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マリーは10回婚約破棄される  作者: 隘路(兄)
第4部 因果時空決戦編
65/71

第65話 婚約破棄からの超越者との邂逅

 わたし達の乗った高速艇はすぐに、戦艦に収容され、戦艦は跳躍を開始した。


 銀河帝国の拠点を経由し、帝国の首都惑星への最短コースを進む。

 銀河中心戦線の戦いでは決して近寄れなかった宙域を当たり前のように突っ切る。

 それどころか、他の船はこの艦の通り道を開けなければならないようだった。


 やがて一つの惑星が見えて来た。


 銀河帝国の首都惑星。

 敵の本丸と言うべき場所に、わたし達は賓客として丁重に迎えられた。


「これが銀河帝国の首都?」


「帝国首都惑星ミドーです。5千年の歴史を持ちます」


 その惑星は海と大地を持った、一見惑星グランドと区別の付かない星だった。


 しかし、着陸間近になると都市の発展ぶりに驚かされるようになった。

 銀河連邦のリムスよりもさらに建造物が多い上に歴史的な建築物も多数あった。

 さすが5千年の歴史だ。


 わたし達が案内された場所も神殿だった。

 宗教でまとめられた国家とか言ってたっけ?


「ようこそおいで下さいました、ローズマリー様。

 銀河帝国皇帝でございます」


 豪華な服を着た老人だったが、杖をついていて健康そうではなかったし、野心に燃えてる風もなかった。

 この人物が他星を侵略する銀河帝国の皇帝?


「銀河帝国を解体するって聞いてるけど?」


 単刀直入に聞いた。

 あいにくと仲良くなろうなどと考えてはいないし、礼儀正しくする気もない。


「我々は神託に従うのみです」


「だから自分達は悪くないって事?」


 やっぱり銀河帝国は滅ぼしてしまったほうがいいんじゃないか。

 頭に血が昇ってくる。


(お待ちください。ローズマリー様)


 それは皇帝の声ではなかった。


(我々が説明いたします)


 頭の中に直接響いてくる声だった。

 さらにわたしが誰……? と、心の中で考えると、


(この国の人間が神と呼ぶものです)


 口に出す前に声が聞こえて来た。

 これではまるで、わたしの考えが聞かれているみたい。


「ローズマリー様。

 どうかお聞き下さい」


 これは皇帝の声だ。


「祭壇へお越しください」


 祭壇の奥には機械で覆われた巨大な柱があった。

 宇宙に出て以来、機械は見慣れているが、神殿なんて場所には似合わない場違いなものだと思った。


「これは銀河中心ブラックホールにマイクロウェーブを送信する装置です。

 これでウィルと交信します」


 ゴーディクもそんな事を言っていた気がする。

 この機械の柱でそれができるって事?


「ウィルって何?」


「彼らがそう呼ぶように言いました。

 ですが、何者かと問われるならば、時空を超えて存在する、この銀河の全ての生命の創造主とだとお答えします」


「そんなの丸っきり神様じゃない!」


「わたし達もそう思い、彼らの声を神託と呼んでおります」


 それはもう神の声としか、神託としか言いようがない。

 しかし、これ以上絶望的な話があるだろうか。


「その神様がわたし達の星を滅ぼせって言ったと言うの?」


 神様の意思で惑星グランドが滅ぼされたなんて。


(そうではありません)


 またわたしの心の声に返事が返ってきた。


(わたし達はこの銀河をできる限り長生きさせ、できる限り発展させる事を望んでいます)


 わたしは祭壇に駆け出していた。


「だけどわたしの故郷を隕石兵器で攻撃するよう命じるんでしょ!」


(その説明のためにはこの銀河の歴史を遡らなければなりません)


 ウィルによる説明、それは銀河中心ブラックホールの成り立ちにから始まる壮大な物語だった。

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