76 キング ビー③
話は元の時間軸に戻る。
青い鎧の男たちはビー種の群れと戦いを繰り広げていた。
「ちぃ、弱ぇくせにしつこすぎるだろ!!」
「下りて来いってんだ!!」
前衛職たちはレッサー ビーの群れに向かって激しい怒声を浴びせる。
「後衛職が多すぎるから隊を編成するぞ」
青い鎧の男は指示を出して、隊をA隊、B隊、C隊に再編成した。
第一連合の前衛職の数は三十人ほどで、後衛職は二十人。他には掘り手が十人いるが、彼らは戦闘要員ではない。
第二連合の生き残りは、後衛職が二十人ほどだ。
青い鎧の男は三つの隊に分ける際に、前衛職と後衛職の数が均等になるように編成した。
だが、依然としてビー種による『毒針』の攻撃は続いていた。
「ずっとこんな感じなの?」
女魔物使いは訝しげな顔で青い鎧の男に尋ねる。
「まぁな……このエリアに入ってからずっと攻撃はされてるがそれでも進んできたんだ」
青い鎧の男はうんざりしたような表情を浮かべている。
「これって統率された動きに思えない?」
「『以心伝心』のせいじゃないのか? 蜂とか蟻はもってるらしいぜ」
「そうじゃなくて、誰かが指揮を執ってるような動きに思えるわ」
「そうか? 俺には縄張りから出ていってほしいが、被害は出したくないから空から『毒針』を放ってるように思えるがな」
「一匹一匹がそんなふうに思って行動してると本気で思ってるの?」
女魔物使いは呆れたような表情を浮かべている。
「だから『以心伝心』があるから、一匹がそう思えば全体がそうなるだろ」
「それは自我意識を持つ指揮者がいる場合よ。まぁ、退いてみたら分かると思うけど」
「どういうことだよ?」
青い鎧の男は不可解そうな顔をした。
「この攻撃は指揮官がいて私たちを倒そうと消耗戦を仕掛けてきてると思うのよ。なぜなら、ずっと攻撃が続いてるからよ」
「……いや待て、指揮官がいるとこまでは同意できるが、その指揮官が俺が言ったように俺たちに早く消えてほしいから攻撃を続けている線はあるだろ?」
「それはあると思うけど、そうだとすると私たちが退いたら攻撃は止むはずよ」
「だから俺はそうじゃないかと最初から言ってるんだよ……お前たちの回復次第で森のエリアに退くつもりだがどうなんだ?」
「落ち着きは取り戻してるわ。あとはあなたの判断よ」
「なら後退する」
「皆に伝えてくるわ」
女魔物使いは回復に努めている仲間たちの元に歩いて行った。
しばらくすると、冒険者たちはゆっくりと森のエリアへと後退を始める。
「……なっ!? なぜ、後退する!?」
キング ビーは驚きのあまり血相を変える。
(このままでは逃げられてしまう……しかし、なぜだ? 増援と合流して戦力は上がっているはずだ。あの増援は撤退を知らせるための部隊だったのか? いや、こちらの思惑に気付かれたのか?)
キング ビーは考え込むような顔をした。
「こうなっては仕方がない……人族を全て殺すのは断念するしかないな……」
キング ビーは『以心伝心』で指示を出し、配下たちを自身の元に呼び寄せた。
「ほらみてみろ! 俺たちが退いたらビー種はいなくなっただろ」
青い鎧の男はしたり顔だ。
「どうやらそうみたいね……認めるわ」
女魔物使いは自嘲気味に肩をすくめた。
「これなら魔物がいないから早く森のエリアに行けそうだ」
「……そうね」
(でも、ビー種が本当に私たちを撤退させたいのなら、私たちが本当に撤退するか確かめるために監視をつけるはず……)
女魔物使いは歩きながら何度も振り返って、ビー種を探している。
「戦闘続きの前衛たちを早く休ませたいが、またビー種に攻撃されたらたまらんから、森のエリアまでは休憩なしで行くしかないな」
「……」
(ビー種がおかしいぐらいに一匹もいない……警戒すべきと忠告したいけど言っても無駄でしょうね……)
女魔物使いは難しそうな表情を浮かべていた。
だが、彼女はビー種が攻撃を仕掛けてきたとしても、消耗戦にしかならないはずだと思っていたが、一抹の不安を消せないでいた。
一方、キング ビーの元には続々と配下たちが集まっていた。
その数およそ六百匹。
下位種が五百匹、通常種が百匹、そして、上位種が十匹である。
「人族に逃げられるくらいなら、共闘してでも多くの人族をクイーン ホーネットに捧げるほうが評価としては高いはずだ……」
キング ビーは複雑そうな表情を浮かべていたが、連絡に出していた配下から『以心伝心』の知らせを聞いて、苦虫を噛み潰したような顔をした。
(フロスト ホーネット殿は不在か……)
キング ビーは意を決したような表情を浮かべて、手下を率いて移動し始める。
彼は数匹の配下たちを森のエリアまで先回りさせていた。
その配下たちから冒険者たちが森のエリアに入ったことを『以心伝心』で聞き、キング ビーたちは一気に加速して、縄張りと森のエリアの境目まで移動する。
「森の木々が邪魔だな……」
キング ビーは遥か上空から冒険者たちを観察しており、冒険者たちが開けた草原に出たところで、配下たちに一斉攻撃の号令を掛ける。
レッサー ビー五百匹は冒険者たちの遥か上空まで移動して、一斉に『毒針』を放って無数の針が冒険者たちに降り注ぐ。
「ぎゃあぁあああぁぁあああああぁぁ!!」
「うあぁあああぁぁあああぁぁ!!」
「ぐぁあああぁぁあああああああああぁぁぁ!!」
針は三隊の冒険者たちに直撃し、冒険者たちの絶叫が木霊する。
「一番後ろの隊を集中的に狙えっ!!」
キング ビーは『以心伝心』で指示を出し、ビー百匹とハイ ビー十匹がC隊の頭上に移動して、一斉にウインドの魔法を唱えた。
無数の風の刃がC隊に襲い掛かり、前衛職たちは風の刃に身体を切り裂かれて全滅する。
「よし!! 下位種たちは前二つの隊に火力を集中させろっ!!」
キング ビーは『以心伝心』で指示を出し、下位種の群れはA隊とB隊の頭上に分かれて『毒針』を放ち続けている。
「退いたんじゃなかったのかよ!! 態勢を整えて反撃しろ!!」
A隊を率いる青い鎧の男は怒りの形相で声を張り上げた。
「何言ってるの!? C隊の救援が先でしょ!!」
B隊を率いる女魔物使いは激昂し、B隊はC隊に向かって駆け出した。
B隊がC隊の元に到着すると、B隊の後衛職たちが魔法や矢を放ってビー種の群れを攻撃し、ビー種の群れは魔法や矢を大きく旋回して回避する。
「なんだと!? なぜ合流する!?」
キング ビーは驚きのあまりに血相を変える。
B隊の前衛職たちがC隊の瀕死の後衛職たちを担いで森の中に逃げ込んで、B隊の後衛職たちもその後を追いかける。
B隊を攻撃していたレッサー ビーの群れは上空から『毒針』を放つが、針は木々に当たって冒険者たちに届かかない。
「ぐぬぅ……やられたわ。これでは数の優位が生かせぬ」
キング ビーは悔しそうな顔をした。
B隊の回復職たちはC隊の瀕死の後衛職たちにヒールの魔法やキュアの魔法を唱えて傷や毒を回復し、司祭たちや魔法師たちがシールドの魔法やマジックシールドの魔法を唱えて、透明の盾が展開されていく。
ビーの群れとハイ ビーたちは森の上空まで移動し、十匹ほどのビーたちが森の中に突入して魔法や『毒針』で攻撃するが、透明の盾に阻まれる。
「ぐぅう……なんと厄介な魔法だ」
キング ビーは忌々しそうに体を震わせている。
ビーたちは十匹ほどで攻撃し続けているが、後衛職に反撃されて倒されると森の上空に待機するビーたちが森の中へと突入していく。
「ぬぅ、これではこちらが減らされるだけではないかっ!?」
(もう手段は選んでおれん!!)
キング ビーは『以心伝心』でレッサー ビーたちに号令をかける。
これにより、森の上空で待機していた二百を超えるレッサー ビーの群れが、一斉に突撃して全方向からBC隊に襲い掛かった。
「うぉおおおぉ!? なんだいきなり!?」
「ぎゃあああああぁああぁああぁああぁぁ!!」
「うぁああああぁぁあああぁぁ!!」
冒険者たちはレッサー ビーたちにしがみつかれて噛み付かれながら、『毒針』を突き刺されて絶叫する。
「こんな攻撃に出るなんて……」
女魔物使いは大きく目を見張る。
彼女が無事なのはペットのスネークが、彼女の身体に巻きついて守ったからだ。
スネークにとってレッサー ビーの攻撃など問題にはならず、それは前衛職たちも同様だが貧弱な後衛職たちは死に掛けていた。
「よし今だ!! 突撃せよ!!」
キング ビーは『以心伝心』で号令を掛けて、ビーの群れがBC隊に目掛けて突撃する。
「させるかよっ!!」
やっとA隊が駆けつけて、後衛職たちが一斉に魔法を唱えて、攻撃魔法が突撃寸前のビーの群れに直撃し、五匹ほどが墜落してビーの群れは混乱状態に陥った。
A隊を追いかけていたレッサー ビーの群れは、森の中に突入せずに森の上空で待機して指示を待っている。
彼らはA隊に百匹ほど倒されて、百五十匹ほどまで数を減らしていた。
A隊の前衛職たちはBC隊とビーの群れの間に割って入り、BC隊を攻撃しているレッサー ビーの群れを斬り殺していく。
「ちぃい!! 怯むな!! 突撃せよ!!」
キング ビーは『以心伝心』でビーの群れに号令を掛けて、ビーの群れは混乱から回復し、BC隊に目掛けて一斉に襲い掛かる。
「ぎゃあああああぁぁあああぁぁ!!」
「うぁあああぁぁああああああぁぁ!!」
「がぁああああぁぁああああぁぁ!!」
BC隊の瀕死だった後衛職たちは、全方向からビーの群れに攻撃されて一瞬で全滅した。
「そ、そんな……」
女魔物使いは雷に打たれたように顔色を変える。
スネークたちは女魔物使いを護るだけで精一杯で、ビーの群れは狂ったようにBC隊の前衛職たちを攻撃しており、A隊の前衛職たちはビーの群れに突撃する。
「あそこだ!! いけっ!!」
キング ビーは『以心伝心』で号令を掛けて、森の上空で待機していたハイ ビーたちが、A隊の後衛職たちに目掛けて凄まじい速さで突撃する。
「うあぁああああああぁぁ!!」
「がぁあぁあああぁぁあああぁぁ!!」
「ぎゃああああぁぁあああああぁぁ!!」
ハイ ビーたちは前脚の爪でA隊の後衛職たちの首を跳ね飛ばし、A隊の後衛職たちの半数が首から血を噴出させて即死した。
「よし!! 我も行くぞ!!」
キング ビーは凄まじい速さで森の中へと突入し、A隊の前衛職たちの前まで移動してポイズンの魔法を唱える。
緑色の霧に包まれたA隊の前衛職たちの数人が、毒に侵されて激しい痛みに顔を歪めて跪く。
「この蜂がぁ!!」
青い鎧の男は怒りの形相でキング ビーに突撃して剣を振り下ろしたが、キング ビーは空に上昇して躱した。
キング ビーは上空から『毒針』を放ち、針が青い鎧の男に襲い掛かるが、青い鎧の男は鋼の盾で針を弾く。
「ほう、やりおるわ……お前が頭か?」
「なっ!? 話せるのか!?」
青い鎧の男の顔が驚愕に染まる。
「当たり前だ。我は蜜蜂族の王ぞ」
キング ビーは言うと同時に上空から『毒針』を放ち、自身も青い鎧の男に目掛けて突撃する。
青い鎧の男は盾を構えて針を弾き、突っ込んでくるキング ビーに剣を振るうが、キング ビーは左に躱して剣は空を斬る。
キング ビーはウインドの魔法を唱え、風の刃が青い鎧の男に襲い掛かるが、青い鎧の男は間一髪転がって回避した。
「――っ!?」
(どっちだ? 下か上か?)
転がった青い鎧の男は視線を空に向けるが、キング ビーは地を駆けており、そのまま体当たりをぶちかまし、青い鎧の男はあまりの衝撃に吹っ飛んだ。
キング ビーはすぐにウインドの魔法を唱えて、風の刃を放って上空に飛び上がり『毒針』を放つ。
青い鎧の男は吹っ飛びながらシールドの魔法を唱えて、自身の前に透明の盾を展開し、その後ろに盾を構えた。
しかし、空から急接近する針に対して青い鎧の男は透明の盾で針を弾いたが、風の刃は盾に直撃して左腕は負傷して盾は拉げた。
「……強ぇじゃねぇか」
(だが、仲間たちと連携すれば勝てる強さだ……)
青い鎧の男は盾を投げ捨てて不敵に笑う。
乱戦になっている冒険者たちとビー種の戦いは、BC隊は女魔物使い以外は全滅していた。
A隊の前衛職は七人が生き残っており、後衛職は三人以外は全滅した。
後衛職の三人は咄嗟に女魔物使いの元に退避したことにより助かったのだ。
この三人は魔法師、司祭、弓豪で、女魔物使いと隊を組んでいた仲間である。
ビー種にいたっては、レッサー ビーがA隊を攻撃している150匹以外は全滅。
ビーは全滅し、ハイ ビーは三匹が生き残っている。
まとめると以下が生き残っている戦力。
冒険者
青い鎧の男と前衛職七人。
女魔物使いとスネーク二匹。
司祭、魔法師、弓豪。
ビー種
キング ビー
ハイ ビー三匹。
レッサー ビー約百五十匹。
対峙している青い鎧の男とキング ビーの元に、生き残った者たちが集まった。
周辺には凄まじい数の死体が転がっており、まさに地獄絵図である。
「マジかよ……これだけかよ?」
青い鎧の男は仲間たちを見て呆けたような顔をした。
「……絶対に許さんぞ!!」
青い鎧の男は怒りに顔を歪めてキング ビーに突撃し、五人の前衛職たちが続いて、残りの二人は後衛職たちの守りについた。
キング ビーは『以心伝心』で号令を掛けて、ハイ ビーたちと共に冒険者たちを迎え撃つ。
レッサー ビーの群れは森の中に突入して、後衛職たちに『毒針』を放つ。
青い鎧の男はキング ビーに肉薄して剣を振り下ろしたが、キング ビーは空に上昇して回避した。
キング ビーはウインドの魔法を唱えて、風の刃が青い鎧の男に襲い掛かるが、青い鎧の男は右に跳躍して回避する。
だが、着地地点にも風の刃が飛んできており、青い鎧の男は咄嗟に体を捻って躱した。
「あっぶね!! どこから飛んできやがった!?」
青い鎧の男は不可解そうな顔した。
ハイ ビーたちと前衛職たちは激しい戦いを繰り広げており、青い鎧の男は視線をハイ ビーたちに向けて、はっとしたような顔をした。
「なるほどな……『以心伝心』でハイ ビーたちを魔法の砲台にしてやがるんだな……」
(俺が差しの勝負に応じているのは仲間たちがハイ ビーたちを倒す時間稼ぎだが、奴はそれに気づかぬふりをして、最初からハイ ビーたちと連携して俺を潰しにきてたのか……)
青い鎧の男は額から汗が噴き出して戦慄を覚える。
しかし、ハイ ビーたちの一匹が、矢に撃ち落されて地面に墜落する。
後衛にいる弓豪が放った『三連矢』が直撃したのだ。
半壊したハイ ビーは、前衛職たちに一瞬で解体されてバラバラにされた。
「よしっ!! あと三匹だ!! 気を抜くなよ!!」
青い鎧の男は満足げな表情で叫び、仲間たちは真剣な硬い表情で頷いた。
「ぬう……なんと厄介な……」
キング ビーは忌々しげな表情を浮かべている。
ちなみに、弓豪の射程距離は弓やクロスボウの種類にもよるが二百メートルを軽く超える。
これは一般的な攻撃魔法の射程距離を大きく上回るのだ。
レッサー ビーの群れは後衛職たちを攻撃し続けているが、前衛職二人とスネーク二匹に次々と落されていた。
そして、ハイ ビーたちも弓豪の矢に落とされて墜落し、前衛職たちに一瞬で解体される。
「あとはお前一匹だ」
青い鎧の男は勝ち誇ったような顔で言った。
「……なんとか間に合ったようだな」
「何!? なんのことだ?」
「……奥の手は常に隠しておくものだ」
キング ビーは獰猛な笑みを浮かべている。
彼は冒険者たちと戦う前に二つの手を打っていた。
一つはフロスト ホーネットに援軍を要請したことだが、キング ビーはこれについては諦めていた。
もう一つはロード ビーたちに、さらに配下たちを集めさせていたのだ。それがもうすぐの距離にまで迫っているのである。
「何? 奥の手とはどういうことだ?」
青い鎧の男は訝し気な顔をした。
しかし、状況は一変する。
何者かが空から飛来したからだ。
「……な、なんだこの化け物は!?」
(こ、これが奥の手なのか?)
青い鎧の男は息を呑んで後ずさり、彼は視線をキング ビーに転じたが、キング ビーも驚愕して後ずさっていた。
「うぁあああああぁぁあああああああぁぁ!?」
「あ、あれはロード アントじゃないのか!?」
「俺たちを追ってきたんだ!!」
後衛職たちが絶叫し、真っ青な顔をして後ずさる。
「……い、いえ、違うわ……その化け物はロード ホーネットよ!!」
女魔物使いは目の中に絶望の色がうつろう。
ロード ホーネットの全長は六メートルを超えており、体は黒と銀のストライプ柄で凄まじい殺気が全身から噴出していた。
「なぁ、お前たちが出くわしたロード アントとどっちが強いんだ?」
「圧倒的にロード ホーネットが強いわよ」
女魔物使いは恐ろしく真剣な顔つきで即答した。
そして、ロード ホーネットが地面に下り立ち、青い鎧の男たちとロード ホーネットが対峙する。
「ははは、なんてこった……こんなの最上級職を連れてきても無理だろ」
青い鎧の男は乾いた笑みを浮かべる。
そして、それが最後の言葉になった。
青い鎧の男はロード ホーネットに、瞬く間に頭を食い千切られたからだ。
ロード ホーネットは食い千切った青い鎧の男の首を「ペッ!!」と吐き出した。
「うぁぁあああああああああぁぁぁ!?」
地面に転がった首を見て、前衛職たちは恐慌状態に陥り、一斉に逃げ出そうとするが体が動かなかった。
ロード ホーネットが『威圧』を放ったからだ。
ロード ホーネットは前衛職たちの首を前脚の爪で刎ね飛ばし、凄まじい速さで飛行して後衛職たちの前に移動する。
「お前たちも動けんのか? 全くもってつまらんな……」
ロード ホーネットは不満そうな顔をした。
女魔物使いたちはあまりの恐怖に奥歯をガチガチと鳴らしながら涙をながし、失禁する者が続出する。
スネークたちは必死に体を動かして、女魔物使いの体に巻きつきついた。
ロード ホーネットは前脚の爪を振り下ろし、前脚の爪が頭に直撃した女魔物使いはスネークもろとも砕け散った。
スネークたちが動けたのは、すでにロード ホーネットが『威圧』を解いていたからである。
しかし、誰一人動くことができずに、ロード ホーネットの前脚の爪で首を刎ねられるか、あるいは砕け散ったのだった。
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