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92 またつまらぬものを切ってしまった

 おー、いるいる。

 私の目にはマグマの中を仲良く泳ぐタツノオトシゴ2匹。

 ただ、視界にはその2匹だけど、探知さんがおっしゃるにはマグマの下にナマズが1匹いるっぽい。

 ナマズはタツノオトシゴを襲うでもなく、ゆったりとマグマの中を泳いでる。

 ふむ。

 おそらく同じ進化系の魔物なんだろうし、別に一緒にいてもおかしくはないか。


 タツノオトシゴ2匹にナマズ1匹。

 進化前だったらちょっと躊躇する布陣だけど、進化したこの体の性能がいかほどなのかそろそろ実戦で測っておきたい。

 それに、進化前ですら鰻を仕留めた私に、今更その退化系の魔物なんて雑魚としか言えない。

 負ける気がせん。

 ふへへ。

 そういうわけで、この体と、新しいスキルの性能を試すモルモットになってもらいましょうか。


 とりあえず先制攻撃。

 いつもの投石でございます。

 毒は、今回はいいや。

 純粋な投石でどれくらいダメージが増えたか見てみたい。

 前はHPを5、6減らすくらいだったから、10くらいは減るかな?


 というわけで、コンナハズハー!


 …このネタ分かる人いるんかな?

 おし、当たった当た、った?

 なんかものすごいいい音がして石が砕け散ったんだけど?

 パカーン言ったよ?

 パカーン。

 タツノオトシゴ衝撃でマグマの中沈んじゃったけど、死んだ?


 あ、浮いてきた浮いてきた。

 うお!?

 HP三分の一近く減ってる。

 マジか。

 

 あ、火球飛んできた。

 遅!?

 え、これ本気?

 本気のストレート?

 カーブとかスライダーじゃなくて?

 鰻に比べて遅すぎるわ。

 これなら鼻歌歌ってても避けられるよ。

 いや、私鼻歌歌えないんだけどさ。


 マジかー。

 予想以上の成長っぷりに私自身びっくりだよ。

 どうしよう?

 このままだと投石だけで勝てそうな勢い。

 でも、マグマの中で死なれると、死体回収できないからなー。

 過食のおかげでスタミナには余裕があるけど、できればストック増やしておきたいしなー。


 あ、ナマズ浮上してきた。

 ん?

 そのままタツノオトシゴに助太刀するの?

 やっぱ同じ進化系だけあって、仲間みたいな意識は多少あるんだ。

 タツノオトシゴ同士も、普段は別々に行動しててそんな仲間仲間いう感じじゃないけど、近くにいた場合は協力したりするしなー。

 てことは、最悪鰻もこいつらと共同戦線はったりするのか。

 それは勘弁してほしいなー。


 ナマズの火球を避ける。

 うん。

 遅い。

 タツノオトシゴに比べると、若干だけど速いし大きい。

 けど、鰻に比べるとその差は歴然。

 仲間云々なんてどうでもいいことを考えながらでも避けられる。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『並列思考LV8』が『並列思考LV9』になりました》


 ああ。

 戦いながらどうでもいいこと考えてたもんね。

 

 とりあえず、このまま避け続けて、あいつらのMPが切れるのを待とう。

 投石で沈めることもできるけど、やっぱ死体は回収したい。

 そのためには陸地に上がってもらってから仕留めないと。

 あ、タツノオトシゴは下手に攻撃すると死にそうだけど、ナマズだったら大丈夫かな?

 ぶっちゃけ3匹同時の火球でも私にはかすりもしない。

 ただ避けるのも暇だし、そのほうが投擲と命中の熟練度上がるからいいか。


 というわけで、もういっちょコンナハズハー!


 おし、当たった当たった。

 うん。

 さすがナマズ。

 ほとんどHPは減ってない。

 防御力高いしね。

 物理防御だけだったら私にも匹敵するからね。


 待て。

 考えてみたら私の防御力ってナマズより高くなってたのか!?

 改めて考えてみるとすげーな!

 このどう見てもやわそうな蜘蛛ボディが、あのどう見ても硬そうな鱗満載のナマズボディに勝るのか…。

 この世の神秘だわー。


 益体もないこと考えてたらタツノオトシゴ1匹のMPが切れた。

 そのままノソノソ陸に上がってくるおバカさん。

 自分の攻撃こんだけ避けられれば、実力差も分かりそうなもんなのにな。

 あ、ちょっと待てよ?

 今ちょっとまずいことに気付いちゃったぞ。

 ナマズ、あいつ勝ち目ないと逃げるよね?

 

 それは断じて許せないよ?

 タツノオトシゴは逃げても「まあいいかー」で済ますけど、ナマズ、オメーはダメだ。

 逃がさない。

 絶対に絶対だ。

 オイコラ。

 何早速ビビった顔してんだ?

 怖くない、怖くないよー?

 だからさっさと陸地に上がっておいでー?

 大丈夫だって。

 怖くないからー。


 待てや!

 逃げるな、ボケ!

 邪魔じゃタツノオトシゴ!

 立ちはだかったタツノオトシゴに前足の鎌を振り抜く。

 スパーンという擬音が聞こえそうな感じで、タツノオトシゴの体が真っ二つになった。


 は?

 えええ?

 これ私がやったのかい?

 すげーな私の鎌。

 あ、ひょっとしなくてもこれ、私の手で直接殺した魔物第一号なんじゃない?

 今までは毒殺ばっかだしねー。

 猿は落下死とか圧殺死とかしてるけど、直接殺したのはこれが初か。

 初にしてはあっさりしすぎてて実感がない。

 というかナマズ!

 あ、ああ…。

 逃げられた…。

 私のナマズ…。

 今日の美味しいご飯…。


 もう1匹のタツノオトシゴがちょうど良くマグマから這い上がってきた。

 この怒りはコイツにぶつけよう。


 まずは、麻痺を追加した弱毒からいってみよう。

 というわけで、体当たりの準備をしてるタツノオトシゴの横にスっと移動。

 キョトンとしてるやつに問答無用で毒合成。


 お?

 おお!

 痺れてる痺れてる。

 これが麻痺かー。

 って、HPも結構な勢いで減ってるぞ?

 投石と同じくらいのダメージが入ってる。

 なんで?

 あ、弱毒も一応毒だからそりゃダメージあるか。

 いや、でも弱毒は麻痺の効果確認するために、ダメージの設定低めに設定したはずなんだけどな。

 なんでこんなにダメージ入ってるの?

 もしかして、毒もステータスでダメージの量増える?

 

 もしそうなら、弱毒でこれだよ?

 鰻すら屠った蜘蛛猛毒はどうなるの?

 …考えるだけで恐ろしい。


 私の戦闘能力は、私が思う以上に向上していた。

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