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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第三章 冒険者となった暗殺者編

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第38話 食事に付き合った

「ここが俺のおすすめの宿だ。十日までなら前もって支払っておけば連続で泊めてくれるし延長も可能だからな」


 ダリバが力強く勧めてきた。この宿はどうやら冒険者御用達の宿の一つのようで価格も手頃とのことだった。


 食事も頼めば用意してくれるし大浴場もある為、便利がいいようだな。荷物を預かってもくれるらしい。まぁ俺としては寝れさえすればどこでもいいが、折角オススメしてくれたからここに決めた。


「よっしゃ! それじゃあ! 飯にするぞ飯!」


 宿が決まったところで荷物を預け俺はダリバに付き合って飯屋に向かった。ダリバに連れられてきた店は何となく予想はしてたが酒場だった。


 ちなみに会計はその都度前払いで支払うようだ。まぁ平和な日本とは違うから当たり前かもしれない。


「リョウガも生エーでいいな?」

「いや。俺は酒は呑まないんだ」


 ちなみに生エーというのは生エールの略らしい。生ビールのエール版ってことだろう。


「何だ酒が苦手なのか?」

「別にそういうわけじゃないんだがな」

「だったら呑めって! 冒険者といえば酒なんだからな!」


 そう言ってダリバが勝手に酒を頼んでしまった。やれやれ強引な奴だ。


「冒険者は酒が普通なのか?」

「当然だろう。毎日命がけの冒険者にとって戻ってから呑む酒は命の水よ!」


 ダリバが答えガハハ、と豪快に笑った。俺としてはよくわからないが、それが普通だと言うなら今回は付き合っておくか。


 ゴーガンたちと一緒にいた時は断っていたけどな。一応冒険者という職業についたわけだから暗黙の了解みたいなものも覚えておいて損はないだろう。

 

 料金を支払うと暫くして女性店員が酒と料理を運んできた。この店の事をよく知らないから注文はダリバに任せたが肉関係が多かった。

 

 保存技術が俺のいた世界ほど発展していないから魚介類は難しいのかもしれないな。このあたりは海に面しているわけでもない。あっても川魚ぐらいだろう。


「ほれほれリョウガも呑め呑め!」

「あぁ」


 ダリバに言われ俺は酒を呑んだ。味は、正直そこまで好みじゃなかったがダリバが楽しそうにしているからまぁいいか。


 それからダリバは俺に冒険者の心得とやらを語ったり武勇伝らしきものを教えてくれたりした。参考になった、かはともかく見ていて愉快な男だなとは思った。


 この店の料理も現代ほど手がかかってる感じはなかったが、シンプルながらクセになる味の物が多かった。必要なら虫でも何でも気にせず食う俺だが味覚は備わっているからな。味の善し悪しぐらいはわかる。


「うぅ、リョウガ~ヒック、もう一軒、もう一軒いくぞ~!」


 食事をしながら酒に付き合っていたが結局ダリバの方が酔い潰れてしまった。そもそも俺は酒に酔わないわけだが、とにかく俺はダリバに肩を貸して店を出た。


 ダリバはもう一軒もう一軒言っているがもう無理だろうこれは。


「やめとけ。明日も仕事するんだろう? ただでさえ死相が見えてるような連中なんだからな」

「あん? 死相? 何だそれ?」

「こっちの話だ気にするな」


 暗殺者として生きていた俺は死相が見える、が、この世界にはそんな連中が多い。冒険者は特に顕著だ。今日明日死ぬかもしれない生活を送っているからか死がつきまとうのが当然になっているのだろうな。


 ここまで来ると俺も一々気にしてられないが、まぁ注意喚起ぐらいはしておく。


「おいお前ら、随分と羽振りが良さそうじゃねぇか」


 ダリバに肩を貸して歩いていると物陰から数人の男が現れて声を掛けてきた。異世界には街灯もなく日も暮れて辺りも暗い。こんな時に声を掛けてくるような連中だ。


 当然まっとうなわけもない。そういった碌でもない空気も纏っているからな。


「そんなに羽振りがいいならよ。俺らにもわけてくれよ」

「断る」


 そう言って横をすり抜けたがそれで済むような連中じゃなかった。俺たちの前に出てきてナイフやら剣やらを取り出してきたんだ――

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