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第六章 巨人の神殿 6

 谷底に着陸した飛空挺からタラップが下ろされると、バーリーがさっそく駆け下りてレントたちを手招きした。


「師匠、ここが師匠の生まれ故郷ですか。自然豊かで良いところですね」

「バーリー・・・お前なぁ、送ってくれたのはありがたいけど何でお前まで来るんだ?神官長の警護とか周囲の警戒とかで忙しいんじゃないのか?」


 レントが苦笑いして言うととんでもないと言う顔をして食い下がった。


「あんな奴の警護なんてまっぴらですよ。それにレント師匠に付き添う事以上に重要な事などありません!」

「いやいや、おかしいってそれ」

「何と言われようとも今日は師匠とご一緒いたします」


 レントと並んで歩いていたサンドラがいたずらっぽくバーリーをからかった。


「神殿付近に居て元帥とか言われるのがイヤなだけなんじゃないの?」

「いやまぁ、・・・それもあります」

「本音が出やがった。しっかし飛空挺を使わせてもらって言うのも何だが、ロングスピア号が見当たらなかったな。乗って来なかったのか?」

「それが10日ほど前から乗るのはおろか近づきもしなくなってね。まぁピサロの考える事は良くわからないですよ」

「ふぅん、そりゃ妙だな。それにしてもバーリー、お前よっぽど今の神官長が嫌いみたいだな」

「そりゃあね、41代目神官長のピーター様亡き後は誰もがみんなガブリエルが神官長になると思ってましたから、誹謗中傷や裏工作をしてその座を横から掻っ攫うピサロの如きコソ泥を好きになれる奴なんて居ません」

「あのガブリエルってそんなに人望があったのかぁ」

「そうですよ。それをピーター様の孫だから血縁優遇だとか世襲だとか言って騒ぎ立てたんです」

「あー、そう言うのあるよなぁ。あ、ここの家が僕の育った家だよ」


 立ち止まったレントが指し示す先に頑丈そうな赤い屋根の家が建っていた。


「まぁ!10年以上放置してるとは思えないぐらい綺麗ね」

「近所の人が時々手入れしてくれてるんだと思う。ここはそういう習慣になってるからね」


 玄関先で話していると裏手の庭からゆうに2メートルを超える大柄な女性がひょっこりと顔を出した。


「あらー!誰かと思ったらレントちゃんじゃないの!」

「あ、クレアおばさん。ひさしぶりー」

「久しぶりじゃないよまったく、それにしても相変わらず小さいねぇ。ちゃんと食べてるのかい?」

「あ、はい・・・まぁ」

「まぁじゃないよまったく。ほらほら、あんたたちもすぐ支度するからご飯食べなさい」


 クレアはそう言うなりさっさとレントの家に入ってキッチンに駆け込んだ。

みんながあっけにとられているとキッチンからクレアの大きな声がした。


「手の空いてるモンは畑からジャガイモとトマト、それから鶏小屋から卵を取って来ておくれ!」


 ビクッとしたバーリーと僧兵、神官見習いたちが慌てて畑に走っていった。


「ねぇレント、ここの人たちってみんなあんなに世話好きなの?」

「いや、クレアおばさんはまた特別なんだよ。僕の母さんの妹だしね」

「あら。じゃあ私もお手伝いしなきゃ」

「え?でもサンドラが手を出したらおばさんが嫌がるから座ってなよ」

「わかってないわねぇ。こういう時は野菜を洗ったり器を出すだけでも全然違うのよ」


 腕まくりをしたサンドラがキッチンに向かって数分後、ドタドタとクレアが走ってきた。


「レントちゃん。あの子どこで見付けて来たの!!」

「え?あの、サンドラがなにかしましたか?」

「しましたかじゃないわよ!水を張った大鍋を平気で運べる女なんてこの村でも私しかいないってのに、あの子ったら軽々と持ち上げてるわよ!」

「あー・・・それはまた・・・」

「もしかしてあの子も私たちと同じ巨人族なの?」

「え?いやいや、全然そんなじゃないです」

「だったら!なんであの子はあんなに力持ちなのよ」







「え、えーと・・・個性です」

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