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マリーは10回婚約破棄される  作者: 隘路(兄)
第三部 銀河帝国編
49/71

第49話 婚約破棄からの宇宙3回目

「ローズマリー=マリーゴールド!

お前との婚約を破棄する!」


ファーワールド暗殺を阻止したわたし。


しかし惑星グランド上空にゴーディク率いる大艦隊が10日目に現れる事が判明した。


10もの艦隊を集結させた総攻撃の構えだ。


対するわたしは、銀河連邦の協力も取り付け、魔王ザンと魔竜リンドも救援に駆け付けてくれた。


何とか対抗する手立ては間に合い、まさに総力戦に臨もうと思っていた矢先、運命シークエンスが発動してしまい、わたしは死んでしまった。

前回と同じく10日目の発動だった。


準備を整えてもダメと言う事は、10日でこの戦いを終わらせなければならないという事なのか。

そんなの、可能だろうか?


「むむむ……………」


「聞いているのか? ローズマリー!」


いやいや、できっこない。


シャラーナも1年くらいは見ておいた方がいいって。

そもそも、ファーワールドには戦力を集めるから時間を稼げって言われてるくらいだし。


未来の勝利のためにできる事をして、仲間に後を託す、なんて事も考えたけど、わたしは結局、過去に戻されるのだ。


未来を託して、毎回死ぬなんて馬鹿馬鹿しい。痛いし。


わたしの運命は誰にも託す事はできない。


と、なれば、10日で決着を付ける方法を見つけるしかない。

でも、そんな方法本当に見つかるだろうか?


「むむむむむむ………!」


「ローズマリー!

その態度は何なのだ!!」


うるさいなあ。

目の前でゼイゴス王子が怒鳴っているけど、それどころじゃない。


「別件でいろいろ取り込んでおりまして」


王子の方を見ずに答える。


「婚約の話を差し置いて、別件とは何だ?!」


立ち上がり、肘置きに拳を叩きつける王子。


「まあ色々」


この惑星が侵略される件です、とは言えない。


「ならばさっさと出て行け!


地の果てでもどこへでも行くがいい!!」


王子の怒鳴り声がするが、


「地の果てなんて近所でどうにかできる問題ではないのです」


「近所なの?!」


この惑星に籠もっていても、状況は変わらない。


「銀河の果てまで行って来ます。

また戻って来ますけど」


「どこまで行くだって?」


「むむむむむむむむむむ………!」


困惑する王子には答えず、わたしは玉座の間を去った。


そして、


「と、言う訳なんだけど、シャラーナ」


取り敢えず彼に相談するしかない。

ちなみにティアラ病の特効薬は、彼が来る前に火を止め薬瓶に詰めて置いた。

これでじっくり相談ができる。


「銀河帝国の大艦隊が来るけど、10日が期限なんですか」


さすがの天才魔術師も今回の難問には即答できない。


「でも、戦争が1日で終わる事はないと思います」


それはわたしもそう思う。

銀河中心戦線の戦いとは規模が違う。


「と、すれば戦いが始まる前に止めるしかありません」


「どうやって?」


「ゴーディクに総攻撃の要請をさせない、というのはどうですか?


魔界にいる間にどうにか倒してしまうんです」


一瞬、現実的なプランと思った。

しかし一つの問題に気付いてしまった。


「銀河帝国の支配領域はこの惑星の目前まで迫っているの」


この惑星は銀河帝国の侵略の途上にある。

ゴーディクを倒したところで侵略は止まらない。


その上、メルテや銀河解放軍との接触の機会を失ってしまって、かえって困った事になりかねない。


「これもダメですかね」


「せっかく知恵を絞ってもらったのに、ごめんね。

わたしもいろいろ考えてみるから」


先の見えない暗黒の宇宙への旅は、あと何回続くか分からない。

それでもわたしは、手探りで向かって行くしかないのだった。


☆☆☆


宇宙10日目。

惑星グランドに帝国大艦隊が迫るまさにその瞬間。


惑星と艦隊の間に跳躍反応。

出現して来たのは高高度プラットフォームだった。


「銀河帝国艦隊に告げます。

ただちに軍事行動を中止しなさい」


女性の声で銀河帝国に向けて通信が行われる。


想像だにしなかった急展開に銀河帝国軍は大混乱。

しかし、女性の声はさらに続けた。


「わたしはマリーマリー連邦共和国、初代大統領、ローズマリー=マリーゴールドです!」


急転直下に戦いは終わる。

今回の10日間で、わたしは惑星グランド侵略を止める事に成功する。

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