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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第87話 マリスと蛇女

「マリス今も話したが依頼内容と相手が異なるんだぞ」

「……リョウガはそれでいいの? ここで引いたら前に逃げたっていう冒険者と一緒になっちゃうよ。あの子だって更に冒険者を疑うようになる。私は嫌だよ」


 俺は忠告したつもりだがマリスは聞く気がないようだ。村長とナツの言っていたこともマリスが頑なになる理由か。


 しかし当時逃げた冒険者の件と今回のことは別物だ。依頼時に正しくない情報を伝えてきたのだから非は村長側にある。


 だがマリスにそんな理屈が通じるとは最初から思っていない。あいつは感情的に動くタイプだからな。


「もういい。お前がそれでいいなら好きにしろ」


 とにかくこの場は俺も静観を決め込むことにした。


「……ごめんね。リョウガの言ってることがわからないわけじゃないんだ。そこはわかってほしい」

「さっきからこっちを無視してんじゃないよ!」


 マリスが俺にそう伝えてきた直後、蛇女が尻尾を伸ばしてマリスに襲ってきた。


「こんなもの!」

 

 マリスが飛んで尻尾の一撃を躱した。空振った尻尾が地面を撫でると地面が砕け陥没する。


「あ、あの子だけで大丈夫ですかな? ラミアはとんでもない化物ですが……」


 村長が心配そうに言ってきた。そう思うなら最初から嘘をつくなと思うとこだがな。


「……あいつが大丈夫かどうかはともかく、あの蛇女が何者かはしっかり理解していたようだな」

「あ、いや、それは……」


 俺の指摘に村長が口をモゴモゴさせた。やれやれ嘘の情報を掴まされるとは冒険者ギルドも随分と侮られたものだな。


「そのあたりしっかり話して貰う必要がありそうだな」

「ほ、本当に申し訳ありません。実はあのラミアのせいで家畜も殺され収入が減って村には余裕がないのです。もしラミアが相手となると依頼料も大きく跳ね上がってしまうと思いつい、魔が差してしまったのだ」


 村長が答えた。一応理由はあるようだがこちらには関係ない話だ。何より相手の危険度をごまかして依頼しているわけだからな。そんなマネをしては敵のレベルにあった冒険者が選ばれる可能性は低くなる。


 ギルドはあくまでマウンテンスネークが相手とみているわけだからな。それでは結局村はラミアを討伐できない上、冒険者ギルドからの信頼も損ねることになる。


 まさに安易な手としかいいようがない状況だ。今回はマリスがやる気を見せているから村としては辛うじて希望の糸が残されていると言ったところか。


 しかしラミアか。俺の世界でも知られていた怪物だな。確か上半身が女で下半身がヘビの化物だったはずだ。あの女も尻尾が生えているから特徴は残されている。


「今度はこっちから行くわよ!」


 声を上げマリスが一気に距離を詰めた。強化魔法も掛けたか。あの状態のマリスのパワーはなかなかのものだ。ラミアの尻尾の一撃と比べてもマリスの方がパワーは上だろう。


「何ッ!?」


 マリスの拳がクリーンヒットしラミアがふっとばされた。空中で回転しながら体勢を直していたがダメージは通ってるだろう。


「…………」


 着地したラミアはマリスの拳を受けた箇所を手で押さえ顔を歪めていた。そしてその表情が怒りに歪む。


「やってくれるじゃないか。この私に一撃をいれるなんてね」

「こんなものじゃないわよ。二撃だって三撃だって入れてやる!」


 マリスがそう宣言するとラミアが不敵な笑みを浮かべた。


「威勢がいいじゃないか。だったら私もちょっとは本気を出そうか」 

 

 ラミアが自信に満ちた顔を見せ言った。かと思えばラミアの腰から下が変化していき、下半身が完全にヘビのソレになった。


「さぁ、こうなったらもう加減なんてしてやれないからね」

「望むところよ。こっちも全力で行く!」

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