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恋弾~正義の殺し屋、その弾丸は君のため~  作者: YAMATO
煙草と色香と問題児篇
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第12話「歓迎会」

深夜一時過ぎ。

薄暗いネオンが、ウイスキーのグラスを照らしていた。

扉が開く音とともに、ヤヤ、カイト、レインの三人がノクターンに戻ってくる。

カウンターの奥、ボス・天草キョウは静かに煙草をくゆらせていた。


「早かったね――で、上手くいったのかい?」


カイトがソファに腰を下ろし、無言で封筒を差し出す。


「任務完了です。碧海財団の施設は完全に壊滅。主任の橘ナオトは……ヤヤが消しました」


キョウは受け取った書類に軽く目を通し、口角を上げた。


「そうか。よくやった。そうだ。君達三人、しばらく休暇を取りなさい。ここ最近、頑張ってるからね」


「本当ですか!?ボス、やっさし〜い!」


レインが勢いよく立ち上がり、手を叩いた。


「私いいこと思いついたわ!ヤヤくんの歓迎会しましょ!いいよね?カイト!」


「は? 俺、歓迎されるようなことした覚えは……」


ヤヤがぼそりと呟くが、レインは無視して話を続ける。


「異論は認めない。焼肉よ、焼肉!! 渋谷行くわよ!!」


カイトが苦笑いしながら答える。


「まぁ、悪くねぇな。報酬の使い道にちょうどいい」


--

次の日の夜七時。渋谷のセンター街のとある焼き肉店に三人は来ていた。


「おぉ〜! ここのタン塩、マジでうまいんだぜ!」


カイトがテンション高く網に肉を並べる。

レインは生ビールを掲げて、勢いよく乾杯を宣言する。


「任務成功! そして――ヤヤくん、正式加入おめでとーっ!!」


「こんな高そうな店初めてきた」


ヤヤが苦笑する中、店の入口のベルが鳴った。


「――あら?見覚えのある顔じゃない」


現れたのは、同じ『ジャスティス』所属の別チーム――コードⅨの三人だった。


「おおっと、これは奇遇〜! コードXIIIじゃないの!!……ん?あ~!君が噂の新人君でしょ?!私九条マリサ!よろしくね♡」


「あ、ああ。月野ヤヤだ」


金髪に派手なメイク、露出の多い服が特徴のマリサがグラスを持ったままヤヤの隣の席に滑り込む。


「若いね~!写真よりずっとタイプ〜♡ヤヤっちって呼ぶね♡」


彼女は初対面にも関わらずヤヤの肩に手を置く。


「……あの、近い」


「いいじゃん、減るもんじゃないし? あたしのタイプ、無口で影のある男なのよねぇ〜」


レインの眉がぴくりと動く。


一方黒髪ボブで妖艶な雰囲気を持った別の女性がカイトの横に座り目を細めて微笑んだ。


「カイトお久しぶり!私のこと覚えてる?」


「前にヤった記憶はあるが、名前は忘れた」


「えぇ~ひっどい~!神楽ミナだよ?今度は忘れないでね~!せっかくだし今日この後久しぶりに……どうかな?私ずっとしてなくてクサクサしてて~」


二人がコードXIIIの男性陣を逆ナンする中、筋肉質な長身、スキンヘッドが特徴の男が口を挟む。


「おい、仕事仲間だぞ。絡みすぎんな。マリサもミナもセーブしろ」


「うっさいリュウジ、堅物は黙ってて〜」


「そうそう。せっかくの若い男よ、もったいないじゃない」


「月野ヤヤだな?噂は聞いてる。すまんな。うちの女どもが迷惑をかけた。俺は如月リュウジ。よろしく頼む」


「あんたはまともそうだな。月野ヤヤだ。こちらこそよろしく頼む」


---


会話と肉の煙、ビールの泡。

楽しい時間が過ぎていく……が、問題はそこからだった。


マリサが赤ワインをラッパ飲みしたかと思うと、ヤヤの肩に寄りかかり――


「ねぇヤヤっちって神銃、蜉蝣の銃の使い手なんでしょ?どこに撃つの?」


「……は?」


「ここ♡?」


彼女は頬を寄せ、まるで狙撃のようにキスをした。


一瞬、時間が止まった。


「――――――」


「――――」


空気が、完全に凍る。

ヤヤは無言で硬直。


カイトは「お、おおう……」と絶妙に困った顔。

ミナは「やるじゃん、マリサ!」と拍手。

そして――レインの笑顔が、氷点下に下がった。


「……マリサ。あんた、何やってんの?」


「え? ちょっとキスしただけじゃん〜。減るもんじゃないし」


「そうね。減らないけど……命は減るかもよ?」


店内の温度が一瞬で下がる。

レインは立ち上がり、異能の傘を生み出す。柄の先から冷気のような風が漏れ出ていた。


「おっとぉ!待て待て待て!!」


カイトが慌てて間に入る。


「レイン、落ち着け! ここ焼肉屋だぞ!?炎上するぞ!?物理的に!!」


「だってぇぇ!!ヤヤ君がキスされたんだもん!!」


「頼むから落ち着けぇぇー!!」


リュウジは頭を抱え、店主が奥で「やめてくれよ……」と小声で泣いていた。


--

最終的に、マリサは酔いつぶれ、ミナは歌い出し、レインはヤヤの隣でふてくされて無言。


「……やれやれ。地獄の医者よりタチ悪ぃな」


カイトがぼやく。

ヤヤは黙ってふてくされたレインの方を見て、少しだけ笑った。


「……焼肉、冷めるぞ」


「よかったね。あんな美人にキスされちゃって!ふんだ!」


「な、なんだよ?レインも色々なイケメンのセフレ男がいるじゃん。カイトとか。俺となんて遊び感覚だろ?」


「なぁっ?!カッチーン!!ヤヤ君のバーカバーカぁ!!!」


「子供かよ……」


そんな他愛もないやり取りの中、

渋谷の夜は、いつまでも騒がしく続いていた。

お待たせしました!次回ようやくメインヒロインの登場です!!20話まで読むと多分ヒロインのファンになっちゃいますよ。お楽しみに~。

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― 新着の感想 ―
Xではありがとうございます!! アウトロー系作品、大好物です!! ヤヤ・カイト・レインのトリオ、好きです!! 『ジャスティス』のこれからの活躍、めちゃくちゃ期待してます!!
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