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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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56 女魔物使い 修


 シルルンたちはキャンプ村に入ってキャンプエリアに向かって歩いていく。


 このキャンプ村も四隅の門がキャンプエリアになっている。


「なんかこのキャンプ村には魔物使いが多いわね」


 リザが意外そうに呟く。


「うん、魔物使いは少ないはずなんだけどね」


 シルルンたちはキャンプ場に到着して、速やかに眠りについた。


 そして夜が明けて、朝食をすましたシルルンたちはキャンプ村を後にする。


「シルルン様、どこを掘るおつもりですか?」


 アミラは探るような眼差しをシルルンに向ける。


「まぁ、とりあえず一番近い北の山でいいんじゃないかな」


「はっ」


 シルルンたちは北の方角に向かって進み始める。


 キャンプ村の周辺にはレッサー アースゴーレムの数が多く、いたるところで冒険者たちと戦いを繰り広げている。


「へぇ、包囲型でテイムをやってるよ」


 驚いたシルルンは歩みを止める。


 女魔物使いは透明の六面体でレッサー アースゴーレムを包み込んでおり、レッサー アースゴーレムは頭と左腕が破壊されていた。


 彼女の傍らには二匹のマンティスが控えており、仲間たちが真剣な表情で成り行きを見守っている。


 レッサー アースゴーレムは右腕でパンチを放ち、結界に直撃するが弾かれて結界に魔力を吸収される。


 女魔物使いは険しい表情を浮かべており、額から汗が流れ落ちた。


 レッサー アースゴーレムはパンチを何度も結界に叩き込んでいたが、次第に動きが鈍くなって動かなくなった。


 結界は消失し、女魔物使いは安堵の表情を滲ませてレッサー アースゴーレムに向かって歩き出す。


「あのシルルン様……包囲型とはどういう意味なんでしょうか?」


 メイは難しそうな顔でシルルンに尋ねた。


「魔物使いのテイムの型には大きく二通りあるのよ。鎖型のほうが新しい型だけど初級から中級向けで、包囲型は古い型だけど中級以上が使う型なのよ」


 シルルンの代わりにリザが答えた。


 彼女は空いた時間を利用して、魔物使いに関する本を読み漁って勉強していたのだ。


 それは好きな男のことを少しでも理解したいという女心の表れだった。


 だが、メイはリザを見ようともせずにシルルンの顔を見つめており、リザは顔を強張らせる。


「うん、まぁ、そうだけど六面体だけどね」


「六面体とはどういうことなんでしょうか?」


 メイは手帳にメモをとりながらシルルンに尋ねた。


 彼女はリザの説明を聞いていたが確証がなかったので聞き流していたのだ。


「六面体とは包囲型の種類のことで、上位の型になるにつれて面数が増えていき、最終的には球体が最上位になります」


 ラフィーネが答えたが、メイはラフィーネを見ようともせずにシルルンを見つめている。


「あはは、合ってるよ。けどラフィーネは戦士系なのに物知りだね」


 シルルンはラフィーネの頭を優しく撫でたが、それを目の当たりにした女たちの顔には殺気が滲んでいた。


 彼は寒気を感じて身をぶるりと振るわせた。


「あは、シルルン様はレッサー アースゴーレムをテイムしようと考えてるんですか?」


 アキは瞳を輝かせる。


「う~ん、荷物運びには便利な魔物だと思うんだけど動きが遅いからねぇ。テイムするとしたら採掘ポイントが見つかってからかな」


「そうなんですね」


 アキは残念そうな顔をした。


 シルルンたちがテイムの見学をしている間も、ビビィはタマに乗ってマルとキュウを率いてレッサー アースゴーレムを倒しまくっていた。


 彼女は赤い玉が弱点だと理解して遠くにいるレッサー アースゴーレムには、マルとキュウに赤い玉を壊すようにお願いし、彼女自身は近づいてくるレッサー アースゴーレムのコアをウインドの魔法で破壊して倒す効率を上げている。


 当然のように、ドロップしたアイテムは男盗賊が回収してまわっていた。


「なぁ、嬢ちゃん、金の塊がドロップしたぜ」


 男盗賊が金色に輝く金の塊をビビィに見せた。


 彼はビビィのことを数もろくに数えられないアホだと思っていたが、戦い方を見て考えが変わって頭は悪くないと考え直していた。


「なにそれなにそれ?」


「前にドロップした銀の塊より、遥かに高く売れる金の塊だ」


「むっ、高く売れるって五個くらい?」


 ビビィは訝しげな顔をした。


 彼女は片手の数、すなわち一から五までしか数を知らず、五が最大だと思っていた。


「なぁ、譲ちゃん。この世界には悪い奴らがいっぱいいる。せっかく譲ちゃんが集めた塊も数の数え方を知っていないと嘘をつかれて損をするぜ。例えば本当なら果物五個と交換できるのに果物一個になったりする」


「えっ!? そうなの?」


 ビビィは驚きのあまりに血相を変える。


 住んでいた湖には嘘をつく者などいないからだ。


「だから、嘘を見抜く知識を身につけろ。五個の次の数は六個って言うんだよ」


 男盗賊は左手を広げ五を表現し、右手で人差し指だけを立て一を表現して六をつくってみせた。


「なにそれなにそれなにそれ!!」


 ビビィはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。


「そして、七、八、九、十ってことだ」


 男盗賊は右手の数をゆっくり、一本ずつ増やしながら言った。


「七、八、九、十……」


 ビビィは男盗賊の指を凝視しながら、自身の手で指の数を増やしながら呟いている。


 そんなビビィを見つめる男盗賊は、満足げな表情を浮かべていた。


 やはり、ビビィは頭は悪くないと再確認した彼は果物を例に出したことが良かったと思い、彼の授業は続くのだった。


 シルルンたちは先に進もうとするが、女魔物使いがマンティス二匹を連れてシルルんたちに向かって歩いてきた。


「ふ~ん、ロパロパを連れてるなんて珍しいわね」


 女魔物使いがなめまわすような視線をシルルン向けた。


「そっちのマンティスも珍しいんじゃない?」


 シルルンはマンティスたちに視線を向けて顔を顰めた。


 マンティスたちは暴れる様子もなくおとなしかったが、シルルンは数いる魔物の中でマンティスを選んだ女魔物使いの人間性に疑問を覚えていた。


 しかし、テイムには相性があり、強い魔物の適性がマンティス種にしかなかったのかもしれないと彼は思い直す。


「そりゃそうよ。マンティス種はテイム難度も高いし相性も悪い魔物だからねぇ」


 女魔物使いは自信満々だ。


「あはは、僕ちゃんはハイ マンティスをテイムしようとして失敗して、危うく死にかけたことがあるんだよ」


「えっ!? あなた、よく生きてたわね……」


 女魔物使いは呆れたような顔をした。


「あはは、僕ちゃんだけなら即死だったけどね。君はマンティス種と相性がいいみたいだから、ハイ マンティスをテイムしてみたらいいんじゃないの?」


「そりゃあ、できればそうしたいわよ。けどねぇ……」


 女魔物使いは苦虫を噛み潰したような顔をした。


「ハイ マンティスはトーナの街から南東に二百キロメートルぐらい進んだところにある森にいるみたいだよ」


「そんなの知ってるわよ。通常種をテイムできるテイマーなら次は上位種を狙うからねぇ」


 女魔物使いはふんと馬鹿にしたように鼻を鳴らした。


「ふ~ん、じゃあ、なんでテイムに行かないの?」


 シルルンは軽く眉を顰めた。


「あそこはマンティス種の巣窟よ。テイムなんてできる環境じゃないわよ。あなたはどこでハイ マンティスをテイムしようとしたのよ?」


 女魔物使いは困惑したような表情を浮かべている。


「さっき言った森の中に大穴があるんだけど、その大穴の中で遭遇したんだよ」


「その大穴って軍が動いた大穴攻略戦があったところよね? あなた、そんなところからよく生きて帰れたわねぇ……」


 驚いた女魔物使いは思わず『魔物解析』で黒いロパロパを視ると、上位種のハイ ロパロパだった。


 彼女はシルルンのことを同格だと思っていたが実際は格上だったのである。


「あはは、まぁ、一緒に行動していた人たちが強かっただけだよ」


「そ、そのロパロパ……通常種と思っていたけど上位種じゃない……」


 女魔物使いは声と表情を強張らせる。


「うん、そうだよ」


 シルルンはフフ~ンと胸を張った。


「起きたデス!!」


「デシデシ!!」


 シルルンのシャツの中で眠っていたプルとプニが元気いっぱいに跳び出して、シルルンの肩にのった。


「えっ!? ……黒いロパロパに二匹のスライムを連れている少年……あ、あなたもしかして【ダブルスライム】なの!?」


 女魔物使いはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。


「あはは、そう呼ばれたりもするね」


「や、やっぱりそうなのね。あ、会えて光栄だわ」


 女魔物使いは顔が興奮で赤らんで体をブルブル震わせた。


 彼女はシルルンの装備が聞いていた通りに、本当に貧弱すぎると驚いた。


 シルルンは女魔物使いに周辺のことを教えてもらい、女魔物使いは仲間の元に戻って行った。


 女魔物使いから得た情報は、この辺りは魔物使いの数少ない修練の地だということだった。




















 シルルンたちは北の山を目指して進む。


 依然としてレッサー アースゴーレムの数は多く、減る気配は一向になかった。


 だが、北の山に近づいていくと鉄で形成されたレッサー アイアンゴーレムに遭遇した。


 レッサー アイアンゴーレムは下位種の中ではトップクラスの攻撃力と守備力を誇る。


 だが、レッサー アースゴーレム同様にコアは丸出しだ。


 ブラたちは遠巻きにレッサー アイアンゴーレムを囲んでおり、ブラがレッサー アイアンゴーレムに突撃した。


 ブラは瞬く間にレッサー アイアンゴーレムとの距離をつめて剣をコアに突き刺した。


 すると、レッサー アイアンゴーレムは何もできずに崩れ落ちて砂鉄の山に変わった。


「マスター、銀の塊をドロップしました。砂鉄の山はどう致しますか?」


「うん、かなりの量があるし、もったいないから袋に入れて回収してよ」


 シルルンは魔法の袋から数枚の麻袋を取り出してブラに手渡した。


 ブラたちは砂鉄を麻袋に詰め込んで、アミラたちが麻袋をシルルンの元に運んできた。


 シルルンは麻袋を魔法の袋に入れて、シルルンたちはゴーレム種を倒しながら進んで北の山に到着したのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。


レッサー アイアンゴーレム レベル1 全長約2メートル

HP 200~

MP 25~

攻撃力110

守備力120

素早さ 10

魔法 無し

能力 HP回復 スタミナ回復



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