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馴染みの剣鬼  作者: スタミナ0
五話「夕発ちの雷」後問
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 高台に一人、二人と集まる。

 誰も彼も銀の首飾りをしていた。

 海を眺める位置にある長椅子に腰掛けた白の僧衣たちは、その光景をただ黙って見ていた。

 近づく雷鳴にも、ときおり顔を向けて。

 それ以外の挙動を発しない。

 明らかに風体も異質で不審。

 加えて、食事会といわれた会場には食卓も無く、料理の一つすら並んでいない。

 それでも、彼らへ猜疑心(さいぎしん)を抱えるほどに注意力が残っている者はいなかった。

 皆が邪悪な魔力に操られている。

 首に下げた銀の首飾りが微かに光った。

 それに呼応してか。

 遠くで雷の音がする。

「来る」

「もうすぐ集まる」

 白い僧衣たちが散開する。

 会場を円で囲うような配置に立った。

 足元の地面に短剣を突き立てて片膝を折り、その場で合掌して祈りの姿勢に入る。高台を訪れた人々は、その輪の中へと進み出た。

 そして。

 不意に僧衣の一人が立ち上がる。

「どうした」

 隣の僧衣がたずねる。

「まだ一人、来ていない」

 まだ一人。

 ここへ来ていない。






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