第六章 底抜けの馬鹿者たち 4
今回は作中のほとんどを東北弁で埋めてしまい申し訳ありません。
朴訥で尚且つ言葉と心情がつながる言葉を使いたかったのです。
東北弁って良いですよね。
奥の部屋に案内されたレントとマルコスが息を飲んだ。
豪奢な調度品に囲まれた応接室のような造り、立体に映し出されるグラフや景色、そして中央には大国の王もかくやと思えるほどの玉座があった。ドアを閉めたルクレがレントに聞いた。
「オラに何か聞きてぇごとあるんだべ?」
「ありすぎるんだが、まず何でそんなに訛ってるんだ?」
「仕方ねぇべ、この船が保管されてた所がこの言語を使ってただよ」
「どういう事だ?」
「ずーっと寝てたんだども土ん中がらこの船が掘り出されで、さっき外さほり投げだ人らが入って来ただ」
「うん?ふんふん」
「でな?顔にサイコレーザーを装着したじさまがオラを見でいきなりおっちんだだよ」
「神官長がか?」
「んだ、まわりの人が神官長つうてただ。んでな、あの人だぢがここのドアをガツって閉めで出れねぇようにしたんだ。その気になれば出れるけんども言葉も通じねぇし、出だら殺し合いになるべぇと思って出ながったんだ」
「まぁ間違いなく殺し合いになるわな」
「だべ?だがらな、この船ば保管してだ所の現地の人らの言葉を聞いで覚ぇただよ」
「ここに居てどうやって覚えられたんだ?」
「それがなぁ、喋られねぇだ」
「えええ?なんで?」
「軍事的な機密に関する事だで、部外者には教えられねぇだよ」
「あー・・・なるほど、そりゃそうだ」
「だどもな、あんたがこの船の船長になるって言うんだば話は別だべさ。船長になったらもう部外者ではねぇだで。だべ?」
レントが思わずマルコスと顔を見合わせた。
「これ・・・オレがロングスピア号の船長になっていいのか?ネフレンカで発掘された中でも最大級の遺物で、世界で最も貴重な古代船なんだろ?」
「まぁ・・・分捕り品と言って通用するかどうかと言ったら通用しませんね」
「だな、別に船の機能とか詳しく知りたい訳じゃないしその話は保留にしとこう」
話を聞いていたルクレがボロボロと涙をこぼし始めた。
「ど、どうした?」
「あんだだち、塞がれでだ扉ば開いでオラさ会いに来てけだんでねぇだか?」
「え、ああ、えっと・・・はい」
「この船の指揮ば取ってくれるんでねぇだか?」
「いや、それはその・・・」
「オラは情けねぇだ!こったら人ば信じだオラが情けねぇだよ!」
「団長、女の子を泣かせちゃダメですよ。扉を開けたのは団長なんだから責任は取らないと」
「マルコスお前、オレがネフレンカとの不和の原因になってもいいってのか?」
「いいんじゃないですか?今更敵が少しばかり増えたってそう変わらないでしょう?」
「・・・言われてみればそうだな。ま、いっか。船長なるか。ルクレ、船長になるぞ」
「やったぁ!へば3人のうち、誰が船長になるだ?」
「3人?ああ、ルネアも居たのか」
「はい、ここに」
そう言ってルネアが滲み出すように姿を現した。
「私が口を出す事ではありませんが本当によろしいんですか?」
「成り行きだ。仕方ないさ、さあルクレ、オレが船長になるよ」
「わがりましたレント様、へばさっそく登録させてもらうだよ」
そう言うとルクレはいきなりレントを抱きしめてくちづけをした。
「んえ?んぐん・・・が・・」
「ちゅー・・れろれろ・・んぅー・・・」
1分ほど続いたキスから解放されたレントが茫然自失となって倒れるように座り込んだ。
「残念だどもレント様は純血種のヒューマンじゃねぇだで登録できねぇだ。ん?どうしただ?」
「どうしたもこうしたも・・・・団長、大丈夫ですか?」
魂の抜け殻のようになったレントが絞り出すようにつぶやいた。
「・・・ル、ルネア・・・、頼むからこの事はサンドラには・・・内緒にしておいてくれ」




