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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第三章 冒険者となった暗殺者編

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第51話 後は好きにしていいぞ

「よし。これで奴隷解放の手続きは終わりだ」


 ギルドマスターが言った。手続きは随分とあっさりしたものだった。マリスの首輪もサクッと外れた。


「これで自由だな」

「うん。良かった……」


 マリスが安堵していた。まぁ奴隷のままじゃ不自由でしょうがないだろうからな。


「それとリョウガの報酬については調査が完了次第だ。後は素材だがそれも査定が終わってからになるからな。明日纏めてでいいか?」

「あぁ問題ない」

「そうか助かる。それと、死んだ連中の遺品を持ってきてくれてありがとうな」


 ギルドマスターが神妙な面立ちで言った。こんな顔もするんだな。


「何となく持ち帰っただけだ。感謝される程でもない。それに危険の多い冒険者なら死んでることも珍しくないんだろう」

「そのとおりだ。だからこう慣れっこになりすぎてわざわざ遺品を持ち帰ることさえ殆どの連中がやらなくなってるからな。改めて見るとこれだけ犠牲が出たかって気持ちになるのさ」


 そういうことか。あぁいうのを持ち帰るのは努力義務みたいなところがあるのだろう。そうなるとわざわざ遺品を持ち帰ってくる事自体が稀になるのだろう。


「それとマリスとスカーレッドの冒険者証も渡すのは明日になるからな」

「あぁ。それで明日から依頼を受けられるんだろう?」

「そうなるな」


 スカーレッドの問いかけにギルドマスターが答えた。


「……それなら、白蝋病に効く薬が報酬でもらえる依頼はある?」


 ふとマリスがそんなことを聞いた。ギルドマスターの表情が曇る。


「悪いがないな。それ自体が珍しい薬だ」


 どうやら中々手に入らない薬なようだな。


「そう……」

「その白蝋病に掛かってるのがいるのか?」


 俺は何となくマリスに聞いてみた。まぁちょっとした興味本位だ。


「……父さんが、それに掛かってる」


 そう言ってマリスがギュッと拳を握りしめた。聞いていたギルドマスターが得心が言ったような顔を見せる。


「そうか。さてはその薬が手に入ると騙されてゴイスに捕まったってところか」

「なるほどね。あの野郎がやりそうな手だよ」


 ギルドマスターの言葉にスカーレッドもウンウンと頷いていた。


「私が馬鹿だった。薬を分けてくれると言われてついていったらこのザマなんだから」

「まぁそれは確かに迂闊だな」

「あんた、辛辣だねぇ」


 思ったままを言った俺だったがスカーレッドが笑みを引きつらせていた。俺としては考えられないことなんだがな。上手い話には裏があると思った方がいい。暗殺者なら警戒するのは当然だ。


「ま、事情はわかったよ。それなら薬の情報があったら教えてやるよ」

「ほ、本当!」


 ギルドマスターの言葉にマリスが食いついた。全くまたホイホイと。そういうところだぞ。


「あぁ。だけど元々が珍しい薬だ。あまり期待するなよ」

「わ、わかったよ……」


 ギルドマスターの話に一喜一憂するマリスだが、多少なりとも希望は見えたってところか。


 そして話が一段落ついたところで俺たちはギルドを出た。


「じゃあ私も行くよ。これで同じ同業者だし今後も宜しくね」

「ま、そうだな」


 そしてスカーレッドともわかれ俺は宿に戻ろうと思ったがマリスも一緒についてきた。


「そうだ。マリスももういいぞ」

「え? もういいって?」

「好きにしていいってことだ。奴隷からも解放されたんだからな。後はお前はお前で好きにやればいい」

「え? いやだってパーティーを組んだんだし!」

「それはそうだが、別にずっと一緒にいろって話でもないだろう。お前だって奴隷から解放されたかっただけだろう? だからもういい。ゴイスを殺しに行こうが俺は干渉しない。じゃあな」


 そう言って俺は手を降って宿に戻った、といいたいところだがな。


「ま、待ってよ! それじゃあ私が納得いかない!」


 マリスが俺を引き止めてきた。いや、納得出来ないといわれてもな――

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