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第六章 巨人の神殿 10

 半ば呆れ顔でレントがバーリーを問いただした。


「なぁバーリー、お前これが機械だって確信があったのか?」

「教皇猊下って呼ばないと怒り出す奴がその事には触れませんでしたからね」

「お前、その程度の根拠で相手の足を斬り飛ばそうとするとかブッ飛んでるなぁ」

「いやまぁ、最悪本物でも足1本斬り飛ばせば命乞いするかなと・・・あはは」

「あははじゃねぇよ。仲が悪いにも程があるよまったく。まぁいい・・・」


 片足の折れ曲がったピサロもどきに向き直った。


「そもそもお前は何だ?ピサロはどこだ?」

「あの禿げた小男か。今頃地下の牢獄で鼠にでも食われてるんじゃないか?」


 そう言ってる間にも、見る見ると足が修復されていった。

「なるほどな、そしてお前は古代兵器・・・か」

「恐らく自我を持って人を殺す事が出来る物。そうよね?」


 サンドラがオーヴァルブレードを片手に機械に話しかけた。


「私が破壊してきたタイプとは違う。あなたは量産型じゃないわね」

「なぜそう思う?」

「あなたが言葉を話せるから。擬態出来るから。自己修復出来るから・・・理由を挙げたらキリが無いわ」


 不意にピサロの顔が歪み、頭の先からドロリと体全体が溶け落ちた。その下から青い髪の女性が姿を現した。


「そう、それがあなたの本当の姿って事なのね」

「そうよ。あまりこの姿で得をした事も無いけどね」

「もしあればだけど、名前を聞いてもいいかしら?」

「ヘルプラネットの統括者アスタクリス」

「あれがヘルプラネット?」


 サンドラが真上の球体を指すとアスタクリスが軽く頷いた。


「で、大事な事だから慎重に答えてちょうだい。・・・あなたは誰の命令にもよらず、自分の意思で人が殺せるのかしら?」

「慎重に・・・ね。ふふふ、7千年ぐらい前はそんな事出来なかったわ。今はどうかしら?」

「どういう事?」

「敵対国に引き渡された時、私は四肢を切断されて自己修復出来ないように金属から遠ざけられて石と漆喰で塗り固められたまま幽閉されたわ。その時私が何を考えていたかわかる?」

「背中がかゆくても手が無くて不便とか?」

「ふふ、あなた面白いわね。でもそうじゃない。閉じ込められた私を助け出してくれた人に忠誠を誓って世界を丸ごと渡そうと思ったのよ」

「それはそれで物騒ね」

「500年が経った頃、私は助け出してくれた人に一生困らないぐらいの富を渡そうと思ったわ」

「それが6500年前ね」

「ええ、2千年が過ぎた頃、私は助け出してくれた人にのぞみを3つだけ叶えてあげようと思うようになった」

「それでも誰も助け出してはくれなかった」

「ええ、4千年が過ぎた頃、私は助け出してくれた人に1つだけしかのぞみを叶えてあげないと思うようになったわ」

「・・・それで?まだ私の質問の答えにたどり着いてないわね」

「・・・5千年が過ぎた頃、私はこう考えるようになった。・・・もし私を助け出してくれる人が居たら私と同じように死ぬまで闇の中に閉じ込めてやろうってね。これがあなたへの答えよ」


目をつぶったままサンドラが悲しそうにアスタクリスに言った。


「それで、あなたはこれからどうするつもり?自由に生きるだけならヘルプラネットは必要無い筈よ?」

「世界を滅ぼすつもりよ。私を引き渡した者たちも、私を辱め闇に閉じ込めた者たちも、国も、もう存在しない。だけどそれで怒りと絶望が消える訳ではないわ」

「・・・そう。・・・残念だわ」


 サンドラはそう言うとオーヴァルブレードをアスタクリスに向けた。





「この言葉に偽りは無いわ。あなたを破壊しなくてはいけないなんて、とても残念よ」


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