表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋弾~正義の殺し屋、その弾丸は君のため~  作者: YAMATO
新たな出会い篇
22/66

第22話「放課後デートスパイ大作戦♡」

夕方。放課後、渋谷のセンター街のとあるスマホショップ。制服姿のヤヤとユウヒが並んで商品を見つめていた。


「この携帯、可愛いね~」


「……落としたら割れそう」


「も〜、そういう問題じゃないの!」


そんな会話だろうと少し離れたところからサングラスとキャップで変装した男女が想像しながら見つめていた。はたから見れば完全に不審者である。


「……でたぁ〜、あの顔。完全にデートだな」


カイトがにやにやしながらフライドポテトをかじる。


「いいねぇ青春。放課後デート! 制服デート! これ、俺的に百点満点!」


隣では、レインが不貞腐れた表情で双眼鏡を構えていた。


「な、なんであの子、ヤヤに近づいてんの……っ!?」


カイトが笑う。


「落ち着けよ、レイン。別に年頃の男女……健全じゃねーか」


「近い! ちっかいってばぁ!!!」


レインはハンカチをぎりぎり噛みしめる。


(ぐぬぬ……! なんなのあの子、距離感おかしくない!? あの笑顔……何あれ?私のポジションじゃん!)


「お前、漫画みたいな顔してるな今」


「なぁっ……?!」


「ヤヤの彼女気取りかよ?だいたいお前には男なんて腐るほどいるだろ?俺もいるじゃん?」


「う、うるさ~い!ヤヤ君は違うの!!なんていうか……自分でもわからないけど違うの!!とられたくないの!!」


ヤヤとユウヒはスマホショップから出てきた。

二人の笑顔が、夕陽に柔らかく照らされる。

ユウヒがふと何か言い、ヤヤが楽しそうに笑った。


その瞬間、レインの肩がぴくっと動く。


「……笑ったわよね!?今!!あの無愛想男が!? ユウヒの前で笑ったの!?」


「おぉ、笑ってる笑ってる。お前、今世界で一番面白い顔してるぞ?カメラで撮っておこう!」


「撮らないでよ!!」


「うわっ、爪立てんなって! お前、今なら殺気でカメラ壊せるレベルだぞ!?」


レインはハンカチを噛みちぎりそうな勢いで怒りを露にする。


「も~う無理!!やっぱりあの時殺しとくべきだったわ!!ヤヤに近づくとか、百年早いのよ!!」


「出たよ、嫉妬探偵レイン」


「黙りなさい! カイト!」


「でもさ、見てみ? あの顔」


カイトは笑いながら、ヤヤを指差す。


「ヤヤ、楽しそうだろ?」


「……」


レインは小さく唇を噛む。

胸の奥がちくりと痛む。


(……あんな顔、私の前ではしないのに)


「……もう帰る」


「え、見届けないのか?」


「どうせ……この後、手つなぐでしょ。見たくないもん」


レインが背を向ける。そんな中カイトはニヤニヤしながら呟く。


「ふぅん。おー、ユウヒの奴、本当にヤヤの手をつなごうとしてるな」


「っ?!?!」


レインは直ぐに振り向く。

そのヤヤが照れた姿を見てレインは拳を握りしめる。


(ヤヤ君……あの子の前でだけ、そんな顔するなんてズルいわよ)


レインの中で我慢の限界がきたようだ。


「行くわよ。カイト」


「……はっ?」


「あの二人に会いによ!!」


「……いやいやいや!!ほっといてやろうぜ?!可哀想だろ?!」


「いっや!!」


「あっ!ちょっ……!?ま、まずい!!」


カイトはレインに強引に引っ張られる形で、二人のもとへ行くことになるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ