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第六章 巨人の神殿 11

 アスタクリスが突然笑い出した。

あっけにとられているサンドラに笑いながら言った。


「ねぇ、どうして私があの神官たちを生かしてたと思う?私を壊したらあのヘルプラネットが落ちて来てここに居る全員が死ぬ事になるわよ。もっともあの人は飛べるみたいだからあなたと2人は助かるでしょうけどね」


 レントを見ながらアスタクリスが続けた。


「あなたヘルプラネットが落ちてくる前に、ここに居る全員を一度に運ぶ事が出来る?それとも見捨てるのかしら?」

「見捨てるってのは寝覚めが悪いな。先にあのヘルプラネットとやらを壊してしまえばいいだけの話だろう」

「修復能力のある直径約5キロの球体を?あなた気は確か?」

「直径5キロ?・・・うーん、5キロは無理だろうなぁ。・・・ロングスピア号で来なかった理由は人を一気に運べないようにするためだったのか?」

「ああ、それはまた別よ。私が蘇ったのと同様にもしかしたら敵対国の古代兵器が残ってるかも知れないと思ったから。敵国の機械の私があの船に乗ったら最悪船内で破壊されるかも知れないし、そこに信号が届くかも知れないでしょう?」

「ああ、確かに有り得るな。だがそれを言ったらヘルプラネットを起動しても信号が届くんじゃないのか?」

「そうね。もしも敵対国の古代兵器が残って居るとしたら、攻撃して来るかも知れないわね」

「じゃあそれを待ってみるか」

「どっちみち無駄よ」

「無駄?」

「どんなに攻撃を仕掛けて来たってヘルプラネットを破壊する事なんて出来ないから」

「ずいぶんと自信満々だな。良かったら理由を聞かせてくれないか?」

「簡単なことよ。あなたたちが壊した機械兵器の黒い球体、あれに似た物がヘルプラネットの核になってるの」

「壊せるかどうか試したくなるセリフだな」

「壊せるわよ」

「な、なにぃ?」

「ただし・・・」

「ただし?」

「ええ、ただし、機械兵器の核とは違って粉々に壊しても再生するわ。学習、プログラムの出来るヘリキシウム鋼とパウダー状にされた最高硬度のアルム鋼とで構成されてるんですもの」

「なぜそれを教える?」

「人間を滅ぼすと決めたから。だから教えるの」

「どういう意味だ?」

「人間側が圧倒的に不利だからチャンスと希望を与えるのはフェアだと思うわ。ただし聞かれなければ言わない事と、聞かれても言えない事はあるわ。でも嘘は一切言わない」

「・・・そうか。じゃあ聞こう。やめる事は出来ないのか?」

「出来ないわ」

「どんな条件を出してもか?」

「どんな条件を出してもよ」

「心のどこかで負けてもいいと思ってはいないか?人間を滅ぼすのを止めて欲しいと思ってはいないか?」

「その質問には答えないわ」


 対峙していたレントがスッと顔を背けてアスタクリスから遠ざかった。


「サンドラ、オレには出来ない。・・・頼んでもいいだろうか?」

「うん、きっと出来ないだろうと思ってた。・・・いいわ。私がやるわ」

2人の会話を不思議そうに見ていたアスタクリスがレントに問いかけた。

「急にどうしたの?」

「・・・何でも・・・ない」

「どうして泣いているの?」

「泣いてない・・・」


 レントは顔を手でこすって広間の端に歩きだすと、そのまま目を手で押さえながら背中を向けて座り込んだ。

アスタクリスがサンドラに困惑した顔で尋ねた。


「あの人、いったいどうしたって言うの?」

「あなたを壊す事を放棄した。それだけの事よ」

「だから、どうしてよ?」

「あなたが人間を滅ぼしても構わないと思うぐらいかわいそうに感じたんだと思うわ」

「かわいそう?この私が、かわいそう!?」

「ええ、そうよ」

「人間を、大陸を、世界を滅ぼす力を持っている私がかわいそうだと!!」

「あなたは無意識に言ったのかも知れないけど、レントはあなたの言葉に負けた」

「私の言葉に?いったいどういう事?」


 サンドラがアスタクリスにだけ聞こえるように耳元で小さな声で囁いた。







「辱められた。レントはそのあなたの言葉と7千年の孤独を想像したの。彼は少なくとも今は、あなたとは戦えないわ」

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