事ですよ、カルカン君」

「カール先生、それ本当にゃ!?」


 あのビール大好きの馬鹿共はどうしようもないね。ヴェストまで参加したよ。


「師匠の先生は、我が先生も同然です!カール先生!先生と呼ばせて下さい!」


 逆じゃね?和菓子も同然だろ?あれ?でもルクルもカール先生を慕っているんだよな?

 疑問に思った事を口にしてみた。


「ねぇ、ルクルにカール先生さ、師匠と先生はどっちが上なの?」

「勿論、先生だよー!」

「勿論、師匠ですぞ!」


 先生の師匠の先生の師匠の……ってループするじゃん!もうほっとこ。

 そっと彼らから距離を取ったら、マイティが近寄ってきて小声で質問してきた。


「ワールドン様、お決まりになりましたか?」

「うーん、まだなんだ……」

「今日の夜までにお決め下さいませ」


 困った。新年初日は一回しか無い訳で、エリーゼとリゼは相手に譲り合って、引かない状態らしいんだ。

 それで僕に「どちらと過ごしたいか決めて」という話になったの。

 僕は両方と過ごしたいから、とても迷っているんだ。邪魔して悪い気もするけど、ルクルに【伝心】(    )して相談したよ。


『ルクル、相談にのって欲しい』

『うわぁーー!いきなり伝心すんなー!ビックリするだろー?』

『悪いとは思ってる。でも、相談を聞いてほしい』

『……聞くよ』


 僕は事の経緯を、真剣に説明した。


『簡単じゃんかー』

『簡単?』

『両方と過ごせばいいよー』

『僕、真剣に相談してるんだけど!』

『分かってるよー。だからさー……』


 なるほど。確かにそうだ。なんでそんな簡単な事に気付かなかったんだろう?やっぱりルクルに相談して良かった。さっそくマイティに報告に行ったよ。


「マイティ、僕は決めたよ」

「どちらですか?」

「両方と過ごしたい。昼の部をエリーゼ、夜の部をリゼでお願いね」


 マイティは驚いた表情をしていた。でもすぐに納得の表情に変わったよ。


「畏まりました。お嬢様に伝えます」

「所でマイティに聞きたいんだけどさ」

「なんで御座いますか?」

「僕の個人情報についてじっくり、ゆっくり、たっぷり話そうか?」


 僕はマイティの両腕を掴んで逃さない体制だよ。思考を和ホラーガードしているけど、僕にも切り札があるのだよ?


「マイティが正直に教えてくれないとさ、アルにぜ~んぶ伝心で教えちゃうから!」

「~~~っ!分かりました……お話しします」

「洗いざらい全部ね」


(最悪だよ!)


 マイティからの情報流出がハンパじゃなかった!

 人形態で毛にあたる部分の竜鱗を処理して、ツルツルにした後に盗撮したのをボンに見せていた。

 盗撮は、エリーゼ&リゼにしか見せないという約束だって抗議したら「その約束はお嬢様となので私にはありません」って開き直られた。

 信じられない。一番信じていた人に裏切られた。

 僕の盗撮は、エリーゼ&リゼのみ見る事をマイティにも約束させた。


「守らなかったら分かってるね?」

「どうかアルフォート様にだけはご内密にお願い致します」


 ん?アルだけ?ほほぅ……良い言質をとったぞ。

 僕がゲスい表情を浮かべていたら、そこにリッツが話しかけてきたよ。


「シュコー!シュコー!シュコー!」

「うん、分かった。そうするよ」


 最近、【伝心】(    )を使わなくてもリッツの言いたい事が分かるようになった。慣れって怖いね。

 カラオケ大会は、昼の部か夜の部のどちらかにしか出れないんだけど、君主権限で僕だけ例外にして貰うよ。リッツに「両方のお姉ちゃんに歌を届けて!」ってお願いされたからね。


─────────────────────


 そして新年当日を迎えた。


「明けましておめでとう御座いますわ!」

「明けましておめでとう、エリーゼ」

「あけおめことよろにゃん!」

「ことよろ、ガトー」


 日付が変わったタイミングで、起きているのは僕とエリーゼとガトーだけだった。異世界の年越しのタイミングや初日の出の文化はこっちの世界には無い。

 だけど、それを見せたらエリーゼから体験したいっておねだりされた。実はちょっと嬉しかったりする。


 それから朝日の時間まで、ホバーバイクに乗って遊んでいた。

 で、ガトーも専用機を欲しいと言い出した。


(やったね!【2人はブラドラ】の2期決定だよ!円盤じゃなくてホバーバイクの力でね!)


「お、そろそろ初日の出にゃん!晴れて良かったぞにゃん!」

「ワールドン様、ガトー様、湖畔の近くに行きますわ!」

「そだね。行こう。飛ばすよー!」

「吾輩の前を走れると思うなよにゃん!」


 3人で初日の出を見た。ルクルにオススメされた通り、湖畔が陽の光でキラキラ輝いて綺麗だったな。

 エリーゼが大量に撮影していたけど、それ最新型だから光は消えるよ?


 僕らも記念撮影をたくさんした。

 皆が起きる時間になったので、学院の食堂に移動したよ。今年の新年祭は食堂で行うんだ。そして、食堂に国民全員が揃ったよ!


「「「今年の無病息災を祈願して~乾杯!」」」


 皆にルクル特製のビールが配られる。苦いのが苦手な人には、ホットパンチやミードの果汁割りが配られていたよ。


「なんにゃーー!?これうまーーーにゃー!」

「カール先生!ルクル師匠!これめちゃ旨いです!」

「そうだろー、そうだろー」

「師匠は凄いですな。これがシムコーを加えたビールですか!」


 苦いなぁ、でも旨い。僕も手伝わされた。熟成期間短縮のブレスをしたのさ。


「アルフォート!一緒に歌いますわ!」

「姉上、私は夜の部でして……」

「早くするのですわ!全力ですわ!」

「……はい」


 相変わらずエリーゼは強引だな。お、騎士の歌だ。

 エリーゼは歌詞を完全に暗譜している。

 アルは……ってコーラス要員かい!

 しかしいつの間に練習していたのか、めちゃ上手だったな。


「はい、エリーゼ様、アルフォート様ありがとうございました!スコアの方は11万7000!最高点です!」


 司会役のポポロがスコアを読み上げている。

 あのスコアって何基準なんだろ?

 製作者のルクルとカルカンに聞いてみた。


「ね、あのスコアってなんなん?」

「知らないのにゃー、声量や歌声にマナが多いと高いスコアでるのにゃー」

「あれはねー、歌の力を数値化した物だよー」

「マジ!?サウンドブースター起動できるん?」

「いんやー?ただのジョークグッズだねー」


(ふぁ?最高品質のマナ鉱石使って何ジョークグッズなんか作ってんのさ?でも、燃えてきたよ!)


「お次はワールドン様ですね。曲は何にしますか?」

「いらっしゃいませの魔女の歌で」

「畏まりました!」


 間奏部分まで完璧再現の徹底ぶりだよ!


「さてワールドン様のスコアは……凄い!53万です!」


 ふふん、どうだ!やってやったよ!

 エリーゼは狂喜乱舞して喜んでいる。去年の誕生節では披露しなかった新曲だから、興奮して鼻血を出しているよ。

 すると、すっとガトーが立ち上がった。


「吾輩も昼と夜の両方参加するぞにゃん!」

「ガトーは1曲しか歌えないじゃん?」

「夜までにどれか覚えるにゃん!」

「おーっと!ガトー様の飛び入り参加です」

「曲は電車の歌で頼むにゃん!」


 ガトーが大好きな特撮の曲だ。すんごく日本語の発音を頑張っていたからなぁ。渋い声なんでめっちゃ原曲ブレイカーだけど。歌い終わりのポーズも決めているし、気合いが凄いにゃん。


「では、ガトー様のスコアは……おー!ワールドン様と同点の53万です!」

「何だとにゃん!?全くの同点だとにゃん?」


 場が騒然としている。ルクルに質問してみた。


「同じ点数でる確率ってどのくらいあるん?」

「んー?あれカンスト値だからー」

「え?」

「だからさー、『私のスコアは53万です』ってなんかカッコイイじゃんー?」


(く、くだらねー)


 しょうもない理由で、カンスト値が中途半端な値に設定されていたよ。いや、カッコイイから言うけど。

 お昼御飯の時間にエリーゼが挨拶に来た。

 さっきまでは外務大臣として、ココ伯爵達を相手していたみたいだ。


「ワールドン様、本日はわたくしともう一人のわたくしの両方に素敵な時間を頂きありがとうございます」

「うん。楽しめた?」

「はいっ!わたくし御前失礼致しますわ!」


 バターン!


 エリーゼが睡眠薬を飲んで倒れた。マイティがそそくさと回収している。後を追ってみて、部屋に入る所で声を掛ける。


「マイティ、リゼはすぐに起こしちゃダメなの?」

「ワールドン様、お嬢様のお着替えをしなければなりませんので」


 どうやら寝ている間に、基本はマイティが着替えさせるみたい。下着の好みとかが違うのと、リゼが何かやらかしたらしい。着替え終わったリゼが起きて部屋から出てきた。


「おはよ、リゼ」

「リゼね、新年祭をワドと過ごせるの凄く幸せなの」

「新年祭、楽しもうね!」

「……ん!」


(何か凄くリゼがご機嫌だよ?)


 【伝心】(    )でマイティに聞いてみる。


『マイティ、リゼがご機嫌だけど何か知ってる?』

『今回のワールドン様の選択です』

『選択?』

『外交周りの時、お嬢様と2人きりが怖くてリッツをお連れになったでしょう?だからお嬢様は今回も避けられるとお考えでした』

『あ……』



(そっか、リッツを連れて行った事で知らずに傷つけてたのか……ごめんよ)



カンスト値はロマンらしいです。(ルクル談)


次回は「国営の無償学院」です。

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― 新着の感想 ―
 お邪魔いたします。  最後に、リゼさんがほんのり幸せを感じていた場面が、とってもいいですね。何気ないワド君の行動でも、もやもやっと気にするリゼさん、とってもいいです!
[良い点] フリー○w [気になる点] 虚無の女神は知らず知らずの間に裸を他に見られて本人はいいのかな? [一言] マイティ有能ですね〜、あとボン!そこ代われ!
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