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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第93話 冒険者ギルドの制度

「ちょ、ちょっと落ち着きましょうよ二人とも!」

 

 そんな重苦しい空気に耐えられなくなったのか受付嬢が声を上げた。


「その、私はリョウガさんの行動が間違っていたとは思えません。もちろんマリスさんのことはもう少し説得してみるとか何かなかったかなとは思いますが、依頼者である村長が内容を偽っていたのは確かなのですから」

「確かにそれはそうだな。だがな、今の話を聞くに村は金の面でそうせざるを得なかったということになる。そこでお前にも聞くが依頼料は分割出来ることを伝えたか?」


 今度はギルドマスターが受付嬢に問いかけた。依頼料の分割――それは俺も初耳だな。


「え? いえ特には……あれって別にこちらから伝える物じゃないですよね?」


 受付嬢が意外そうな顔で答えた。ギルドマスターがため息を吐き出す。


「こっちから伝えないで一体どうやって知るんだよ? 分割は今回みたいに支払う余裕がない依頼者の負担を少しでも減らすために考えられた制度だ。それが伝わらなきゃ意味がねぇ」


 ギルドマスターが答えると聞いていた受付嬢がシュンっとした顔を見せた。


「……まぁ仕方ないとも言えるがな。お前はこっちに移動して来たばかりだ」


 ギルドマスターが言った。移動してきたばかりだからこのギルドの仕組みを完全には理解していなかったということか。


「それにこの制度を快く思ってない連中も多い。ギルドによっては一切伝えず一括で支払えない依頼者を問答無用で追い返す奴もいる」


 ギルドマスターが続けた。ギルドとしてはやはり分割だと回収できるか不安な面もあるのだろう。このギルドマスターは分割を拒否するような姿勢を良くは思ってないようだが気持ちはわかる。


「とは言え冒険者は金の為だけに活動しているわけじゃねぇ。それが当たり前になったら金と権力を振りかざして偉そうにしている連中と一緒になるからだ」


 ギルドマスターが強く拳を握りしめた。


「そういう意味で言えば、今回の件はこちらの説明にも不備が会ったと言えるだろ。それに村は冒険者にも一度裏切られてるって話だしな」


 俺が説明した時に一緒に話したことも考慮しているようだな。


「だがその冒険者の件はうちとは関係のないことだろう?」


 俺は自分の考えをそのまま話した。これは村でもナツ相手に言ったことだ。


「直接はな。だが冒険者としてみると問題だ。そもそも今の話を聞くに恐らくそいつらはギルドを通さず勝手に依頼を受けたことになる」


 不機嫌そうにギルドマスターが言った。確かギルドの規定で依頼を冒険者が個人的に受けるのは禁止されているんだったな。


「それらも考慮するなら今回の件は村だけが悪いといえないと俺は考えている。だからだリョウガ。お前また村に戻って分割払いでいいか確認してみろ。金額もこちらの不手際も考慮して相場より安くしてやる。それで納得するならお前の判断に任せるが依頼を続けてきてもいい」


 それがギルドマスターの答えだった。


「ちょっとまって下さい! 相手は手強いラミアですよ! 幾らリョウガさんが強いと言っても無茶では?」


 受付嬢が割って入った。俺のランクではラミアを相手するのは厳しいと考えているようだ。


「俺はそうは思わない。だがお前次第だ。どうする?」


 しかしギルドマスターは俺なら対処できると判断したようだな。


「そうか――わかった。とにかく村には戻る」

「随分と物わかりがいいなリョウガ。お前、もしかしてこうなることがわかってたんじゃないか?」

 

 ニヤリと口端に笑みを浮かべながらギルドマスターが聞いてきた。


「俺は受けた依頼をこなすだけだ。ギルドがそう判断したなら従うさ」


 マスターの問いかけに対する俺の答えがそれだった。俺は今は冒険者だ。ギルドの考えが全てである。


「……そうか。まぁいいちょっと待ってろ」


 俺が答えるとギルドマスターがすぐに村長への手紙を準備してくれた。俺はそれを持って再び村に向かうことになったわけだが――


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