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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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85/310

85 ガダン


 ゼフドとアキは髭面の男を追いかけていた。


 髭面の男は難民たちが生活する区画を抜けて、キャンプエリアに入った。


「追ってきてないよな?」


 髭面の男は必死の形相で、何度も振り返りながら巨大なテントが多数張られている区画に駆けていき、その中で一際大きいテントの中に入っていった。


 一際大きいテントは、縦横の長さが五十メートルほどで、高さは十メートルを超えており、その周りには半分ほどの大きさのテントが多数張られていた。


 ゼフドたちは一際大きいテントの出入り口に向かって歩いていく。


「なんだお前らは?」


 出入り口の前に立つ男は怪訝な顔をした。


「邪魔だっ!!」


 ゼフドは頭突きを男の顔面に叩き込んだ。


「あがっ!?」


 男は白目を剥いて崩れ落ちた。


「あは、門番なのに弱すぎるわね」


 アキは不満そうな顔をした。


 ゼフドたちは平然とテントの中に入った。


 テントの中では左右に多数の難民が並んでおり、難民たちの先頭にはガダンの手下がいて、難民と話をしていた。


 ゼフドたちは悠々とテントの真ん中を歩いていく。


 ガダンの手下たちは不審げな眼差しをゼフドたちに向けたが、結局、何も行動を起こさなかった。


 ゼフドたちはテントの中央にある出入り口に到着すると、そこには二人の男が立っていた。


「どのような約束でこられたか?」


 右側に立つ男は羊皮紙のリストを一瞥して返答を待っており、左側に立つ男は腰に下げている剣の柄に手をかけた。


「どけっ!!」


 ゼフドは右の拳を左の男の顔面に叩き込み、アキは蹴りを繰り出して、蹴りが右の男の顔面に直撃した。


 男たちは吹っ飛んで、出入り口の奥に消えた。


 ゼフドたちは出入り口から中に入ったが、ガダンの手下たちが追ってくることはなかった。


「ほう、七人か……」


 ゼフドは意外そうな顔をした。


 中には髭面の男と、武装した者たち五人が椅子に座る男を囲んで守っていた。


「あ、あいつらですガダン様!! 私が奴隷の勧誘をしていたらいきなり襲い掛かってきたんです!!」


 髭面の男は縋るような面持ちで訴えた。


「あは、よく言うわね。いきなり怒鳴り込んできて護衛に斬り掛からせたくせに」  


 アキは人を馬鹿にしたような薄笑いを浮かべる。


「……護衛だと?」


 ガダンは訝しげな眼差しを髭面の男に向けた。


「あ、あいつらが勝手に言っているだけですよ!!」


 髭面の男は動揺して声と表情を強張らせた。


「……なるほど、お前は門番を使って難民を集めていたんだな。それはいいが調子に乗ってそいつらから金を巻上げようとして失敗したか……」


 ガダンは難しそうな表情で言った。


「なっ!?」


 (なぜバレてるんだ……)


 髭面の男は恐怖で顔が蒼くなる。


「お前の処遇はそこの二人に任せるとしよう」


 ガダンは失望したような顔をした。


「えっ!? そ、そんな……」


 髭面の男はガダンとゼフドたちの顔を交互に見つめて後ずさる。


「くだらん……俺たちの目的はこんな雑魚ではない。ガダン、お前なのだからな」


 ゼフドは裏拳を繰り出し、手の甲が髭面の男の顔面に直撃して髭面の男は縦に回転しながら吹っ飛び、柱に激突して地面に倒れた。


「ガダン様、ここは私が」


 鋼の装備で身を包んでいる男がガダンの前に出た。


 彼の職業は上級職の【騎士】だ。


「……いきなり、お前がでるのか」


 ガダンは軽く眉を顰めている。


「あの少年には私以外が相手ではキツイかと……」


 男は緊張した面持ちで答えた。


「なら、女は私が相手をするぜ!!」


 軽装の女の手には鋼の剣が握られており、ガダンの前に進み出た。


 彼女の職業は上級職の【剣豪】だ。


「まずは私が出る。つっぁああぁ!!」


 男騎士は鋼の盾を前面に構えてゼフドに目掛けて凄まじい速さで突撃した。


 それに対してゼフドは、黒い鋼の大剣を上段から振り下ろし、男騎士は鋼の盾で大剣を受け止める。


 しかし、アキは凄まじい速さで突撃し、男騎士の側面から双剣をクロスさせて左腕を切断した。


「がぁああぁ!?」


 男騎士は左腕と盾が宙に舞い、体から血が噴出して顔を歪めた。


 だが、ゼフドは構うことなく大剣を男騎士の腹に突き刺し、アキは双剣で男騎士の両脚を斬り落とした。


 男騎士は太ももの辺りからズレて崩れ落ちた。


 ゼフトは男騎士の腹から大剣を引き抜くと同時に顔面を蹴り飛ばし、男騎士は吹っ飛んで柱にぶつかってその勢いを止めた。


 男騎士は体から大量出血してピクリともしない。


「おいっ!! 一対一じゃなかったのかよ!?」


 女剣豪は怒りの形相で叫んだ。


「寝ぼけてるのかお前は?」


 ゼフドは見下すような冷笑を洩らした。


「ブリザー」


 アキはブリザーの魔法を唱えて、冷気がガダンに向かって襲い掛かる。


「――っ!?」


 女剣豪は慌ててガダンの前に立ち、冷気をまともに受けて体が凍って跪いた。


「こ、こいつら!?」


 女剣豪は悔しそうに歯軋りしている。


「ポイズン」


 ゼフドはポイズンの魔法を唱えて、緑色の風がガダンに襲い掛かる。


「ウォーター」


 アキはウォーターの魔法を唱えて、水の刃がガダンに襲い掛かる。


「クソがぁ!!」


 ガダンを守る護衛の二人がガダンの前に飛び出し、片方の護衛が緑色の風に体を貫かれて毒に侵され、顔を苦痛に歪めて地面をのたてうち回り、もう片方の護衛は水の刃に腹を貫かれて、腹を押さえて地面に膝をついた。


 最後に残った護衛は憤怒の形相でゼフドに向かって突撃した。


 ゼフドは大剣を真横になぎ払い、全く反応できなかった護衛の体は上下に分かれて上半身が崩れ落ちた。


 それと同時にアキは、ガダンの前まで歩いていき、ガダンの喉元に剣を突きつけた。


「……どうやら儂の負けのようだな」


 ガダンは不機嫌そうな顔をした。


「お前の処遇はシルルン様がお決めになる」


 ゼフドは無愛想に言い捨てた。


「分かった……だが、先に手下の治療をやらせてくれ」


 ガダンは瞳に強い意志を込めてゼフドを見上げた。


「ほう……いいだろう」


 ゼフドは複雑そうな表情を浮かべたが、すぐに了承した。


「……」


 ガダンは一瞬意外そうな顔をしたが、一番軽症な女剣豪に目配せした。


 女剣豪はガダンの後方にある棚に走り、棚から多数のポーションとキュアポーションを取り出して、胸いっぱいにポーションを抱えて手下たちの元に駆け寄ったのだった。


 これにより、ガダンの手下たちは一命を取り留めたが、髭面の男は治療されなかった。
















 女剣豪はポーションで仲間たちを治療して、安堵の溜息を吐いた。


 すると、男騎士が目を覚ました。


「ぐっ……油断したよ……」


 男騎士は右手を顔に当てながら頭を振って苦笑した。


「あ、あんたはどんだけタフなんだよ……」


 女剣豪は嬉しそうに微笑む。


 体を両断された護衛の意識は、まだ戻っていない。


「とりあえず、命は繋がったか……」


 ガダンは安堵の溜息を吐いたが、視線をゼフドに転じて『読心』を放つ。


 『読心』は心を読める能力だ。


 ガダンはすぐにアキにも『読心』を放った。


(この二人は忠臣タイプだな……故にどのような交渉を行おうと聞く耳をもたないだろう……厄介だがシルルンという主人と交渉するしかないか……)


 ガダンは考え込むような表情を浮かべている。


 彼が『読心』を所持しているのは、子供の頃に奴隷として母親に売られたことがきっかけだった。


 だが、彼は自分がなぜ売られるのか母親に聞きたかったが、母親が号泣していて聞くことができなかった。


 しかし、その時にガダンの脳裏に母親の声が聞こえたような気がした。


 その声は「あなたを売らなければ、私たち家族は飢え死にするしかない」というものだった。


 この声を聞いたガダンは、子供を売ってでも母親は死にたくないのだと理解した。


 こうして、奴隷屋に売られたガダンは、同じような境遇の者たち百人ほどと一緒に、豚のような女に買われた。


 ガダンは一生懸命に仕事を頑張るんだとやる気に満ちていた。


 同じような考えを持つ者が十人ほどいて、彼はその十人と仲良くなり、心の励みになっていた。


 だが、ある日の朝、ガダンたちが部屋から出ると、部屋の前に十人ほどの奴隷がズタボロにされて転がっていた。


 ガダンたちは奴隷たちが息をしているか確認すると、息をしておらず死んでいた。


 ガダンはこの話を仲の良い十人に話してみると、仕事をサボったのが原因で見せしめに殺されたという意見が多数を占めた。


 彼は仕事を一生懸命にやっていれば大丈夫だという結論に達し、より一層仕事に励んだ。


 しかし、数日後の朝、ガダンたちが部屋から出ると、部屋の前に仲の良い十人の内の一人が、全身を斬り裂かれて出血多量で息絶えていた。


 ガダンは再びこの話を仲の良い者たちに話してみると、返ってきた答えは前回と同様だった。


 だが、彼はこれはおかしいと強い疑問を抱くと同時に、死にたくないという思いが頭から離れなくなっていた。


 まるで、母親の呪いのように。


 この日からガダンは、主人である豚女の心を『読心』で視るようになった。


 豚女は機嫌が悪くなると棍棒で奴隷を乱打し、避けられたり逃げられたりすると激昂した。


 それを知らない奴隷たちは逃げ回り、棍棒でぶちのめされ、ズタボロにされて死んでいった。


 そのため、ガダンは真っ先に棍棒で殴られように努めた。


 豚女は体を舐められるのも好きで、ガダンは豚女に呼ばれると率先して豚女の体を舐めまくった。


 彼は豚女にどんなことを要求されても、満面の笑みを返して愚直に要求に応えた。


 そして、数年が経過してガダンが十歳になった頃、仲間の奴隷たちは全員死んでいたのだった。


 だが、豚女が事業に失敗して、状況は急変する。


 彼女の財産は全て押さえられ、物であるガダンたちも新たな主人の物になった。


 新たな主人は豚女の手足を拘束し、大量に鼠がいる部屋に閉じ込めた。


 豚女は大量の鼠に身体中をかじられて鼠たちの餌になったが、新たな主人は豚女が死に逝く様をガダンたちにも見せた。


 ガダンたちはこんなものを見せる主人は正気じゃないと恐怖に震えたのだった。


 そして、それは的を得ており、新しい主人の拷問は苛烈を極めた。


 それは奴隷たちが、もう殺してくれと哀願するほどに強烈だったが、それでもガダンは死にたくないと思っていた。


 最初に行われた拷問は、熱した鉄をいろんな部位に押し当てられる拷問だった。


 これに耐えると、喉奥に穴の開いた棒を突っ込まれ、その棒に水を入れられて強制的に水を飲まされて、腹がぱんぱんに膨らむと腹を殴られて水を吐き出し、また水を飲まされる拷問だ。


 ほとんどの奴隷がこの二種類の拷問で、ショック死するか精神が壊れて処理されたが、それでもガタンは耐え抜いた。


 だが、次に待っていたのはさらに地獄だった。


 ガダンは皮膚を剥がされ、油で焼かれ、毒を飲まされ、猛獣の檻に入れられた。


 さらには武器の試し斬りにも彼は率先して志願し、何度も死線を超えて生き延びた。


 そして、五年の月日が流れ、ガダンが十五歳になったときに主人が急病で病死して状況は好転する。


 主人は財産を相続する身内はおらず、国が財産を相続し、ガダンたち奴隷は僅かな金を与えられて解放されたのだった。


 ガダンは実に十年にも及ぶ奴隷生活を耐え抜いたが、最早彼にはほとんど感情もなく見える色さえモノクロで、唯一残ったものは死にたくないという母親が残した呪いだけだった。


 それでも彼は家族が住む家に帰郷したが、家は崩壊し雑草が生えているだけで誰もいなかった。


 ガダンは近隣の者に家族の行方を尋ねると、何年も前に餓死して死んでいるということを告げられたが、その程度のことで流れる涙も悲しむ感情も最早彼にはなかった。


 家族を失った彼は、行くあてもなく難民たちに混ざってそのまま死のうとした。


 だが、またもや死にたくないという母親の呪いがガダンを縛り、彼は家族が死んでも自分は死ねないのかと愕然とした。


 ガダンは死ねないのならどうしたらいいのかと途方に暮れていたが、『読心』があることを思い出した。


 彼は『読心』で難民たちの心を読んで奴隷を集めて、その奴隷たちを売り飛ばして奴隷商人になる。


 二人の主人から学べたことは商売のことだけだったが、商売は彼が所持する『読心』と相性が良かった。


 ガダンは集めた奴隷たちの中で有能な者は売り飛ばさずに、奴隷勧誘の仕事を与えた。


 これにより、集まる奴隷の数に拍車がかかり、彼は奴隷を売り飛ばした資金を元手に武器、防具の店も並行して始めた。


 だが、武器や防具の仕入れ先が少ない上に、物の価値が分からなかったため、ほとんど儲からなかった。


 しかし、彼は仕入れ先がなければ、武器や防具を作製すればいいと考えた。


 ガダンは器用そうな奴隷を集めて、とりあえず武器を作らせてみたが、なまくらばかりが出来上がる。


 彼は仕方なく奴隷屋で鍛冶スキルの高い奴隷を買い、その奴隷に鍛冶スキルを器用な奴隷たちに教えるように命令し、通常品質の鉄の武具や革防具などが作成可能になった。


 ガダンは作成した武具を、他店より安い値段に設定して売り始めた。


 品質は他店と同等で、どこよりも安いので駆け出しの冒険者たちに人気が出て売れ始めた。


 だが、薄利なので利益が上がらず、ガダンは多数の奴隷を武具作成に投入して、大量生産で薄利を穴埋めした。


 駆け出しの冒険者たちをターゲットにしたガダンの戦略は、大成功収めて彼は大儲けした。


 しかし、これを快く思わない商人たちに鉄や皮を押さえられ、貴族に他店の店より商品を安く売るなと難癖をつけられて工房を焼かれ、ガダンの店は廃業に追い込まれる。


 彼は商人たちに素材を押さえられることは予想しており、腕っぷしの強い奴隷たちに他の街で鉄の仕入れもやらせていたが、現状の力で有力者たちと競おうとしたのが間違いだったと学習した。


 ちなみに、ガダンが無事だったのは腕っぷしの強い奴隷を多数抱え込んでおり、その数は千人を超えていたからだ。


 腕っぷしの強い奴隷たちは、一隊五十人ほどで編成されており、その全員が工房で作った武具で武装していた。


 彼はこの隊を採取隊と名付けた。


 ガダンは隊の指揮官には有能な奴隷を配置しており、薬草や毒消し、ポーションなども持たせて、各街を回らせて鉄や皮などの素材を仕入れさせていた。


 帰還した隊は休養を与えられていたので隊の指揮は高く、奴隷たちのレベルもどんどん上がっていたが、ガダンはここでの商売は難しいと考えて、街から去ることを決断した。


 この時点でガダンが拠点にしていた街は、トーナの街から南東にあるラセラの街だったが、ガダンは奴隷たちを連れて新天地を探す旅に出る。


 ガダンたちはトーナの街に到着したが、難民の数が少なく奴隷を仕入れることが困難だった。


 そのため、ガダンはトーナの街を後にして各地を回ってルビコの街に到着し、拠点をルビコの街に決めた。


 彼が拠点をルビコの街に決めた理由は、今と変わらずこの時代もサンポル王国は悪政を敷いており、逃げ出した難民でルビコの街は溢れていたからだ。


 ガダンはルビコの街でも奴隷を集めて、武具を販売した。


 しかし、武具の値段は一番安く販売している店と同じ価格に設定し、有力者たちをもてなして接待していた。


 ガダンは『読心』でもてなした有力者たちの心を読み、与し易い有力者たちを後ろ盾にして着実にその数を増やしていく。


 それと同時に彼は、奴隷たちに大量に作らせた武具を、採取隊に他の街で売りさばかせて財力を蓄えていた。


 財力を蓄えたガダンはポーション屋も新たに始めた。


 彼がポーション屋を始めた理由は、採取隊の回復手段であるポーションの使用数が多くなる一方で、その費用を抑えるためだ。


 ガダンは奴隷屋で錬金術師の奴隷を買い、武具作りの時と同様に錬金術師に錬金術を奴隷たちに教えろと命令した。


 だが、鍛冶のときのようには上手くはいかず、大量生産に至るまでにかなりの年月が必要だった。


 その理由は、ポーション作成には様々な作成方法が存在し、流派も多数あるが、買った錬金術師のスキルが低く、知識量も乏しかったからだ。


 そのため、買った錬金術師がポーションの作成方法を一つしか知らず、その作成方法でのみポーションを作成していたため、作り方も仕入れる材料なども限られて大量生産できなかったのだ。


 まず、ポーションを作るには、秘薬と蒸留水と魔力を合わせる必要があり、出来上がったポーションを入れる容器が必要だ。


 秘薬はイブプロ草とノシーン茸を使用するのが一般的だが、この二種類の秘薬は青い草と青いキノコと呼ばれ、冒険者の採取依頼にも多数出されていた。


 だが、有名すぎるので、すぐに買い占められて店頭に並ぶことは珍しかった。


 つまり、錬金術師が他の秘薬を知ってれば大量生産できたのだが、ガダンが買った錬金術師は上記の二種の秘薬しか知らず、後手に回ったのだ。


 次に蒸留水だが、一般的なポーションを作成できる蒸留水は、炭で濾過ろかした程度で作成できるので、この手の設備は一度作ってしまうと蒸留水を作るのは難しくはない。


 しかし、ハイポーションやマジックポーションなどを作成するなら、もっと高度な濾過が必要で、フィルトレーション(濾過)の魔法やピュアリフィケーション(浄化)の魔法などで、純水を作成する必要がある。


 次に魔力だが、買った錬金術師は魔法を使えなかった。


 そのため、ガダンは魔導具を購入しなければポーションを作れなかった。


 具体的には大気から魔力を集める魔導具と、集めた魔力を放出する魔導具が必要だった。


 魔力を集めるには、魔力濃度が高い場所に魔導具を設置するのが効率的だ。


 だが、そのような場所は少なく、魔力濃度が高い場所を探し回る、訳の分からない仕事が発生した。


 しかし、この仕事は一番楽で、奴隷たちには大人気だった。


 最後にポーションを入れる容器だが、これも様々だ。


 普通のガラス容器にポーションを入れる場合、ボーション自体にアンチディティリオレーション(無劣化)の魔法を付加させないと劣化するので一般的ではなく、ガラス容器自体にアンチディティリオレーション(無劣化)の魔法を付加させるのも同様だ。


 そのため、無劣化の魔法陣が描かれた羊皮紙を、容器に貼り付けて使用するのが一般的だ。


 この無劣化の魔法陣が描かれた羊皮紙は、大きな羊皮紙に縦横の長さが一センチメートルごとに小さな魔法陣が描かれており、カットして使用するのでコストが安い。


 ガダンがこれらのことに気づいたのは数年後で、それから試行錯誤を経て十年掛かって大量生産に成功した。


 そして、現在のガダンは五十歳になっており、ルビコの街では片手で数えられるぐらいの大商人になっていた。


「では、そろそろ行くとするか」


 ガダンは椅子から立ち上がり、出入り口に向かって歩き出す。


「……」


(こいつの格好はなぜ灰色のローブ一枚だけなんだ……金持ちはもっと派手な格好をしているものだろ?)


 ゼフドは違和感を覚えずにはいられなかった。


「お供いたします」


「私もついていきます」


 男騎士と女剣豪の言葉に、ガダンは足を止めて振り返り、探るような眼差しをゼフドに向ける。


「……構わんが、余計な真似をするとこいつの首が飛ぶぞ」


 ゼフドは射抜くような鋭い眼光を男騎士と女剣豪に向けた。


「できるのか?」


 ガダンはそう言い放ち、身を翻して出入り口に向かって歩いていく。


「はっ」


 男騎士と女剣豪は神妙な面持ちで頷いた。


 アキは先頭を歩き、ゼフドがガダンを見張りながら歩き始めると、男騎士と女剣豪はガダンから一定の距離を保ちながら追従する。


 ゼフドたちがテントを後にしても、ガダンの手下たちが追いかけてくることはなかった。




 
















 ゼフドたちはシルルンの元に向かって移動していたが、ガダンは歩く速度が遅かった。


 だが、それについてはゼフドは何も言わなかった。


 ゼフドたちが多数の難民たちが生活するエリアに入ると、アキは先行してシルルンの元に駆けて行った。 


「シルルン様!! ガダンを連れてきました。もうすぐゼフドと一緒にここに来ます」


 アキはにっこりと微笑んでシルルンに報告した。


「えぇ~~っ!? マジで!?」


(なんで連れてくるんだよ……)


 シルルンは戸惑うような表情を浮かべている。


「……マジで連れてきたのか」


(あの二人はそんなに強いのかよ……)


 ゴツイ男は驚いたような顔する。


 しばらくすると、ゼフドたちがシルルンの前に到着し、ゼフドはガダンをシルルンの前で両脚で跪かせた。


「シルルン様、無法者の拠点に乗り込み、その首領のガダンという者を捕らえて連れてきました」


 ゼフドはシルルンの前で跪いて、真剣な硬い表情で報告した。


「うん、ご苦労様」


「はっ」


 ゼフドはシルルンの横に並んで腕を組み、ガダンを見下ろした。


「ほう、お前らの頭はお前たち同様にえらく若いんだな……」


 ガダンはシルルンを見上げて、意外そうな顔をする。


「あんたはなんで手下にゼフドたちを襲わせたんだよ?」


 シルルンは探るような眼差しをガダンに向けた。


「普通に交渉するだけが交渉ではあるまい。ときには脅しをかけるのも交渉のひとつだからだ」


 ガダンは平然と言った。


「ということは、あんたが手下に指示したんだね?」


「いや、そうではない。だが、儂は殺しは禁止しとるが脅しは手段のひとつだと考えておる。故に手下が攻撃を仕掛けたのは儂の責任だろうな」


 ガダンはそう言って表情を曇らせた。


「う~ん……手下が勝手に攻撃したけど、手下は脅すだけで殺すつもりはなかったって言いたいんだね」


 シルルンは困惑した表情を浮かべている。


「……そうなるな」


 ガダンは言うと同時に『読心』でシルルンの心を読んだ。


(この少年は金、物、女奴隷に執着がない……さらにこのこと自体をめんどくさいと思っている……このままでは衛兵に引き渡される)


 ガダンは信じられないといったような表情を浮かべていたが、一変して苦虫を噛み潰したような顔に変わった。


 彼が衛兵に引き渡されても、金を積んで解放されるのでそれ自体には何の問題もないが、奴隷を扱うような商売は舐められたら商売が難しくなることを彼は知っているからだ。


 追い詰められたガダンは、シルルンの心象世界にダイブした。


 心象世界にいる間は、時間は停止する。


 彼は『読心』の他にも『心眼』を所持していた。


 『心眼』は物事の本質や真偽を見分けられる能力だ。


 ガダンは奴隷時代の拷問により、目や鼓膜を破壊され、鼻は焼かれて舌は切られ毒を飲まされて感覚は麻痺し、徹底的に五感を破壊されて死に掛けていた。


 それでも彼は死にたくないと思っており、残された心で辺りを探ることをやめなかった。


 すると、ガダンは汚物塗れの樽の中に入れられていることを理解し、この時に『心眼』に目覚めたのだ

 

 そのため、彼は『読心』だけでは探りきれない人物に対して、『心眼』も同時に使用したときに心象世界にタイブした。


 ガダンは大商人、有力者、貴族、将軍などの大物と話す機会があれば、必ず心象世界にダイブして、その人物を探った。


 心象世界は人により様々な世界を構築しているが、その全てが何かしらの姿をした者が存在した。


 その姿は、彼の経験では人型の姿をした者は一人もおらず、一番多いのは動物で次に虫で動かない物質の場合もあった。


 ガダンはその存在を本体と呼んでいた。


 心象世界では、本体の本性が剥き出しになるので、相手が何を心から望んでいるのか簡単に分かるのだ。


 彼が心象世界にダイブした全て大物たちは金か異性を求めており、寡黙で人格者と謳われる大将軍が虫の姿でキチキチ鳴きながら、もっと褒めてくれと言っているのを聞いた彼は、驚くのと同時に人とはこの程度なのだと理解したのだった。

 

 そして、シルルンの心象世界は真っ暗闇だった。


 だが、ガダンはダイブした数人の心象世界でも同じような経験あったので驚くことはなかった。


「本体はどこだ?」


 ガダンは暗闇の中を見渡した。


 彼は真っ暗闇だった時の本体の姿は、赤いクラゲだったと記憶している。


 ガダンは辺りを見渡しても本体は見つからず、不意に視線を上に向けた。


 すると、ゆらゆらと揺れ動く本体を発見したガダンは傍に移動した。


 ゆらゆらと揺れ動く本体は炎で、ガダンは顎に手をやって炎を注視した。


「なぜ、何も喋らんのだ?」


 ガダンは訝しげな顔で炎を見つめていたが、痺れを切らして炎に手を伸ばす。


「うがぁああああああああああああぁあああああぁぁぁ!?」


 焼き尽くされるような激しい衝撃が全身を突き抜けたガダンは絶叫し、一瞬で意識が途切れた。


「……な、なんだったんだ今のは」


(本体に触れても何も起こらないはずだが、この炎は違うのか?)


 ガダンは上体を起こして、難しそうな顔した。


(しかし、この炎の衝撃は何なんだ……? あらゆる拷問に耐え抜いた儂が絶叫して意識を失うとは凄まじすぎる……意識を失って倒れたことで炎から離れなければ死んでいたのではないか?)


 ガダンは全身から冷や汗が吹き出て顔面蒼白になり、視点の定まらない目で炎を見る。


「なっ!? 青い炎だと!?」


 ガダンの顔が驚愕に染まる。


 彼の見える世界は拷問により、モノクロだったのだ。


 ガダンは何度も目にポーションをかけて治療したが、治ることはなく、心象世界でもそれは同じだった。


「こ、この青い炎に触れたから目が回復したのか……」


 ガダンはひどく神妙な面持ちで青い炎を見つめている。


「おっさん、よく無事だったなぁ」


 ガダンは不意に声を掛けられて、反射的に声が聴こえた方向に顔を向けた。


 すると、そこにはボロ布を体に巻きつけた乞食のような見てくれの男が立っていた。


「お、お前はなんなんだ!?」


(こ、この少年には本体が二人いるのか? しかも、片方は見たこともない人型だ……)


 ガダンは大きな驚きと共に強い疑惑を覚えていた。


「あ? 俺か? 俺は基本的にヘタレだ」


「……い、いや、儂はお前の性格を聞いているのでない」


 ガダンは面食らってぽかんとするが、一変して呆れたような顔つきになった。


「あ? だから俺は『基本的にヘタレ』という能力なんだよ」


「な、なんだと!? お前は本体ではなく能力だというのか!?」


 ガダンは放心状態に陥った。


「ていうか、おっさんこそここに何をしに来たんだ?」


「……儂は交渉中でな、何かヒントがあるやもしれぬとここにきた」


「だったら無駄だ。俺はずっとここにいるがこいつは何も話さないぜ」


「そ、そうなのか……お前こそここで何をしているんだ?」


 ガダンは興味深そうな表情で尋ねた。


「あ? いう必要があるのか?」


 基本的にヘタレは射抜くような鋭い眼光をガダンに向ける。


「い、いや……」


 ガダンは言葉に詰まり、得心のいかないような顔を浮かべている。


「俺はここでこいつを見張ってるんだ」


「言うんかい!?」


(いったい何なんだこいつは!?)


 ガダンはむっとしたような顔をしていたが、大きな溜息を吐いた。


「まぁ、そんなことよりおっさんは、早くここから出てったほうがいい。こいつは危険だからな」


「それは触れた儂が一番分かっている……だが、その炎に触れたら儂の目が正常に戻ったのが気になっていてな……」


 ガダンは深刻な表情を浮かべている。


「あ? こいつにそんな効果があるなんて俺は知らんけどな」


「なっ!? 知らんのか?」


 ガダンは面食らったような顔をした。


「俺が触れても何もないからな」


「なるほどな……」


 ガダンは青い炎をじっと観察していたが、はっとしたような顔をした。


(なぜ儂は危険な存在である青い炎から逃げようと思わないのだ……もしや、母親の呪いが解けて感情まで治ったのか!?)


 ガダンは考え込むような表情を浮かべていたが、嬉々として青い炎を探るべく、青い炎の心象世界にダイブしてその深淵を覗いた。


 すると、ガダンは巨大なハンマーで頭をぶっ叩かれたような激しい衝撃と体を巨大な手で握り潰されたような激しい衝撃が全身を駆け抜けて、口から泡を吹いて両の目はぐるりと上を向いて意識を消失した。


 青い炎の中から伸びた巨大な前脚は、ガダンを掴んで青い炎の中に引きずり込もうとした。


「馬鹿がっ!!」


 基本的にヘタレは掌底を巨大な前脚に叩き込み、巨大な前脚はガダンを放して青い炎に中に引っ込んだ。


 ガダンは意識を失って倒れていたが、しばらくするとフラフラと立ち上がって青い炎の前に移動した。


「……こ、この青い炎の中にいる、きょ、巨大な……青い化け物は、ま、まさか、ド、ドラゴンなのか……?」


 ガダンは顔が興奮で赤らみ、歓喜に打ち震えている。


「あ? のんきなもんだなおっさん。俺が助けなければおっさんは死んでたぜ」


「あぁ、恩に着る。一回目もお前が助けてくれたんだろ? そうだと思っておったから儂は躊躇なく探ることができる」


 ガダンは子供のように無邪気に目を輝かせて微笑んだ。


「……狂ってやがる」


「で、どうなんだ?」


 ガダンは期待に満ちた表情で尋ねた。


「あ? そうだ。おっさんが言う通りあれはドラゴンだ。だが、あのドラゴンは俺が押さえ込んでいるが、最近、もう一匹『反逆』という化け物が増えて俺も手こずっている」


「なっ!? やっぱりかっ!!」


 ガダンは納得したような顔で微笑んだ。


 彼はシルルンという少年がドラゴンとさらにそれより強い化け物を内に秘めていることに、なんと強大な存在なのだと畏敬の念を抱かずにはいられなかった。


 ちなみに、基本的にヘタレが放つ掌底には、対象をヘタレにする効果がある。


 だが、『反逆』には魔法や能力を吸収して耐性がついたり、奪ったりする効果があるので、基本的にヘタレが『反逆』に掌底を打つ度に劣勢になっていた。


「満足したならさっさと帰れ」


「分かっておる。世話になったな」


 ガダンは基本的にヘタレに深々と頭を下げた後、心象世界を後にしたのだった。
















 心象世界から帰還したガダンは、考え込むような表情を浮かべていた。


「う~ん、だったら衛兵に引き渡すしかないよね」


 シルルンの言葉に、ガダンは地面に頭を擦りつけて土下座した。


「待ってくだされ!! どうか儂をシルルン様の……いや、王の配下に加えてくだされっ!!」


 ガダンは地面に頭を擦りつけたままで、必死な表情で訴えた。


 彼はシルルンのあまりの強大さに痺れており、産まれて初めて心の底から仕えたいと思う存在に巡り逢えて喜びに打ち震えていた。


 彼にとってシルルンが善であろうが悪であろうがそんなことはどうでもよく、これまで押さえ込まれていた感情が爆発し、それを心の思うままに委ねてみると彼は土下座して哀願していたのだ。


「ふざけるなっ!!」


 ゼフドはガダンを蹴り上げて、ガダンは地面に叩きつけられながら吹っ飛んで、ズタボロになって地面に突っ伏した。


「おいおい、やべぇだろあれは……」


「……し、死んだんじゃないの?」


 遠巻きに状況を眺めていた難民たちは、不安そうな表情を浮かべている。


 ガダンは着ていたローブがボロボロに破れていたが、ムクリと上体を起こして立ち上がった。


「早ぇなオイッ!?」


 シルルンは面食らったような顔をした。


 ガダンがこれほど早く起き上がれた理由は、『不屈』を所持しているからだ。


 『不屈』は即死級のダメージを受けても、死なないというものだ。


 ガダンはフラフラと歩き出し、今にも倒れそうだが目だけはギラギラしており、シルルンの前で歩みを止めた。


「……死にたいのか?」


 ゼフドは害虫でも見るような目でガダンを睨んだ。


「貴様は黙っておれ!! これは王と儂の話だっ!!」


 ガダンは憤怒の表情で声を張り上げて、破れたローブをぶち破り、フンドシ一丁になって仁王立ちした。


「……なっ!?」


 ゼフドはその姿を目の当たりにして絶句した。


 だが、彼が絶句したのは、ガダンがフンドシ一丁になったからではない。


 それはガダンの身体のいたるところにある、壮絶な拷問の痕跡が原因だった。


 彼の身体は無数の抉られた痕と火傷や全身の皮を剥がれた痕が窺えた。


 さらに手の指にいたっては何本も欠損しており、足の指は全て失われていた。


「……あ、あんたは知ってたの?」


 女剣豪が悲痛な表情で男騎士に尋ねた。


「あぁ、男連中は皆知っている……」


 男騎士は沈痛な面持ちで言った。


 ある時、彼は仲間たちと一緒に風呂に入っていた。


 すると、男が一人で風呂に入ってきたが、その人物がガダンだったのだ。


 ガダンは凄まじい拷問により感情をなくしており、着ている服も質素で、食べ物も奴隷たちと同じものを食べており、金にも女にも物にも執着がなかった。


 そのため、風呂さえも時間が合えば彼は奴隷たちと一緒に入っていたのである。


 男騎士たちは驚いて、左右に広がって湯に浸かる場所を空けたが、彼らはガダンの体を目の当たりにして、大きく目を見張って固唾を呑んだ。


「……」


(俺はマスターに買われて意味なく殴られたことはなかった。だから先輩たちがマスターに敬意を払っていると思っていたが、これを見たからだったのか……この人はいったい、どれほどの拷問を耐え抜いてここに立っておられるのか……)


 男騎士は胸に熱いものがこみ上げて目に涙が滲み、畏敬の念を抱かずにはいられなかった。


「……王よ……どうか……どうか儂を王の配下にしてくだされ!!」 


 ガダンは再び地面に頭を擦りつけて土下座した。


「でも、あんたは奴隷商人でしょ? 僕ちゃん奴隷商人はいらないんだよ」


 シルルンは不快そうな顔で言った。


「では、奴隷屋は廃業いたします。それで、どうでしょうか?」


 ガダンは地面に頭を擦りつけたままだ。


「う~ん……どうしょうかな……」


(鉱石を売ったり、食料を調達しないといけないから商人は欲しい……)


 シルルンは難しそうな顔した。


「……儂は奴隷屋以外に武器屋やポーション屋もやっております。絶対に役にたってみせますので、どうか……どうか……儂を配下に加えてくだされ!! お願いします!! お願いします!! お願いします!!」


 ガダンは狂ったように叫びながら、頭を何度も地面に叩きつけてシルルンに哀願した。


「ひぃいいぃ!? わ、分かったから頭を叩きつけるのはやめなよ」


 シルルンは弱りきった表情を浮かべている。


「あ、ありがとうございます!! このガダン、王のお力になれるよう尽力いたします」


 ガダンは額からだらだらと血を流しながら、歓喜に打ち震えている。


「……う、うん」


 シルルンは苦い表情で頷きながら、思念で「ガダンの傷を回復して」とプニに指示を出した。


 プニはシルルンの肩からふわふわと飛んでいき、ヒールの魔法とファテーグの魔法を唱えて、ガダンの体力とスタミナが全快した。


「おお!? これはすごいですな……一回の魔法で全快するとは……さすが王が使役される魔物ですな」


 ガダンは熱い眼差しでプニを見つめている。


 プニはふわふわとシルルンの肩に戻った。


 シルルンはプニの頭を優しく撫でた。


 プニは嬉しそうだ。


 こうして、ガダンがシルルンの仲間に加わったのだった。

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