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第六章 底抜けの馬鹿者たち 7

 リンダの声を聞いてレントとマルコスが呆れたように顔を見合わせた。


「おい、マジでかかったよ。この船ヤバ過ぎねぇか?」

「団長、オレ凄すぎて怖くて泣きそうです」

「オレもだよ。お前には悪いがこの船の船長になれなくて心底ホッとしてるよ」

「うっ」

「頼むよ、頑張れよ船長」

「うああああっ、やめて下さいよ団長」

《早く答えぬか!お前は何者だ?》

「おお、すまんすまん。オレだよリンダ、ハイネは居るか?」

《レ、レント?ちょっと待って、ハイネー、レントよ、代わってちょうだい》

《レント!今どこだ?》

「え?ええと・・・海の上だ」

《ずいぶんと大胆な事をやっちまったらしいな。ネスカリカから盗んだ船を返せとひっきりなしに通信が掛かってきてるぞ》

「え?ちょっと待て。なんでオレがやった事だって知ってるんだ?」

《なんでじゃねーよ。お前は目立ちすぎるんだよ!キュプの王を滅多斬りにした話も聞かされたぞ》

「あちゃー・・・」

《あちゃーじゃねぇよ。まさかとは思うが火山の噴火もお前が原因だったりしないだろうな?》

「・・・・・いや、それは無い。何言ってるんだよ、そんな事ありっこないだろうが。あはははは」

《おい、今の間はなんだ?》

「ま?・・・そんなの無いよ?やだなぁ、即答だよ即答」

《まぁいい、ロングスピア号は俺も見てみたかったが早々にネスカリカに返して来てくれ。失礼の無いように丁重にな》

「しゃあないな。勿体無いけどそうするしかないな、じゃあまた後でな」


 通話を終えたレントにマルコスが咎めるように聞いてきた。


「団長、この船どうするんですか?こんな危険な代物をネフレンカに、しかもルクレも付けて返す気ですか?」

「お前はどうなんだマルコス、絶対に返したくないか?」

「当たり前じゃないですか!船はともかくルクレは絶対に渡しません」

「いい返事だ。じゃあ何とかしなくちゃな。さてとルクレ、さっきの話の続きだがこの船と同じ規模の船があと5隻あるって言ってたな。同型の船はあるか?」

「あるわけねぇべさ、この船は旗艦だで、特別なデザインだべさ」

「そうか・・・まいったなぁ」

「あ、でも練習艦で同型の船はあるだ」

「「それだ!」」

「ちょっと待ってけろ、今座標を調べるだで」


 立体パネルの画面を切り替えたルクレが無数に点滅するポイントの1つを指し示した。


「ここだべ、わりと近いだな。10分もあれば呼び出せるべさ」

「よ、呼び出すぅ?」

「んだ。数値は正常だから心配はいらねぇだよ。だばすぐに起動するだ」

「なぁルクレ、この点滅してる光全部が船なのか?」

「いんや、小っちぇえ機雷やミサイルもあるだし、正常に動くのは緑色のランプのやつだけだべさ」

「緑色のランプ・・・50はあるな」

「オラが命令信号を送ればぜーんぶ起動するし発射されるべさ。その信号を送れるのはオラだけだし、そのオラに発射命令が出せるのはマルコス提督だけだべさ」

「だとさ、良かったなマルコス」

「だ、団長ー・・・」

「あ、そうだべ!提督、腕ば出してけろ」

「うん?どっちの手でも良いのか?」


 ルクレは腰のホルダーから楕円形の金属板を取り出して、差し出された左腕に押し当てた。


「おいおい、何をす・・・なんだこれ?くっついてる!と言うか腕に埋まり込んで同化してるぞ!」

「んだ。使い方は後で説明するけんど、それがあればいつでも好きな時にオラを呼び出せるだよ」

「呼び出すって・・・おごぁあああ!!」


 突然の揺れにマルコスが倒れ込んだ。

強化ガラスの向こうで大きな水柱が立ち、漆黒のロングスピア号が姿を現した。


「ああ、やっと来ただべ」

「あ、あれは?」

「あれがこの船と同型の練習艦、梵天号だべさ」

「古代の遺物とは思えないほどピカピカだな。まるで新造船だ」

「でも団長、色が違うからすぐにバレませんか?」

「確かにこの白銀の船とは全然色が違うな」

「あー、それは大丈夫だべさ。色なんかすぐに変えられるべ」

「もうちょっとやそっとじゃ驚かなくなってきたなぁ・・・」

「オレもですよ団長」





「さあ、へば梵天号に乗り込むだよ。提督、レントさん、早く行くべ」

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