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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第三章 冒険者となった暗殺者編

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第44話 奴隷商と傭兵と半魔の奴隷

「……ゴイスの旦那。これって合法ではないんだよねぇ?」

「何を今更。当然だろう。闇で売りさばくんだよ」

「くだらないこと言ってんじゃねぇぞスカーレッド」

「そんなこといってもねぇ。私は知らなかったわけだし」


 やれやれとスカーレッドが嘆息した。


「ふん。前金は支払ってんだからな。お前もグングのようにしっかり働けよ」

「雇われた身だからね。報酬分はやるさ」


 奴隷商のゴイスに素っ気なく返事を返すスカーレッド。しかし心中ではこの依頼を受けたことを後悔もしていた。


 スカーレッドは傭兵だった。傭兵は冒険者と似ているように思われることもあるが冒険者と傭兵はまた違い、冒険者は基本権威に屈せず中立を保つのを信条としている。

 

 故に戦争に駆り出されることもない。一方で傭兵はどちらかと言うと戦時にこそ駆り出される。ここが大きな違いだろう。


 もっとも仕事内容が被る面もある。護衛などは最たるものだろう。とは言え冒険者はギルドが存在し組織として活動しているのに対し傭兵は個々が名乗り活動しているのが殆どだ。


 故に冒険者以上に自由は聞くが稼げるかどうかは本人次第である。


 現状スカーレッドはとにかく金が欲しかった。暫く大きな戦争もなくまさに現在進行系で食いっぱぐれていたのである。


 なので報酬の良さに惹かれゴイスの依頼を受けたのだが、仕事を受けてからわかったがゴイスの性格には大きく難があった。やっている仕事も合法とは言えずあまり気分のいいものではない。


 それでも途中でやめるわけにもいかない。傭兵の世界は狭いので何かあればすぐに噂が広まってしまう。仕事を途中で投げ出したなどと噂が広まれば今後の仕事も成り立たない。


 だからスカーレッドは不本意でもこのゴイスを護るしか無い。


「どれ。奴隷の様子はどうかな。何せ金になる奴隷だからな」


 ゴイスが馬車に向かい奴隷の様子を見ていた。スカーレッドはあの奴隷のギラギラした瞳を思い出す。下手すればゴイスに飛びかかりそうにも思えるが、手枷足枷を嵌められ奴隷の首輪まで嵌められていてはそれも無理だろう。


 特に奴隷の首輪は魔導具の一種であり蔕に逆らったところで所有者の意思一つで激痛に見舞われる。屈強な男でもとても耐えられないような痛みだ。そんなものを装着させられていては逆らうことなど不可能、そう思っていたのだが。


「ギャァアアアァアア!」

 

  突如ゴイスの悲鳴がした。スカーレッドが弾かれたように馬車を振り返ると地面をゴロゴロと転がるゴイスの姿。


「な! 一体何があったのさ!」


 スカーレッドが叫ぶのと馬車から一つの影が飛び出したのはほぼ同時だった。反射的に中の奴隷が逃げたんだと察した。枷が嵌められているにも関わらずその動きは速かった。


「くそ! 俺が追いかけるお前も後からついてこい!」


 声を張り上げグングが奴隷を追いかけていった。スカーレッドはゴイスの様子を確認する。

 

 ゴイスは右目を押さえてうめき声を上げていた。見ると右目に針が一本刺さっていた。どうやら奴隷がこれをやったらしい。


「く、くそが! あのメス奴隷め! 口の中に針を仕込んでやがった!」

 

 含み針か、とスカーレッドは顔をしかめた。そんなものを仕込んでいたとは、あのギラついた瞳は虎視眈々とこの機会を狙っていたのだろうと察しがついた。


「あの奴隷! ただじゃおかねぇぞ!」


 ゴイスが血走った目で叫びだした。今さっきまで無様に地面を転がっていたがそれが落ち着くと怒りの感情が込み上げて来たのだろう。


 右目からは血を流し、蟀谷には血管が浮かび上がっていた。


「さっさと追いかけるぞ! 早くしろ!」

「わかったよ――」


 そしてスカーレッドは怒れるゴイスと共に奴隷の後を追いかけるのだった――

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― 新着の感想 ―
[気になる点] はじめまして。 ちょっと気になったので、カキコさせて頂きました。 『蔕』の所なのですが、ふり仮名をして頂くか、若しくはカタカナの方が良いと思いました。 ご検討の程を宜しくお願いし…
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