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第六章 栄誉無き軍神 6

 紫色の光に包まれたレントがヘルプラネット中央の穴から円筒形の縦トンネルへと引き上げられていった。

見上げた遥か先にポッカリと光が見える。

随分と遠いなと思う間も無く光がグングンと大きくなっていきなりその先の空間に突き抜けた。広く真っ白な空間に真っ黒なコアが浮かび、無数のコードや鋼材が張り巡らされていた。

50体ほどの機械兵を引き連れたアスタクリスがレントの前に立っていた。さっきとは違い筒型で幾何学模様の入った赤い民族衣装のようなものを着ている。


「ミクラスワルツへようこそ。レント様・・・と呼んでも良いかしら?」

「アスタクリス、なんのつもりだ?このヘルプラネットを中から俺に破壊して欲しいのか?」

「ヘルプラネットですか、ミクラスワルツを随分と禍々しい名前で呼ぶんですね」

「俺がそう名付けた訳じゃないが気に入らないならミクラスワルツと呼ぼう。で、ここに呼んだ理由は何だ?」

「あなたは私の為に泣いてくれた、怒ってくれた。だからあなたとお話がしたかったの。いけない?」

「・・・随分とつまらない理由だな。それで何の話がしたいんだ?」

「何でもいいわ。あなたとずっと一緒にお話がしたい」

「そうか、・・・じゃあ今後の予定について話そう。アスタクリス、君はこのミクラスワルツで何か事を起こすつもりなのかな?」

「もちろんそのつもりよ。まずはグレイブ、つまり今のネスカリカね。何艇あるのか知らないけどそこに残存する多用途ミサイル艦を殲滅して、その後で各国に対して服従を要求するつもりよ」

「あー・・・、まぁそう来るかとは思った」

「手に入れた領土は全部レント様に差し上げますわ」

「それは予想外だったな。・・・さて、他に話す事が無ければ帰らせてもらうよ」


 レントのその言葉にショックを受けたアスタクリスが慌てて食い下がった。


「私は、私はあなたに世界を差し上げると言ってるんですよ!その意味がお分かりにならないの?」

「誰がそんな事を頼んだ?」

「え?いや、だって欲しいでしょ?世界。誰が頼んだとかじゃなく・・・」

「君の周りにはつまらん奴らしか居なかったみたいだな。力づくで奪う事しか出来ない。アクタクリス、君は君を傷付けた奴らと同じ事をするのか?」


 戸惑った顔をしたアクタクリスを悲しげに見ながらレントが続けた。


「ともかく僕は何も要らない。むしろ君が僕に何かをしてあげたいと思うなら、今後誰も殺さないで欲しい」

「それは・・・多分ムリだと思う」

「そうか。まぁそうだよなぁ。どうだろう?もしもこの黒い球体を僕が粉々に壊して・・・」

「それこそ無理だわ。修復機能があるもの」

「その修復速度よりも早く壊せば良いんだろう?」

「そうだったら良かったんだけど、跡形もなく粉々に壊しても再生するのよ。あなただってこのミクラスワルツが無から出来上がるのを見たでしょう?」

「なら君自身がミクラスワルツを自ら破壊して・・・」

「それも無理。私はそう言う風に造られていないの」

「そうか・・・だったら本当に僕が出来る事なんてひとつも無いな」

「私と一緒に王国を作りましょうよ!あなたが居てくれるなら私は人も殺さないし他国を攻めたりもしないわ」


 アクタクリスの言葉にレントは両手で顔を覆った。指の間から涙が溢れ出し、レントは声も立てずに泣き出した。


「なんで?どうして泣くの?一緒にいた女の人のせい?」

「違う。君が悲しくて涙が止まらないんだ」

「私が?いったいどういう事?」

「僕が死んだ後はどうするつもりなんだ?」

「毎日あなたの事を考えながら生きていくと思う」

「未来永劫、この先何千年もの間ずっとか?本当にそんな事が出来るのか?」

「さぁ、どうかしら。自分でもわからないわ」

「僕が殺されてもそうするか?」

言われたアクタクリスが怒りもあらわに吐き捨てるようにつぶやいた。




「・・・そんなの国もろとも滅ぼすに決まってるじゃない」

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