第84話 第一回魔王城おっぱい俳句大会 その2
『おっぱいは母乳噴き出す活火山』
『ミルク色 どちらかといや母乳色』
『酒場にて母乳を頼む冒険者』
『断乳の苦しみ深き我が半生』
『名月や 月光母乳の如く差す』
『遅刻した! 駆けつけ三杯母乳くれ!』
『メデューサの母乳吸うときゃ頭上注意』
『この世をば我が手に収め母乳風呂』
「全部母乳じゃないかあああああああああ!」
ついにブチ切れた魔王が四本の角から湯気を出して紙切れをビリビリと破り捨てる。
「ああっ、ひどいガオ! 8つも作ったんだガオ!」
「もうちょっと母乳以外のことも書けえええええ!」
【まあまあ、ちょっと落ち着いてくださいよ、二人とも……】
間に入って静めながら、こりゃ夏○先生が見たら殺されそうな句会だなあと心中嘆いてしまった。そもそもテーマが悪いんじゃないかという気もするけど……。
「他にはもういないな? では、優勝者は無しということで本日の朝礼はこれにてお開きに……」
【ひでえ!】
「チョット待テ、魔王様」
突如聞きなれぬ声がしたので一同聞こえて来た方向を注視すると、紙を手にしたロングヘアーの黒髪女性が幽鬼のごとく立ち尽くしていた。
「モーラス! お前までもが書いたのか!」
「どうしたんだガオ!? 凄いやる気だガオ!」
魔王とメディットが信じられないものを見た顔をする中、モーラスは蔦のような触手をスルスルと手から伸ばし、離れた場所にいる主催者へと紙を届けた。
「どれどれ、ふむふむ……。『いつの日か潜ってみたい乳暖簾』だと……うーむ、随分と情緒溢れる句ではあるが、今一……」
「でもこの乳暖簾というのは魔王様のことじゃないガオ? この前のリプルとの戦いでおっぱいに雑巾引っ掛けていたガオ?」
「おう、あれを乳暖簾と呼ぶのか、そういえば、『乳暖簾に腕押し』とかいうことわざもそなたの世界にはあるそうだな、ムネスケ?」
【それなんかちょっと違う気がしますよ!】
「細けえことはいいんだよ! そうか、これは我を褒め称える句だったのか……よし、優勝とする!」
何でそうなるんだよクソ魔王!と叫び声を上げたくなったが僕は寸前で留まった。もうどうでもええわ!




