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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン内閣府発足

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船舶コンテスト

前回のあらすじ

ルクルはストロー宰相に大俳優への転職を勧めて、無事に彼を取り込みました。

ガトーはあまりのブラック労働環境に文句を言いに行こうとしたら、ワドからゆっくり諭されました。

 僕とガトーは不眠不休で働いていた。


「なぁ、ワド……吾輩……もう限界だぞにゃん」

「たった5日で音を上げないでよね。僕もツライ」


 あれからガトーにはあだ名で呼んで貰っている。

 作業のツラさを誤魔化す話題が欲しくてさ、色々と話をしていたんだよ。ガトーもあだ名を欲しがっていたけど、元々短いから良い案が出なかったんだ。

 そうして僕らが作業をしている所に誰か近寄ってきた。ストローだ。


「ワールドン様、ご挨拶に伺いましたわ」

「ストローは、なんかヤツレたね?」

「ハハハ……ワールドン様の仰る通り、ルクル様は鬼畜ですな~……おっと聞かれてへんよな?」

「吾輩もそう思うぞにゃん。何があったにゃん?」


 ストローがこの5日間の激務を教えてくれたよ。

 演技特訓に加え、アルの負担を減らす為に財務関連の【ダブルチェック】という監査役もやっているってさ。睡眠時間は毎日1時間で、疲労は黄金聖水で強制回復させられる日々との事。


「これから本格的な演技特訓で籠もりますわ。黄金聖水のお蔭で疲れはないんやけど、気持ちがなんか疲れるんですわ……」

「わかりみしか無い(ホロリ)」

「おう!吾輩も分かるぞにゃん!」


 ストローと3人で、ルクル被害者友の会を結成しといた。公にすると危険なのでコッソリとね。


「ここに来たもう一つの理由は『明日は来客対応するように』との伝言を持ってきたんですわ」

「「お!」」


(やったよ……この地獄の作業から開放されるぞ!)


「ほんで……『だから残りの作業を巻きで今日中に終わらすように』との事でしたわ」

「ちょちょちょ!後3日は掛かりそうなのに巻きって?しかも今日中!?」

「吾輩、旅に出る……」

「ちょま!絶対にガトーは逃さないよ!あと語尾を忘れてるぞにゃん!」


(ガトーが居なくなったら僕の作業増えるじゃん!)


 どうやらジャックが僕らの仕事ぶりを観察して、ルクルとボンに報告していたようだ。2人の見解では「お喋りせずに気合いで全力でやれば今日終わる」との事。この労働環境で、お喋りの楽しみまで奪うなんて鬼畜過ぎるでしょー!?


「やるよ……ブラックグリーン

「うむにゃん……ブラックゴールド

「「2人はブラドラ!」」


 僕らは全力ですわ!気合いですわ!で頑張った。なんとか1日で終わったよ。ボンの見立ては凄いなぁ。


 そして久しぶりに部屋へ戻ると、スイーツが大量に用意されていた。

 スイートポテトに焼き芋、パンケーキに……あれはフルーツパフェ!?くっ……これが飴と鞭か。分かっていても抗えないもんだな。


「旨いぞーーーにゃん!止まらないぞにゃん!」

「くぅ~、労働の後の甘い物はやっぱり極上だね!」

「所でなんでワドはびしょ濡れなんだにゃん?」

「ガトー、言葉に気を付けてね。これは『ずぶ濡れ』と表現してね。他はダメだよ?」


 黄金聖水の生成が止まっていたからまた水浸しなの。

 でも食事中だから半身浴みたいな感じで下半身だけが……ハ!?いけないこの表現もアウトだよ!と、とにかく次のお代わりを要求した。


「僕はパフェを7つと、パンケーキを3つお願いね」

「吾輩はパンケーキ6つと、焼き芋を4つ欲しいぞにゃん!」

「……シュコー……」

「なあ、この人族のファッションは変じゃないのかにゃん?」

「シュコー!シュシュコー!」

「わ、悪かったにゃん」


 リッツはファッションセンスを指摘されておカンムリだよ。僕とガトーが2人も揃っているから絶対に脱げませんだってさ。

 ちなみにエリーゼは、外務大臣として来客を迎えに出ているので、マイティと一緒に港町に行っているんだ。

 それにしてもパフェが完成していたとは知らなかったな。うん、美味しい。


「ワールドン様、お客様を応接室にお通ししました。お召し替えをお願い致します」


 港町から戻ったマイティが、部屋に入ってきて僕の着替えを手伝ってくれた。僕は着替え中に、マイティの進展具合を聞いてみたよ。


「マイティ、その後のアルとの進展はどうなん?」

「最近、リゼお嬢様とからかい方が似てきましたね」

「うーんと……」

「ワールドン様!伝心はご勘弁下さいませ。お使いになるのでしたら、お嬢様からお助けしませんよ?」


 使おうとしたら先に釘を刺された。悔しい。

 着替え終わって応接室に向かう。ガトーも付いてきているな。扉を開いた先には、ココ伯爵達とエリーゼがいたよ。


「おぉ!ワールドン様!お久しゅう御座います!素晴らしい国ですな!」

「おぉ!ワールドン様!相変わらずお美しい!再会を心待ちにしておりました!」

「ノサト卿と同じくお美しいと思っておりますぞ!」

「ノヤマ卿と同じく素晴らしい国と感動しました!」

「2人とも元気そうだね。仲良くやってる?」

「「勿論ですぞ!」」


 ルクルの提案で従業員を出向し合うようにしてからは、凄く関係が改善しているとの事だった。


「是非、ルクル殿にも感謝を直接お伝えしたいと考えておりますが……」

「現在は非常にご多忙とお伺いしまして……」

「うーん、多忙なのは事実だけど、船舶コンテストに向かう時は見送りくらい行かせるよ」

「「よろしいので?」」


 僕はコクリと頷いた。すると僕の左手の袖がクイクイっと引かれる。


(あ、ガトーの紹介を忘れてた)


「あ、2人にも紹介するね。こちらガトーだよ。風の一柱でインビジブルドラゴンとも呼ばれてるんだ」

「吾輩がガトーだにゃん!おう、宜しくだにゃん!」

「「ははーーー」」


 2人がガトーに深く頭を下げた。何事?

 エリーゼから【伝心】(    )のサインだ。珍しい。


『エリーゼは何か知ってる?』

『ルクルの指示で、詫び石を贈呈しておりますわ!』

『詫び石?』

『わたくしが説得で大破させてしまった船のお詫びですわ。光と風の最高品質を多数お送りしてますわ!』


 あー、建国直前にガトーから大量にマナ鉱石を貰ったから、その一部を詫び石に使ったのか。いつの間にそんな事してんだろうね?


(僕、聞いてないよ!?)


「おう、なんか感謝されてて嬉しいぞにゃん!ワドがなんかしたのかにゃん?」

「ガトーから貰ったマナ鉱石をお裾分けしたんだ。それでめちゃ感謝されてるみたいよ?」

「お、吾輩のマナ鉱石は人気あるのかよにゃん?」

「「凄く人気ですぞ!」」


 海上では風によって航行速度が全然変わるから、風の最高品質はとても貴重らしい。多分、大量に作るのを強要されるだろうなぁ。主にギルドマスターから。

 そしてそのギルドマスターから伝言があるらしい。


「ルクルからは船舶コンテストを、ドラゴン学院生の遠足に使いたいとの伝言を預かってますわ!」

「「遠足とは?」」


 分かっていないココ伯爵達に遠足の説明をしていたら、カール先生がやってきたよ。


「この度、遠足の引率先生を命じられたカールと申します。どうか宜しくお願い致します」

「おい、吾輩も遠足とやらに行きたいぞにゃん!」

「ええ、ガトー様もご褒美に遠足へとお連れするように伺っておりますよ」


 カール先生がガトーも連れていくと言っている。

 他には生徒から男子8人、女子8人を連れていくらしい。それと研修旅行としてポポロとテトサも行くってさ。


「えと……僕は?」

「ワールドン様は濡れ濡れのお仕事がありますわ!他にも君主のお仕事がありますわ!」

「うぅ……だよね……そうだと思ってた……」


 僕が行くとエリーゼがホーミングしてくるからね。それでトラブル起こしたら元も子もないから、僕がお留守番なのは何となく察してはいたんだ。でもガトーだけってズルい。


「ガトーは生徒じゃないのになんで?」

「ルクル師匠からは生徒の護衛役とコンテストの箔付けを兼ねていると伺っております」

「……なんで師匠呼びなん?」

「あれほどビールに詳しい人は初めてでした。畏敬を込めて師匠と呼ばせて頂いております」


 カール先生とルクルは、ビールの話で意気投合し仲良くなったようで、お互いに尊敬しているらしいよ。

 護衛役はまんまその意味で、箔付けに関しては、僕の代わりに神様が参加するコンテスト……ってのをキープするとの事。僕だって参加したいのにぃ。


「ワド、吾輩が戻ったら伝心で見せてやるからさ、機嫌直せよにゃん?」

「ふん!僕がブラック重機とずぶ濡れ姫やってる間、南の島へバカンスに行くガトーには分からないさ!」

「また手伝ってやるさにゃん……」


 いいんだ。多分、ルクルは僕にもご褒美を用意しているはずなんだ。

 生かさず殺さず飴と鞭を使い続けて、気づけば抜け出せないブラック環境を作るのが上手い鬼畜なのさ!ルクルは!


─────────────────────


 それからあっという間に出発の日になって、幹部全員で見送りにいったよ。

 参加している生徒には移住してきた姉妹達もいた。やっぱりアンはモテているみたいだ。男子からチヤホヤされている。

 ルクルがアンを見ようとすると、必ずリッツかリゼが視界を遮っていたな。ルクルを【伝心】(    )で読み取ると、まだ一度も噂の巨乳を見れていなくて悔しがっているね。


(ぷぷぷw ざまぁ!)


「いってくるね!ワールドン様!リゼお姉ちゃん!」

「おう!ワド、吾輩に護衛は任せろにゃん!」

「ガトー様、近くに来ないで!マナが濃いよ!」

「お、おぅ。すまないな……にゃん」


 ガトーも拒否られてへこんでいるよ。それはそうと隣のカルカンもへこんでorzポーズ中だ。


「どうして……トスィーテの見た目に……しかもあんな残念な仕上がりに……全部ワールドン様が悪いのにゃ!」

「なんでそうなるの!?僕、悪くないよ?」


 それは納得できないぞ?だってトスィーテちゃんの見た目を選んだのはガトーだし?語尾を決める時には、まさかこんな事になるなんて想像も出来なかったし?

 ほら、僕は悪くないぞ!(ドヤァ)


「ワールドン様!師匠!お土産は期待してて下さい」

「ノサト卿と協力して安全な旅をお約束致します!」

「ノヤマ卿と一緒に楽しい旅を盛り上げます!」

「うん、皆をよろしくね!」



 そうして遠足へと出発していったんだ。



ルクル被害者友の会が、秘密裏に結成されました。

カルカンは妹そっくりで残念な姿にめちゃ凹んでいます。

遠足の様子は9章の閑話で予定しています。


8章「ドラゴン内閣府発足」の本編はここまで。

今回の別キャラ視点の閑話は4話予定です。


・エリーゼの筆頭従者のジャック視点

・ガトーの変身バンクに付き合うトスィーテ視点

・ザグエリ王国の宰相ベコウ・ストロー視点

・リゼに女の宣戦布告をしたリッツ視点


となります。


次回はジャック視点の「閑話:獅子の子の片鱗」です。

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金竜と緑竜なのにブラックとはこれ如何に(-ω-;) ああ悲しき黒い労働……………。 ワドとガトーが一緒にお風呂(?)に入ったら聖水がパワーアップするのかな?
 お邪魔しています。  「2人はブラドラ!」って、いいですね。息ぴったり! まさに、戦隊ものかな? なんか重機のようにフル稼働する姿を思いうけべると、「レイバー隊」を思い出しちゃいます。  ご褒美のパ…
[良い点] ルクルえげつない! [気になる点] 揶揄い方←これって、ワザとですかね? (すいません…自分、揶揄の仕方とかいう使い方しか知らなくて) [一言] リッツとリゼのいざという時の団結力は凄いで…
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