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第六章 栄誉無き軍神 1

更新が仲々出来ない中ブックマークを剥がす事なく読んで下さっている皆さん、新たにブックマークを付けていただいた皆さんに感謝です。

 神官や僧兵たちを艦内に収容して、ハイネルドがネスカリカへと針路を取った。

航行中に夢幻号の艦長室で語られたレントによる概略説明にハイネルドとマルコスが深い溜息を付いた。


「ルクレの言ってた事は間違いじゃ無かったようだな。問題はヘルプラネットをどうするかだが・・・」

「殲滅させなければ人類が滅ぶかも知れないですな。ルクレはどう思う?」

「主無しで自立行動ば取る戦闘用アンドロイドだべ?ほっといたら人っ子ひとり生き残らねえべさ」

「それで、そのヘルプラネットってのは壊せるのか?」

「全火力を投入してやっとこ壊せるんでねえべか?やってみねえと分からねぇだ」

「なんだか不安だな」

「コアさえ出ればオラの轟天号で再生不能にできるけんども、問題はそれが出来るかどうかだべ」

「コアさえ出せれば・・・か」

「轟天号はヘルプラネットのコアば破壊する為だけに特化してるだでなぁ」

「それは轟天号だけなのか?」

「んだ、轟天号だけだべさ」

「なるほど、チャンスは1度きりって事だな」


 黙り込んでいるレントに気付いたハイネルドが首をかしげた。


「レント、どうしたんだ?」

「ん?何でもない。・・・いや、そうじゃないな。・・・オレはこの件から手を引く」

「どういう事だ?」

「ああ、うん。・・・弟子が出来たんでな。しばらく剣術修行の旅に出ようと思ってる」

「急にまた・・・一体どうしたんだ?」

「いいじゃないか!どっちにしろオレが居なくても何も変わらないだろう?」

「おいおい、何をそんなに怒ってるんだよ。落ち着けレント」


 言われてハッとなったレントがバツの悪い顔をしてうつむいた。


「・・・落ち着いてるさ。・・・それよりも全火力を投入しちまったらこの艦隊は他国の脅威にはならなくなる。ヘルプラネットに総攻撃をかけてからじゃ遅いから今のうちに近隣各国に恩を売るべきだな」

「うん、なるほど。それは言えてるな」

「確かに。ヘルプラネットと戦う事に変わりが無いのですから利用すべきですね」


 マルコスがそう言った直後、夢幻号を激しい揺れと振動がを襲った。


「いったいどうした?」

「ヘルプラネットから振動波?そったら機能は無かったハズだべさ、ロク、座標をモニターに映してけれ」

「ルクレ様、モニターに表示したべ、11A-38B、ここから約400キロだべ」


 すぐに映し出された画像にはヘルプラネットが居ると思われる点と地図とが表示されていた。


「ここはミクラだべなぁ」

「ミクラ?」

「ヘルプラネットば製造して保有していた国だべ」

「地図で見るとヂキール帝国の外れあたりになるな。故国の遺跡を破壊するほど過去の恨みが深いって事か」

「そったら感情的なもんでは無えべ。あっこで何らかの付随特性機能ば取得したと見て良いかと思うべ」

「付随特性機能?」

「んだ。本来だば重力破壊と移動能力ぐれぇで振動波なんて無かっただ。ミクラにオラたちの知らねぇヘルプラネットに組み込める兵器が他にもあったと見るべきだべさ」

「それは・・・マズイ状況なんじゃないのか?」

「んだなぁ。対抗出来る想定の範囲内だばいいんだどもなぁ」

「まぁ俺たちとしてもそう願うしか仕方がないんだが・・・どちらにしても俺たちはやる事をやるだけだな」

「それは各国との連携と言う事ですか?」

「ああ。マルコス、具体的にはどうすればいいと思う?」

「そうですね・・・まずは今向かってるネスカリカと同盟を結ぶべきです。それからヂキール帝国、マール公国らと友好を結び、そしてキュプ王国からは軍費と資材、食料を搾り取れるだけ搾り取るべきでしょう」

「なぜキュプ王国だけ厳しい対応をするんだ?」

「あそこが1番大きな国で、尚且つ信用も信頼もならない国だからです。国力を消耗させないといつ襲って来るか分かったモンじゃありません」

「なるほどな。よし、そのへんはお前に任せる。必要だと判断したら艦隊の威容を見せつけてやれ」

「ヘルプラネットの件が無ければ全面降伏させる事も出来たでしょうに、残念です」


 傍らで通信作業をしていたグマがハイネルドたちの所へ来て一礼した。


「報告するべ、ネスカリカの地下洞窟で両手首と足首とが切断されたピサロ神官長の死体が発見されたべさ」

「手足の先を切断?・・・いくらなんでもそれはむごいな」

「切断面は止血処理ばされて、死因は餓死、半裸状態で・・・その・・・」

「どうした?続けろ」

「同じ所に閉じ込められた餓死寸前の神官が証言してるって事だども、そいつを洞窟の部屋の前で見張りに立たせて、どうやらアスタクリスに悪さばしてたらしいだ」

「「「!!!!」」」

「ほんで、次の日の明け方にピサロ神官長の叫び声がして扉をこじ開けようとしたら手足が完全に生え揃ったアスタクリスが内から扉を開けて襲いかかって来たって事だべ」

「全然むごくねぇな!」

「ああ!もっと苦しませてやりたいぐらいだ!!」

「コホン、えー・・・お2人共あまり感情的にならずに。しかしこれでネスカリカとの同盟関係を交渉する相手が居なくなってしまった訳ですね」

「は?」

「あ?」

「・・・え、ええと・・・何か変なことを言いましたか?もしや同盟する気が無くなったとか?」

「何バカな事言ってんだ。そんな訳無いだろ」

「交渉相手がこの船に乗ってるのに寝ぼけた事言うなよ」

「え?あっあ・・・?あの、それはいったい?」

「ええい、まだるっこしい。レント、ガブリエルを連れて来てくれ」

「おう、ついでにここでファウンランド国王による43代目神官長への祝辞もやっておくか?」

「それはいいな。ネスカリカのつまらん連中が何か画策する前に広めちまおう」


 呆然と突っ立ったまま話を聞いていたマルコスが怒っているのか笑っているのか分からない表情で顔を歪めた。







「この人たちは・・・まったく!まったくこの人たちは!!」

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