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穏やかな日々の、その陰で

穏やかな日々の裏で、私は少しずつ何かに気づき始めていました。

それは、ほんの些細な違和感。

でも、見て見ぬふりをしてしまった――あの頃の私は、ただ穏やかな時間を守りたかったのかもしれません。


今回は、子どもたちが学びに向き合う中で、少しずつ明らかになっていく“違い”と、それに気づけなかった母としての葛藤を綴っています。

それからというもの、本当に穏やかな日々が続きました。

平凡だけれど、何気ない日常のすべてが愛おしくて、私はその幸せを噛みしめていたのです。


妹が小学校に入学してから、私は少しでも家計の足しになればと、近所のスーパーでパートを始めました。

けれど、当時の私は、まともな社会経験もなく、知識も乏しいまま。右も左も分からず、ただ必死で――それが逆に目をつけられる原因だったのかもしれません。


そこには“ボスパート”と呼ばれる女性がいて、私は彼女から、2年間もの間、いじめを受けることになりました。

ミスをすれば怒鳴られ、笑われ、無視され……。心の疲弊は日に日に募っていき、ストレスで髪が抜けてしまったこともありました。


今となっては笑って話せるけれど、当時は本当に辛かった。

それでも乗り越えられたのは、夫の存在があったからです。


彼は、ただ黙って話を聞いてくれました。

決して否定せず、私の気持ちを受け止め、時には静かに、的確な言葉で励ましてくれたのです。

――その優しさに、私は何度も救われました。


その話はまた別の機会にするとして、子どもたちのことを少しだけ。


兄も妹も、相変わらず元気に学校生活を楽しんでいました。

ふたりとも小さな学習塾に通い始め、日々の勉強に励んでいたのですが……ある日、塾の先生から、こんな相談を受けたのです。


「お兄ちゃんも妹さんも、決して勉強ができないわけではありません。でも……テストや問題集を解くと、必ず数問を飛ばしてしまったり、同じような単純ミスを何度もくり返してしまうんです」


その言葉に、私は少し戸惑いました。

――やっぱり、あの子たちには、何か他の子と違う部分があるのだろうか?


でも、当時の私はその“違い”を深く考えることができなかった。

だって、それは本当に些細なミスばかりで、注意すれば直るだろうと、どこか楽観的に思っていたから。


しかし――

その小さな“見過ごし”が、後に大きな過ちとなり、子どもたち自身を苦しめることになるとは、当時の私は知る由もなかったのです。


そして時は流れ、兄は小学校を卒業し、中学生になりました。


――それは、新たな波乱の幕開けでした。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

このお話は、過去を振り返るたびに胸が締め付けられるような思い出です。

あの時、もっと早く気づいていたら――

そんな「もしも」を、今でも何度も考えます。


でも、あの頃の私なりに必死でした。

夫の支えがあったこと、子どもたちが毎日笑顔でいてくれたこと。

そのすべてが、今の私たちの土台になっていると思っています。


次回は、ついに長男の中学校生活が始まります。

新しい環境で、彼が直面する現実とは――?


また読んでいただけたら嬉しいです。

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