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第六章 邂逅の獣 11

 何通りものパスワードを入れ、通信機の微調整をして応答コマンドが開かれると、モニターに異常に鼻の大きな年配男性が映し出された。


「ティーワラー博士!私です、フランです!」

〈おお、フラン、今どこだ?何をしている?〉

「今は閉鎖された鮮魚加工工場に居ます。フレンダー王も一緒です」

〈フレンダー王?生きていたのか。すまないが代わってくれ〉

「承知しました。さぁ王さま、代わって下さい」


 差し出された通信機に向かって王が答えた。


「ティーワラー博士、私だ。フレンダー王だ」

〈しばしお待ち下され。・・・ふむ、骨格一致、網膜一致、声紋も一致しております。間違いなくあなた様こそ我が王フレンダー様でございます〉

「この厳しい状況の中、研究所を死守してくれた事、本当に感謝している。我々も血路を開いてそちらに合流するつもりだ。共にエイボンと戦おう」


 フレンダー王の言葉にティーワラー博士がニヤリと笑った。


〈フフフフフ、フレンダー王、その必要はありません〉

「必要がない・・・だと?いったいどういう意味だ?」


 うろたえるフレンダー王にいたずらっぽい笑みを浮かべた博士が答えた。


〈既にそちらへ掘削推進型兵器のクロウラーを向かわせております〉


 謀反でも企てようとしてるのかと思い込んだフレンダー王がドッと音を立てて座り込んだ。

その横でふと、ある事に気付いたフランが通信機に向かって問いかけた。


「博士、クロウラーを【既に向かわせた】と言いましたよね?」

〈え?あ、ああ・・・そう・・・言ったかな?〉

「爆発させる気でしたね?」

〈・・・あの、・・・誤解があるようだが何でそんな事を言うのかな?〉

「通信機に位置情報が出ているにも関わらず敢えて時間稼ぎの為に会話を長引かせましたよね。もしも王さまが贋者だったら私ごと吹き飛ばすつもりでしたね?」

〈いやいやいや、誤解だ。私がそんな事をする訳が無いだろう〉

「でしたらなぜ高速運搬のホークアンダーを使わずに爆弾型のクロウラーを発進させたのですか?」

〈う・・・ううむ・・・で、電波状態が悪いようじゃの・・・よ、よく聞こえん・・・〉


 ティーワラー博士がそう言った直後に通信が途絶えた。

呆気に取られていたフランが突然鬼のような形相で怒鳴り声を上げた。


「じじい!通信を切りやがった!」


 フランの剣幕に怖気づいたフレンダー王が床に座り込んだままエリクシアの方を向いた。

エリクシアもまた呆気に取られたままフレンダー王の方を向いた。


「エリクシア殿、私は間違った選択をしてしまったのではないだろうか?」

「科学者は少しばかり頭のネジが飛んでた方が有能だと言う事もあります。どちらにせよ他に選択肢などありません」

「そうであろうか?」

「そうですとも。反対に考えれば王に仇為す逆賊を殲滅するつもりだったと言う事ですから」

「そ、そうであろうか?」

「そうですとも。お気を確かにお保ち下さ・・・ん?」


 テーブルの上のグラスが微かにカタカタと揺れた。

直後、地響きと共に巨大なドリルが物凄い勢いで地中から飛び出してきた。

機体どころか先端のドリル本体まで高性能爆薬だとひと目でわかる。こんな物が爆発したら少なくとも5キロ四方は跡形もなく吹き飛び焦土と化すだろう。


「エリクシア殿、・・・私は間違った選択をしてはいないだろうか?」

「お、・・・王の判断に間違いはございません」








「・・・そうであろうか?・・・そうで・・・あろうか?」


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