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「あの子の右目が見えていないと知った日」

子育ては、いつだって予想のつかない連続です。

今日は、思いもよらなかった「気づき」から始まった長女の目の話を書きました。

家族の中で受け止めていく過程を、正直に綴っています。

それからの日々は、とても順調だったように思う。

小さな不安がまったくなかったわけじゃないけれど、家族みんなで笑い合って過ごす、穏やかな毎日だった。


ある日、小学一年生になった長男と、年中になった長女が、お風呂で楽しそうに遊んでいた。

私は台所で夕飯の支度をしていたけれど、突然、長男が濡れたまま走ってきてこう言った。


「ねえ、長女ちゃんの右目が見えてないかも」


えっ、と手を止めて振り返った。

どうやら、お風呂の中で視力検査ごっこをしていたらしい。

長男が、左目を隠して数字を見せたところ、長女が何も答えなかったという。


まさか、そんな。

今まで眼科検診では引っかかったことはないし、夫の右目が見えないのは、幼少期の高熱が原因だと聞いていた。

遺伝とは関係ないはず……そう思い込みたかった。


それでも、胸騒ぎがして、私は翌日、地元で評判のいい眼科専門病院に向かった。


検査結果は――

「先天性白内障です」


医師の言葉に、息が止まりそうになった。

右目はほとんど機能しておらず、生まれた時から光を受けていない状態。

視力は育っておらず、長女にとって“見えない”ことが“普通”だったのだ。


眼科検診で気づかなかったのは、長女が左目を使ってズルしていたからだった。

まだ小さくて、「どうせこっちの目のほうがよく見えるし、いいよね」――そんな感覚だったのだろう。


「見えるようになる可能性は低いですが、手術はできます」


医師のその言葉に一縷の望みを託し、大学病院で手術を受けることが決まった。

病院を出た私は、すぐ夫に電話をかけた。


結果を伝えると、受話器の向こうで、夫は声を震わせながら泣いていた。



---

今回のお話は、実際に私が経験した中でも、特に大きな衝撃を受けた出来事です。

長男の無邪気な“視力検査ごっこ”が、長女の目の病気を発見するきっかけになるとは夢にも思いませんでした。

手術のこと、その後のことも、これから少しずつ書いていきたいと思います。

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