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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第143話 お前いい度胸してるな

「リョウガ? つまりさっきからあのイザベラが言ってるのはあいつか?」

「そんなに強そうに見えないけどな」

「あら結構可愛い顔しているじゃない」


 だが、イザベラが大声で俺を呼んだことで注目が俺に集まってしまった。ネイラと戦えるかどうかという目で見られ始めている。


「貴方がさっきから呼ばれてるリョウガ? ふ~んそんな強そうに見えないし無視してるってことは自信がないってことよね?」


 パトリエに向けられていたネイラの視線が俺に向いた。態度も異なりどこか侮っている様相だ。


「チッチッチ、甘いねぇ。あれでリョウガは相当な強さなのさ。護衛依頼でも盗賊団や魔獣相手に一人で成果を上げてきたからねぇ」

「ふ~ん……それであんたはどうするのよ?」

 

 イザベラの返しは俺にとっては余計なことだ。とは言え事実であり口止めしていたわけでもない。


 ネイラの目つきには僅かな興味心も含まれていた。イザベラの話を聞いてのことか。


「おいおいまさかここまで来て逃げるってことはないよな?」

「護衛やってるぐらいならここでビシッと決めてやれよ!」

「応援してるわ! やっちゃってよ!」


 観客の興味が更に俺に移ってきた。面倒なことだ。


「……無理して挑発に乗ることはない。それにあれで妹の腕は確かだ。わざわざ恥をさらすこともないだろう」 

 

 そう言ったのはパトリエだった。こっちはこっちで随分と挑発的なことだな。だがこの表情――こいつも俺に興味でも持ったのかどこか試しているようでもある。


「ここまで盛り上がっているのだからどうだろう?」

「むしろここで止めるほうが評判を落すことになるかもしれないよ?」


 ……ゴルドーとモンドも互いにいい性格している。猿か狸か狐かといったところか。とは言え一つ気になる視線もあるしな――


「金貨五十枚だ」

「うん?」

「それぞれが金貨五十枚ずつ出すというなら考えなくもない」


 ただ言われた通り受けるのも癪だからな。少々吹っ掛けさせてもらったが。


「ハッハッハ、この私相手にそれだけ言えるとは大したものだな。いいだろう! 金貨五十枚だそう! モンドもいいだろう?」

「勿論です。追加報酬金貨五十枚、私からも約束しよう」

「……わかった」


 俺はその場から飛び出し闘技場に降り立った。イザベラが目を輝かせて近づいてくる。


「もうあんまり焦らすなよなぁ。やらないかと思って焦ったぜ。よっしゃ! 私はこのリョウガに金貨五十枚賭けるよ!」


 イザベラの発言で会場が湧いた。今回で一番の賭け金になるな。


「お前――いい度胸してるな」


 言って睨むとイザベラが顔を引き攣らせた。


「そ、そんな顔するなって! 勿論わけまえも払うからさ。金貨十枚でいいか?」

「半分だ」

「へ?」

「払い戻しの半分。それでいいな?」

「へ、いや、その……は、はい」


 イザベラが顔を強張らせながら頷いた。迷惑料として考えればそれぐらいは当然だろう。


 そして俺はネイラと向かい合う形で対峙する。


「随分と時間が掛かったわね。まぁいいわ。兄様の前で格好悪いところ見せられないしあっさり決めてあげる」

「……やれやれだ」


 そして俺はネイラと試合することになったわけだが――

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