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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第153話 エンデルの価値

 ゴルドーはコロシアムの中にある別室に移動しモンドと対峙していた。この部屋は一般人には明かされていない特別な場所であり中からの声が外に漏れることはない。


「それにしても驚いたよ。エンデルだったか。随分と美しくなったじゃないか」


 部屋に置かれていたワインをグラスに注ぎながらゴルドーが述べた。その瞳の先でモンドが不敵な笑みを浮かべつつワインの注がれたグラスを受け取った。


「えぇ。あの見た目だけでもかなりの価値があるというものでしょう」

「ふむ。しかし今回お披露目はしないんだったな。少々もったいない気もするが」

「まぁまぁ。今のままではただ美しいだけの少女でしかありませんからな。勿論そういうのを好む者もいるだろうが、それでは本来の価値は見いだせない。やはり天使は(・・・)羽があってこそですからな」


 そう答えるとモンドがグラスを傾けた。それを聞いたゴルドーがふむと一言発し。


「しかし間違いないのか? 混血はそう多くないと聞くが?」

「しっかりと鑑定済みだから間違いありませんよ。それに特徴となる痣も確認済み。普通ならただの痣にしか見えないでしょうがね。私の目は誤魔化せませんよ」

「なるほどな。しかしだからといってまさか娘として育てるとは中々考えたものだが情はわかないものかね?」

「情で飯は喰えませんからな」

「なるほど。確かにそのとおりだ。その考え嫌いじゃない。さて、それじゃあ今回のオークションについてしっかり話しておこうか」

「そうですね。私もできるだけ詳しく(・・・)知っておきたいですからな」


 こうして二人の密談はしばらく続くこととなったのだった――





◇◆◇


 スラムに入り込み住人に襲われたマリスたち。しかし危機一髪のところでスカーレッドに助けられ一行はスラムから抜け出し往来に戻っていた。


「ギルドに行きたいんだろう? ついてきなよ」


 どうやらギルドまでスカーレッドが道案内してくれるらしい。


「ありがとうスカーレッド。助かったよ」

「いいってことさ」

「全くマリスを信じたおかげで散々だったからな」

「ムッ、そりゃちょっと道はまよったけどさぁ~」

「ちょっとじゃねぇだろうが」

「まぁまぁ」


 文句を言うゴングをクルスがなだめた。そんな様子に苦笑するスカーレッド。


「そういえば結局スカーレッドが来たのも仕事?」

「基本的にはそうだね。オークションでの警備の仕事があったからさ。報酬もいいし受けたってわけさ」


 なるほどとマリスが頷いた。以前再会した時にしばらく町を空けるとも言っていたがここでの仕事だったのかと納得した様子でもあった。


「へぇ~奇遇だよね。私もリョウガと一緒にオークション絡みの護衛任務を受けたんだよ」


 スカーレッドの話にマリスが反応した。


「やっぱりリョウガも来てるんだね。でも護衛ってことはオークションの参加者のかい?」

「うん。前に一緒に依頼を受けた時に知り合った商人でモンドという名前なんだけどね」

「モンド――その名前聞いたことあるよ。相当な豪商だって話だった筈」


 思い出すようにスカーレッドが言った。それに頷くマリス。


「確かに羽振りは良さそうだよ。専属の護衛もいるみたいだからね」

「それなら報酬もいいんだろうね」

「警備の仕事はそうでもないのか?」

「良い方だとは思うけど、相場よりちょっと高いかなぐらいかな」


 ゴングの問いかけにスカーレッドが答えた。そんなやり取りをしていると冒険者ギルドの建物が見えてきた。


「あそこがそうさ。ここまでくれば大丈夫だろう?」

「うん。でもスカーレッドは一緒にいかないの?」

「私はこれからちょっと買いたい物があるからね」

 

 そう言って二ヒッと笑うスカーレッド。その様子にマリスは質問を重ねる。


「買い物ってもしかしてここでしか買えない物?」


 マリスはなんとなく思ったことを口にした。あぁ、とスカーレッドが短く答え――


「ここには魔導製のいい義足があるって話だからね。それを買いに来たのもあるのさ」

「え? それって?」

「ハハッ、まぁ迷惑掛けちゃったからね。だけどこの事は内緒にしておいてよ?」

「う、うん!」


 人差し指を立て念を押してくるスカーレッドにマリスが答えた。同時にスカーレッドの本当の目的を察し嬉しくなったマリスでもある。


「きっと喜ぶよ」

「だといいけどねぇ。それじゃああんたらも頑張ってね」

 

 そして手をヒラヒラさせてスカーレッドがその場を後にし、その後ろ姿を笑顔で見送るマリスたちであった――

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