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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第90話 この依頼は続けられない

 マリスはラミアに敗れた。最初は押していたが本気を出したラミア相手では分が悪かったんだろう。


 ラミアが村から離れた後、負傷していたマリスはその場に倒れた。結局負傷したマリスは俺が村長の家まで運んだ。


 その後は当然村長との話し合いになった。


「本当に申し訳ない。事情は既に話したとおりだが、安易な真似をしたと思っておる」


 改めて村長が頭を下げていた。安易と言えばまさにそうだろう。


「俺からも謝罪させてくれ。まさか親父がラミアについて説明してないとは思わなかったんだ」

「俺に謝られても仕方がない。依頼を受けたのはギルドだ。謝罪するならギルドに先ず謝るべきだろう」


 率直な意見を俺は伝えた。ギルドを通して仕事を受けている以上、依頼人に問題があった場合の対応はギルドに委ねるしか無い。


「それは、確かにそうなのだが……」


 村長が口ごもった。言いたいことはわかる。今回ラミアは一旦退いたに過ぎない。落ち着いたらまたやってきて宣言通り倍の生贄を求めるだろう。


 おそらく次にラミアが来るまでの余裕はそこまで無い。だから村長はここで俺たちが依頼を中断して戻るのを恐れているのだろう。


「とりあえず俺は一旦街に戻る。ギルドに今回のことも報告しておく必要あるからな」

「そ、そんな。どうかお願いします! 本来の報酬も支払いますので」

「悪いが無理だ。そもそも俺では本来の報酬が幾らかがわからない」

「それなら後から請求してもらえれば何としても支払いますので」


 村長に続きハルヤも懇願してきたが俺の一存で決められることではない。


「無理だ。俺はこの依頼をこれ以上続けることは出来ない。どうしてもと言うならこれからギルドに向かって頼み込むことだな」

「そ、そんな……」


 村長が肩を落とした。これから街に向かって説明したとして一度騙された相手の依頼を受けるかはギルド次第だ。だが本人も厳しいと思っているのだろう。


「やっぱり冒険者は嘘つきだったんだな!」

「ナツ!」


 俺たちが話しているとナツがやってきて文句を言ってきた。やれやれだ。


「どうとでも言えばいい。だがな、今回嘘をついたのは依頼者である村長だ

「そ、それは前の冒険者が俺たちを騙したからだろう!」

「騙されたからといって騙していいなんて話はないだろう。ましてその件は俺たちもギルドも無関係だ」

「そ、それは……」

「そもそもお前はさっきから人のせいばかりにしてるが、お前は何をしてるんだ? 自分で何も行動に移さないで文句ばかり言うだけなら誰でも出来ることだ」

「――ッ!?」


 

 俺の指摘にナツが息を飲んだ。いまの理屈を理解できない年でもないだろうからな。


「まぁいい。俺はもう行く」

「お、おい! 待ってくれ!」

「待たない。後はギルドに判断を委ねる」


 そして俺は村長の家を出ようとしたが。


「待ってよリョウガ!」

 

 後ろからマリスの声がした。目が覚めたか。


「マリスか。今回の依頼は中止だ。戻るぞ」

「本気なのリョウガ?」

「本気だ。当然だろう」

 

 俺が答えるとマリスが顔を曇らせた。


「私は嫌だよ。こんな中途半端な結果」

「何か勘違いしてないか? 俺たちはギルドから派遣されて来てるんだ。その依頼そのものに問題があるのだから続ける意味がない」

「意味はあるよ。村を救わないと」

「……感情論だな。俺には理解できないことだ」


 マリスは村を見捨てることは出来ないと思ってるようだが、不義理を働いた相手にそこまでする理由は俺にはわからない。


「もういい。でも私は残る」

「――そうか。なら好きにしろ」

 

 俺が答えるとマリスが悲しそうな顔をした――そして俺は村を後にした。

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