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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第86話 村にやってきた蛇

「あの蛇女が来たぞ!」


 夜になりそんな声が村中に響いた。小さな村だから一人の声でもよく響く。

 

 しかし、予想はしていたが予定と大分変わってきそうだな。


「リョウガ! 急ごうよ!」

 

 マリスが俺を促してきた。既に俺としては村への疑心しかないが、とにかく相手を確認しに行くか。


「さぁ約束の日が来たよ。生贄は準備出来たかい?」


 村の中心部に向かうと、一人の女がケタケタと不気味な笑い声を発して言った。どうやらこれが村長の言っていた蛇の化物らしいが、聞いていたのとは随分と違う。


「え? 人間なの? 蛇じゃなくて?」

 

 マリスも疑問に思ったようだな。当初聞いていたのは巨大な蛇だという話だったからな。


「よく見ろ。腰から蛇の尻尾が出ているだろう」

「え? あ、本当だ!」


 俺の指摘でマリスも気がついたようだ。そう、村に現れた相手は見た目こそ人間の女だが、蛇の尻尾が生えている点が異なった。


「おっしゃるとおり。あれは一見すると人間のようですが、実際は蛇の化物なのです」


 村長が答えた。額には汗が滲んでいる。よほどあの相手を恐れているのか。


「さっきから何をコソコソ話してるんだい。それで生贄はどうした?」


 そういいながら村を見回す蛇女。その視線が俺たちに注がれた。


「そういえばそこの二人は見ない顔だねぇ。さてはそいつらが生贄かい?」

「馬鹿言わないでよ。私たちはねあんたをぶっ倒すために来たのよ」


 蛇女の問いかけにマリスが答えた。やれやれ。マリスはすっかりやる気だな。


「私を倒すだって? あんたみたいなチビがかい? 驚いたねぇ人間ってのは馬鹿な冗談が好きなようだ」


 そう言って蛇女がゲラゲラと笑いだした。マリスがムッとした顔を見せる。


「腹立つ蛇だね。リョウガ。さっさとやっつけようよ」

「……いや、それは無理だ」

「え?」


 俺が答えるとマリスが驚いた顔で俺を見た。まさか否定されるとは思わなかったのだろう。


「リョウガどうしてよ。依頼を受けたんだし戦わないと……」


「確かに依頼は受けた。だが聞いていた話と違いすぎるだろう。村長、俺たちは相手が巨大な蛇だと聞いてやってきた。だがあれはただの蛇じゃないだろう。人と会話し生贄を求めるような奴だ」


 俺が相手について言及すると村長が喉を詰まらせた。依頼で聞いていた内容と実際の内容が異なること――それは暗殺者時代にもよくあったことだ。


 当然その場合依頼をそのまま続けることは出来ない。条件が異なれば本来報酬だって変わってくる。もっとも暗殺者としてやっていたころは俺たち相手にそんなことをすれば命が無いのは依頼者の方だったが。


「やっぱり逃げるんだな!」

 

 その時、口を挟んできたのはナツだった。今の話を聞いて俺たちが依頼を放り出して逃げるとでも思ったのか。


「逃げじゃない。話が違う以上このまま黙って依頼を受けるわけにはいかないというだけだ」

「だ、黙っていたのは申し訳ない!」


 納得していない様子のナツと話していると村長が頭を下げてきた。悪いことをしたという自覚はあるようだな。


「全く妙な冗談を言いだしたりとさっきから騒がしいね。いいからさっさと生贄をよこしな!」


 蛇女が声を荒らげた。イライラしてきているようだな。だが俺としてはこのままだと動く気になれない――がマリスは別だったようだ。


「そんなのはいないよ。今も言ったようにあんたは私が倒すんだからね」


 拳を鳴らしながらマリスが更に前に出た。やれやれ理由は話したつもりだがマリスには関係ないようだったな――

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