第五章 将の器 6
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師弟のやり取りを聞いていたスピカの目に再び残忍な色が浮かんだ。
「さて、それはそれとして・・・」
腕を押さえてうずくまるアモンの元へとゆっくりと歩いた。
「ス、・・・スピカ師。お慈悲を・・・」
スピカは哀れみを乞うアモンの前に立つと傍らに転がる腕を踏みにじった。
「アモンよ。権力者、と言う事を何か勘違いしていないか?なんでも自分の思い通りになると思ってないか?」
「あ、あ、お許しを・・・」
「お前が知らないだけで権力なんて物を一瞬で消し去る事が出来る存在がある。そういう存在からお前を見るとなんて醜くて浅はかな生き物なんだろうと思のだ」
「死にたくないのです。命ばかりはお助け下さい」
「敢えて支配者にならぬ者の矜持などお前にはわかるまい。まぁ分からなくても良いが・・・お前は傲慢さ故に私の影を踏んだのだ」
言いながら何度も腕を踏みにじるスピカから発せられる圧力に誰も声を発する事が出来なかった。
ただ2人、ハンニバルとレントだけが平然としていた。
顔面が蒼白となり、もはや命乞いの言葉さえ出せずにアモンは踊るように激しく震えていた。
「許すと思うか?醜くて浅はかな生き物の傲慢を私が許すと思ったのか?」
「こ、ここに居る兵士たちの命を捧げます。何でもお望みの物を差し上げます。」
「兵士の命・・・だと?それはここに居る全ての兵士の命か?」
「もちろんでございます。キュプの国民は全て私の命令1つで命を差し出します」
「だがお前はキュプの王などではないだろう」
スピカの言葉でそこに居た全てのキュプ兵が衝撃を受けた。
アモンの身体が電流を受けたかのように震えた。
「ス、スピカ師。そのような事を今言わずとも・・・」
「お前は8年前に王の体を乗っ取って王のフリをしているただの盗賊だろうが」
兵士たちの間にざわめきが起こった。
8年前、人が変わったようになってしまった王を不審に思う者が少なからず居た。
むしろ口に出さないまでも不審に思う者が大多数だったと言うべきだろう。
「違う・・・!違うぞお前たち、俺は・・・俺はお前たちの王だ!」
うろたえるアモンに殺気立った兵士たちが剣を手ににじり寄った。
「我らの王は自身の安泰の為に我らの命を差し出したりしない」
「おのれは8年前の魔法使いか?我らの真の王はどこに居る?」
「我らの真の王はどこに居る?」
「我らの真の王はどこに居る?」
「我らの真の王はどこに居る?」
「答えよ盗賊!」
「答えよ!」
詰め寄られたアモンの目が不意に裏返った。
同時に闇の中で気味の悪いカラスの叫び声が長く尾を引いてこだました。
「アモンめが、カラスに乗り移ったか。完全に王の体から抜け出しおったな」
そう言って手に光り輝く珠を発生させたスピカにキュプの兵たちがすがりついた。
「スピカ殿、我らの王は死んでしまわれたのか?」
「我らの命で良いならいくらでも差し出す!王を助けて下され」
「お願い申す。我が命で王を、どうか王をお助け下さい」
兵の1人が自らの首に剣を押し当て懇願した。周りの兵士たちもそれに倣って自決しようと剣を首に当てるに至ってスピカが答えた。
「あーもう、お前たちのせいで逃がしてしまったではないか。わかったわかった、ちょっと待ってろ」




