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第三十七幕 緑の魔女(4)

「孤児院に行って何する気なんだ、ディリィ」

「何をする、というより何かできることがないか知るために行きたいと思ったのよ」


ひとまず五日後に再び訪ねることを約束し、魔女の家を離れたのがつい先刻。

帰り道でヴェルノーからの質問にコーデリアは淡々と答えた。


「単純に知りたいの。私は文字でしか孤児院をしらない。一端でも知ることができれば、それが生きる機会も巡ってくると思うわ。それにさっき聞いた市の話も気になるし」

「確かに慈善事業には関わるだろうし、視察は有意義なことだろうけどな」

「そういうこと。だから、見学させていただけるならさせていただきたいと思うわ」


コーデリアの答えにヴェルノーは「まあ、ディリィらしいな」と納得したようだった。

しかしコーデリアの考えはそれだけではなかった。例えば孤児院がそこにある理由。


(病気や事故……原因はさまざまだと思うわ。もちろん暗熱病も関わるのでしょうね)


その可能性に思い至った途端、行きたいと声が出てしまったのだ。

自らも命を落としかけたことなる、そして先日のテッドの一件の原因にもなった病。直接病の原因を解明するには知識も実力もあまりに不足しているが、その病がもたらした災厄を少しでも和らげられることがあるなら尽力したい。そんな思いがあった。

もちろんそれ以外の病気に興味がないということではない。むしろ理由なんて関係ないと思う。だが身近なところから考えれば一番にそれを考えてしまったのだ。


「僕も行ってみようかな」

「ジルもオウルに興味あるのか?」

「あの孤児院は貴族の後ろ盾を持たず、村で運営していると聞いているからね。少しは運営について聞いたこともあるけど、実際に見てみたい」

「あー……そういえば、確か……援助してた貴族が没落したんだっけ」

「そうだよ。二十年前まではとある男爵家が援助していたらしいんだけど、不正から見事没落してね。その際には緊急的に国から援助という話もあったんだけど、村でやると当時の院長が宣言し、以来それを貫いている。招いていただけるならとてもいい機会だと思うんだ」

「……行きたいと思うのは自由だが、さすがに行けるかわからないぞ」


ジルにそう言ったヴェルノーを見、コーデリアは珍しいと思った。

ヴェルノーはいわゆる貴族の常識に収まらないタイプだ。言ってしまえばどんな無茶でも堂々とやってのける方だと思っている。そのヴェルノーが否定的なことを言うのは、ジルの家のことがあるからだろうか? ジルもヴェルノーと一緒にお忍びをしているところをみると寛容な家に生まれているのかもしれないが、フラントヘイム家ほど許容範囲が広い訳では無いのかもしれない。しかしジルはまったく引く様子を見せなかった。


「いいよね? ヴェルノー」

「いいよねって……お前、それ言うときっていつも決めてる時じゃないか」


珍しくヴェルノーは「してやられた」とばかりに片手で目を覆う。ジルは相変わらず笑顔だが「一緒に怒られるのはごめんだぞ」とヴェルノーは恨みがましそうだ。やはり珍しい表情だ。


「お二人は本当に仲がいいのね」

「まぁ、放っておくとどこ行くかわからないしな、こいつ案外強情だし」

「失礼だよ。ヴェルノーが抜け出そうってよく誘ってくるのに」

「おま……」


本当に仲が良いことはよく分かった。

そして噴水近くになった時に「家まで送ろうか?」とヴェルノーに言われたが、ロニーもいるし必要ない。それにせっかく外に出てきているのだ。買い物をしてから帰りたい。そう言うとヴェルノーが首を傾げた。


「何買うつもりなんだ?」

「少々、便箋を。そうだわ、ヴェルノー様。ヴェルノー様はクリフトン様とマルイズ様のお好きな色とかご存じかしら?」

「クリフトンとマルイズ? いや何色でもいいだろ……って、なんであの二人とやりとりしてるんだ?」

「少し海の方面で知りたいことがございまして、お尋ねさせていただいていましたの。お二人とも博識でとても参考になりました」


ここで海草が欲しかったなどといえばまた変な扱いをされかねない。

そう思ったコーデリアはそう言ったのだが、ヴェルノーは「……あぁ、ディリィだもんな」と何やら溜息交じりに納得している。その態度で失礼なことを考えているのだろうとは十分予測できたが、あえて聞かない。それこそ藪蛇というものだ。


「では、ごきげんよう。ヴェルノー様、ジル様」

「そういえばさっきからもとに戻ってるぞ。『様』はなしだろ?」

「ご訪問時は外しますわ。でも、普段はきちんとしておきませんと。うっかり人前で『ヴェルノー』なんて呼んでしまいましたら婚約でもしたのかと疑われかねませんから」


お互いそれは不幸でしょう?

そう言外に含ませればヴェルノーも「確かに大事故だな」と肩をすくめた。それを見た後、コーデリアはロニーと共に二人に背を向け歩き出した。しかし直後「ディリィ!」とジルの声が届いた。


「また手紙送るから!」


そんなジルにコーデリアもまた「はい、私も」と自然と笑みが漏れてしまった。


そして文房具店で便箋を入手して屋敷に戻り、コーデリアはエミーナに借りた本を預けるとララの居場所を尋ねた。そして温室にいるとの言葉を聞き、ロニーを伴ってそちらに向かう。


「ただいま、ララ」

「あら、お帰りなさいお嬢様! それからロニー! お土産なんてないのかしら?」

「残念ながらお土産はないわ」

「それは残念。そういえばお嬢様宛に荷物が届いてるのよ。置き場所に困ったからここに運んだわ」

「荷物?」

「ええ。海水に浸かった海草よ」

「そ、そう。ありがとう」


まだお願いするタイミングを決めていなかったのに、先に荷物が届いたか。しかも海水に浸したまま届いたという事はかなりの重さであっただろうにありがたい……とは思うのだが、極々自然に言ったララの言葉にコーデリアの方が一瞬言葉に詰まってしまった。確かに自分以外に海水に漬けた海草を欲しがる令嬢などいないだろう。

しかし欲しい物が届いたのだ。温室の端を指さしたララの指をコーデリアは目で追った。


「……かなりの量ね」

「ええ。運び屋さんもとても重そうだったわ」


思った以上の量にコーデリアも一瞬圧倒されかけたが、これは何度でも失敗しても大丈夫という事だ。もう一度感謝をしながら「これ、お手紙よ」とララから封筒を受け取った。マルイズからだった。手紙にはちょうど王都への便があったので……と書いてあったが、これはどう見ても専用に手配されている気がする。何だか申し訳ない気持ちにもなった。


「マルイズ様にはあとでお返事書かないと」

「後で……ということは、さっそくコレ使うの?」

「ええ。今回の目標は『とても薄い食べられる紙』を作ることよ」


コーデリアの答えにララは目を丸くした。

紙? 紙?? と、やはり想像ができない様子で何度か手を動かしたが、やがて頷きコーデリアに直接尋ねた。


「よく分からないけど、凄いことだと思うわ。でも一体何に使うの?」

「今市場に出回っているオブラートの代わりよ。子供も高齢者もお薬が飲みやすくなるし、お菓子にも使うことができるものになる予定なの」

「へえ、お嬢様面白いこと考えてるんですね」


そこで会話に交じってきたのはロニーだった。


「けど、これを原料に紙すきでもする気ですか?」

「いえ、このままだと使うのは難しいと思うの。だから、まずはその下準備ね」


まずは寒天を作ろうと思う。テングサを太陽に当て、真水をかけながら天日干しする。そうしているうちに透明になるので、それを柔らかくなるまで鍋で煮る。その後は天草を漉し、煮汁を容器にいれて凍らせる。すると水分が抜けるので、乾燥させると寒天が出来上がるのだ……と、コーデリアは口にしたが、水の配分や煮溶かす時間をはじめた子細は謎だ。


「……俺、やってもいいですか、それ」

「え? いいの?」


もちろん手伝いは頼む気だったが、ロニーは「お嬢様やること多すぎて後回しになりかねませんから」と妙に積極的だ。ロニーは真面目な表情で続けた。


「俺もばあちゃんいるんですよ。薬の粉末とホント飲みにくそうだから、できるならやりたいんですよね」

「じゃあロニー、お願いしたいんだけど、一つだけ言ってもいいかしら」

「はい」

「さっき言ったテングサからのものはあくまで材料の一つなの。それに加えてジャガイモのでんぷんも使うと思うわ。でも配合はわからない。ひょっとしたらジャガイモが一〇〇%かもしれない。最終的には全部煮溶かして、薄く伸ばして乾燥させるんだけど」


そう言うとロニーは珍しく真剣な表情をしていたのに、一気に眉を寄せて言うんじゃなかったと表情で語ったのちに額に手を当て、その場にしゃがみ込んだ。思ってたより面倒くさい。そう零れてきた言葉にコーデリアは苦笑した。


「やめる?」

「いえ、やりますよ。それに、確かに発想は良いことだと思います。うまく世間に広められれば大書架の入場権を得ることも可能かもしれませんし。狙ってるんでしょう?」

「あら、わかってしまったかしら?」

「わかりますって。ま、俺も城の蔵書には興味ありますし。発明お嬢様、助手俺ってことにしてもらったら俺も入れるだろうからその方向で考えますよ」

「あら、共作で構わないのに」

「やめてください絶対。俺大書架には興味あるけど煩わしいことは嫌いなんですよ」


そういうロニーは「じゃあ、まずコイツを天日干しするんですよね、準備してきます」とさっさと温室を後にした。やはりいつもより積極的だと思いつつ、コーデリアはマルイズに返信を書こうと思った。そのためにララにペンの用意を頼もうとしたのだが……ララはじっと海草を見つめていた。


「ララ?」

「……お嬢様、私もそれやる」

「え? ララも手伝ってくれるの?」

「手伝うわ! お料理ならできるし、きっと!」


そう言うとララは返事も聞かずに走ってロニーの所へ行ってしまった。コーデリアは驚いたが、外から何やら騒がしい応酬が聞こえてきたので苦笑した。ララも思い付きで言っている訳ではないのだろう。温室の手入れだってコーデリアたちが返ってくるまでにきちんと済ませてくれている。


(じゃあ、私はお手紙を書いて……それから、お父様へのお願い対策を考えないとね)


そう思いながら、コーデリアはひとまず自室に戻ろうと考えた。帰る前にララに鉛筆の進捗具合を聞きたかったのだが、温室の外でロニーと木枠を組んでいる姿を見ると水を差しかねないと判断し、また明日尋ねることにした。


そして自室に戻ったコーデリアは早速マルイズに感謝の手紙を書き綴った。普段ジルに送る手紙とは違い、きちんと形式に則った手紙だ。手紙は書きなれているはずなのに、少しばかり不慣れであると思うのは仕方がないことだろう。普段は思ったことをそのまま書いていることがほとんどなのだから。

そうして書き終えた手紙には花のしおりを一枚入れて封をした。その手紙をハンスに預けた頃にはいい時間になっていたので夕食をとり、次は父親の帰りを待つことにする。オウルの村まで行く許可をエルヴィスに求めなければいけないからだ。


けれど待つのは自室では無く、書庫を選んだ。

エミーナにエルヴィスが帰宅すれば教えてほしいとだけ頼んだコーデリアは書庫で領地の孤児院に関する記述を探した。けれどコーデリアが見つけた本は、既にコーデリアが知っているようなことを並べたものばかりだった。


(どの街にあるか、出資者は誰か。領地に限れば、これくらいは既に学習で知っているのよね)


あとは……例えば方針等はそれぞれということなのだろう。

パメラディア家が深く関わっている所に関しえては収支関係の報告書もあったが、細かい項目は掲載されていない。おそらく父の手元にはあるのだろうが、本に載せるものではないのかもしれない。


(でも、これだとなおのこと行きたいわ。直接見せていただける機会ですもの)


そんな風にコーデリアが考えていると、書庫の扉が開く音がした。

エミーナだろうか? そう思いながら振り返ったコーデリアが見たのはロニーだった。コーデリアは少し驚いたが、ロニーもまたコーデリアがいたことには驚いた様子だった。


「珍しいわね、ロニーが勤務時間外に書庫なんて」

「お嬢様もですよ。この時間は大体お部屋にいるでしょう。急ぎの調べものですか?」

「ええ、まあ。ロニーも?」


そう尋ねるとロニーは「うーん」と唸り、それから「ま、いっか」と肩をすくめた。


「食べれる紙の材料、ちょっと調べたいことがあって。まあ、プランを立ててくれてるお嬢様に失礼かとは思うんですけど」

「え?」

「一応お嬢様がいってた材料メインで行く気ですけど、まぁ、他に適する材料がある可能性だってある訳ですし。いくつか調べてみようと思いまして」

「そうなのね。助かるわ」

「よかった。お嬢様なら怒らないと思ったんですけど、学校通ってる時は結構これやったら先生方に怒られてたんですよね」


なるほど、魔術学院にはなかなか頭が固い人も多いらしい。

ご愁傷さまと思いながらもコーデリアは「明日からララを借りてもいいかしら?」とロニーに尋ねた。


「ええ、もちろん構いませんよ。どうかしましたか」

「頼んでいる文房具の出来具合を聞こうと思うのと、少し匂い袋でも作ろうと思って。孤児院の子たちにお土産になればいいなと思うの」


魔女はマフィンを作るといっていたが、自らも簡単なものを持っていってもいいのではないかと思ったのだ。するとロニーは小さく笑った。


「構いませんよ。あの子も割と器用だからすぐ終わっちゃいそうだけど」

「そう、ありがとう」

「それよりお嬢様、俺、一つ今日気になったことがあるんですけど。あのジルって子……どこでお知り合いに?」

「八歳の時よ。フラスコを買に行ったことがあるでしょう。あの時に知り合ったの」

「あー……あの時か」

「どうかしたの?」


別にロニーが知らないところで友人がいても不思議では無い。そんなことは百も承知のはずなのに、わざわざ尋ねてくることにコーデリアは疑問を浮かべた。ひょっとして見知った顔だったのだろうか? ロニーは神妙な表情をしていたが、やがて首を振った。


「いえ、やっぱりやめておきます。アホだと思われそうなんで」

「どういうことかしら?」

「うーん……」


そんな歯切れの悪いロニーの返事をコーデリアは待っていたのだが、その返事を聞く前に部屋にはノック音が響いた。エミーナだった。


「お嬢様、旦那様がお戻りになられました。夕食は既に済まされてるとのことです」

「わかったわ。お父様はお部屋かしら?」

「いえ、書斎です」

「ありとう」


ロニーの返答は聞けなかったが、恐らく気にするほどのことではないのだろうとも思う。『どえらいこと』とは何か気になるが、相手はジルだ。ヴェルノーが軽口をたたく相手で、もう四年もコーデリアが手紙のやりとりをしている相手だ。だから間違っても大きなことはないと思うけど……など、初めて会ったロニーにいうのは違うということだろうか。


(ロニーも気が向いたら話てくれるでしょうし)


そう思いながらコーデリアは父に会うため、書斎へと足を向けた。



++



「失礼致します、コーデリアです」

「開いている」


今日も今日とて父親の声に愛想はないが、いつも通り入室の許可はあっさり出た。

父親はコーデリアの入室後も書類のほうを見ていた。今日はいつもに増して積まれているものが多い気がする。相変わらず忙しそうだ。ならばあまり長い時間をとてもらうのも悪いと思い、コーデリアは本題を切り出した。


「本日、ヴェルノー様たちと薬草を扱う薬師をお訪ねいたしました。今後もお伺いさせていただきたく思います」

「学びたいことはあったのか」

「はい。私がまだ見たことのない薬草もあり、とても博識でいらっしゃいます。薬草の組み合わせなども教わりたいと思っております」

「そうか」


エルヴィスの口からは特に否定の言葉は出なかった。継続して通うことに問題は無いらしい。まずは第一段階クリアかなとコーデリアが思うとエルヴィスが口を開く。


「報告だけに来たわけではあるまい。何を望んでいる」


エルヴィスの言い方にコーデリアはさすがにおねだりはバレているなと心の中で苦笑した。だがそれは表には出さず、冷静に答えた。


「孤児院の視察に参りたいと思います」

「孤児院?」

「今日お伺いした薬師はオウルの孤児院の手伝いをされています。見学を希望すれば受け入れてくださるそうです」

「オウル、か」

「私はまだ領地の孤児院を訪ねたこともございません。ですからオウルと領地でどういう差があるのかはわかりません。ですが見識を広めさせていただく貴重な機会であると思います。我が領地に得たことを還元できるよう努めたいとも思っております」


コーデリアがそこまで言ったところでエルヴィスは書き物をしていた手を止めた。


「お前の目には薬師はどう映った」

「え? ……とても優しい女性でした。そして叱るときは叱ってくださる女性だと思いました」

「そうか」


珍しいな、と、コーデリアは思った。

質問された内容に珍しさを感じた訳ではない。エルヴィスが目を見ないままに質問をしてきたことなどあっただろうか? だがそれを尋ねることはできなかった。何となく尋ねにくい空気をエルヴィスは纏っていた。


「ロニーを連れて行け」

「……行っても良いのですか?」

「行ったところで何もできまい。だが何も得ることがなかったということは避けねばならない。それを覚えておくと良い」

「ありがとうございます」

「そういえば妙に大きな荷物が届いたそうだな」

「ええ。海草をいただきました」

「また何か考えているのか」

「楽しみにしていてくださいませ」


コーデリアの言葉に返事はなかったが、エルヴィスが少しだけ口の端を上げたのは見えた。期待をしてもらっているというよりは面白がられているような気がした。

しかしそこでふと気になることができた。


(お父様は……幼少時、どのようにお過ごしだったのかしら?)


まさか自分のように海草を取り寄せたり山に薬草を求めたりなどしてはいないだろう。

兄達から聞いた兄達の幼い頃の過ごし方は勉強や武術の稽古がかなりの時間を占めていたという。父もそうだったのだろうか?

だがそれを尋ねることはできなかった。その理由はそこにある書類の量だ。

今も邪魔をしている自覚はあるので、これ以上余計なことを尋ねることもできまいとコーデリアは思った。尋ねるとしたら、もう父に余裕が見えるときだろう。


それからコーデリアは邪魔にならないうちにと礼をとり部屋から退出した。

そして部屋に戻り、明日の匂い袋づくりの材料となる布を選び始めた。


いくつか布を手に取り、やがて緑の布を手に取った時、コーデリアは魔女の瞳を思い出した。


(とても素敵な人だったわ)


あったかい人だったな、そう思いながらコーデリアはジルに魔女に似ていると指摘を受けたことも思い出した。するとやはり照れくさく、それでいて嬉しいように感じてしまった。

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ドロップ!! ~香りの令嬢物語~ 書籍版 (全6巻発売中)コミカライズ版
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