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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第三章 冒険者となった暗殺者編

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第71話 護衛の仕事

「頼まれた品物はこれで全部だ。邪魔になるからさっさと積んでくれ」

「はは。わかりましたそれでは――」


 次の商会で依頼人が仕入れ分の品を受け取った。馬車に荷を積んでいくがこれは俺たちも手伝った。


「なんかちょっと横柄よね」


 取引相手を見ながらマリスがボソッと呟く。確かに態度は良くないか。俺の居た世界じゃ即クレームが入るレベルだろうが異世界ならこんなものかもしれない。


「――この荷はチェックした方がいいかもな」


 ふと運んでいた荷に違和感を覚えた。他の品と違って重さに微妙な違いがある。だから依頼人に意見したのだが。


「おい! ふざけたこと抜かすなよ! こっちは忙しい中頼まれた物をわざわざ用意してやったんだ!」

「注文を受けたのなら用意するのは当然のことだろう」


 何やらゴタゴタとうるさいが、用意してやったというのがそもそもおかしい話だ。それはたとえ異世界でも一緒だろう。


「申し訳ありませんが荷をチェックさせて頂きますね」


 依頼人も俺の言葉に耳を傾けてくれた。箱は釘でしっかり止められているから一旦抜いて中身を確認する必要があるな。


「言っておくがその箱を開けた時点で返品不可だからな!」


 相手の商人は自分に都合のいいことばかり言ってるな。


「中身が注文したとおりならそれで構いませんよ。そうでないなら新しいのを用意してもらうか返金して頂かないと、こちらも商業ギルドに報告することになりますね」

「グッ……」


 相手の商人が喉を詰まらせた。商業ギルドに言われるのはあまり好ましくないようだ。


「わ! 何これ! 石が詰められているだけじゃない!」


 マリスが叫んだ。箱の中に入っていたのは確かにただの石だった。上手いこと重さを調整したつもりなんだろうが俺の感覚はごまかせなかったな。


「他のも見てみましょう」


 俺たちは他の箱も確認したが荷の三分の一程度は石が詰められているだけだった。全部が石ではなかったがこのまま持ち帰っていたらかなりの痛手だったことだろう。


「これは酷い! 一体どういうことですか?」

「チッ。おいお前ら!」


 依頼人が文句を言うと相手が声を上げ呼びかけた。すると屈強な男どもがぞろぞろと姿をあらわす。


 奥から気配は感じていたがこの為だったか。最初からまともに取り引きする気はなかったわけだな。


「こいつらが俺の商売にケチつけやがった。しっかり痛い目見せてやれ」

「「「「ヘイッ!」」」」


 命じられ男どもが動き出す。


「いいわね。護衛らしくなってきた」

「あの、命まではとらないよう……」


 依頼人が心配そうに言っていた。まぁ相手は盗賊とも違うからな。流石に殺すまでは必要ないとは思っている。

 

「ヘヘッ、中々いけてる姉ちゃんじゃねぇか。俺の女になるなら勘弁してやってもグべっ!」

「男はそればっかり。もううんざりよ!」


 男の一人がマリスにいやらしい目を向けていたがあっさり股間を蹴り上げられていた。グシャッと鈍い音がしたな。命は奪わないにしても男としては終わったかもしれない。


「て、テメェ調子に乗るなブホッ!?」


 俺に向かってきた相手に膝蹴りを決めたらあっさり地面に倒れた。全く歯ごたえがない。見た目はゴツいが素人に毛が生えた程度だなこれは。



 結局残り二人もさっくり倒した。この連中をけしかけた男が顔を青ざめさせている。


「そんな、こいつらがこんなにあっさり……」

「もうしわけありませんが、このような真似をする人とは取り引き出来ませんね。今回の件はなかったことに。支払った代金もお返しもらえますか?」

「ぐっ、うぅ、わ、わかりました……」

 

 結局商品は全て返品し代金を返却してもらった形で終わった。この事は依頼人もしっかり商業ギルドに報告するらしい。


「やれやれ。まさかこんなことになるとは。予定が一つ潰れてしまいました」

「それで大丈夫なのか?」

「まぁ、これぐらいはどうとでもなります。商売にトラブルはつきものですからね」


 俺が聞くと依頼人は朗らかに答えた。どうやらこの件はそこまで痛手ではなかったようだな。


 そして午前の仕事が終わり昼食を摂ってから午後の仕事に取り掛かることになった。依頼人はお昼も奢ってくれた。いいのかと思ったがどうやらダリバとスカーレッドも昨日お昼をご馳走になったようなのでそれならばと素直に厚意に甘んじた。


 そして午後――残っていた品を相手に届けるのが仕事なようだ。待ち合わせ場所は決まっているらしい。


 そこは紅茶専門店なようだった。こっちにもカフェみたいな場所はあるんだな。オープンテラスのような場所もあり待ち合わせの相手は既に着席していたようだ。


「モンド様。お待たせいたしました」

「いやいやこちらも今きたところですから」


 相手はスーツでビシッと決めた壮年の男性だった。灰色の髪もワックスでしっかり整えている。注目したのは周囲を固めている男たちが。黒服姿で恐らく俺たちのような護衛なのだろう。


 姿勢などを見るにそれなりにはやるようだな。しかし護衛に身を固めてるあたりただの客で済む相手でもなさそうに思えるが――

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