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マリーは10回婚約破棄される  作者: 隘路(兄)
第二部 魔界編
22/71

第22話 婚約破棄からの魔竜の背に乗る方法

「ローズマリー=マリーゴールド!

 お前との婚約を破棄する!」


 わたしに呪いを掛けた張本人、ダイザーは、円盤状の乗り物に乗り込んで空の彼方へ消え去った。


 魔竜リンドなら追いつけそうだったが、乗せてもらえなかった。

 人間を背に乗せる事はプライドが許さないようだ。


「わしは人間の下僕ではない」と言われてしまった。


「人間を背中に乗せる」というは、リンドにとっては極めて屈辱的な行為なのだろう。


 その後ダイザーの部屋で彼の正体と目的を知る事ができたが、午前0時になってしまった。


 やはりダイザーの円盤を逃がす訳にはいかないが、リンドはわたしを乗せたくない。

 この状況をどうするか?


「聞いているのか?! ローズマリー!」


 選択肢はあった。気になるワードはあった。


 下僕ではないから、わたしを乗せないと言うのなら。


「下僕にするしかない!」


「どういう事?!」


 あ! しまった。

 ゼイゴス王子が青ざめている。


 どこの世界に、婚約破棄した王子を下僕にしようとする公爵令嬢があるだろうか。


「えーと、これはその、あれです。

 解毒……、の事です」


「解毒?!」


「えーと……。そう!


 気分的にリフレッシュしたい。

 つまり、解毒した気分になりたい……、みたいな?

 そう言う気持ちなんです」


「そんな言い方するか……?」


 知恵を絞って考えてみたものの、自然な流れてフォローできたとは言い難かった。


「と、とにかく。 ユウちゃん!」


 ユウちゃんが勇者の衣を携え、飛んで来た。


「そう言う訳で」


 わたしは勇者の衣を肩に引っ掛け、王子に背を向ける。


「魔界三強をぶっつぶし、魔界を制圧してきます」


「な、何を言ってる?

 ちょ……、ローズマリー?!」


 一目散に玉座の間から走り去るわたし。


 やるべき事は決まった。

 魔竜リンドをわたしの下僕にする。

 結局、魔界三強は一通りやっつけるしかなかったのだ。


「シャラーナ。来て」


 玉座の間を出る前に、シャラーナにも付いてきてもらう。

 そして、


「ぐわああああ!」


 速攻で魔王ザンをやっつける。

 勝負が始まるや否や、死なない程度に袈裟斬りに斬りつけ、喉元に刃を突きつける。

 その場を動かず、手先の動作だけでユウちゃんを操作。

 もはやルーティーン。


 しかし、ダイザーの罠に備えるのは後回し。

 その前にしなければならない事がある。


「魔界に戻ったら魔竜リンドが待ち構えているわ」


「何だって?

 なんでそんな事を知っている?」


「とにかく、わたしが一人でやっつけるから、魔界に送って。


 そして、しばらくしたらあなた達も魔界に戻って来て」


「てめえ一体、さっきから何を言ってやがるんだ?」


 わたしはザンの胸ぐらを掴んだ。


「ダイザーはヤバい奴だから、あなたとリンドの両方の力が必要なの!」


「ダイザーの事まで知っているのか」


「早くしなさい!」


「痛え!」


 締め上げる力を上げたら、ユウちゃんの先にザンの首筋がわずかに刺さる。


「くそ、分かったよ!

 だけどよ、本当にいいんだな?」


 首を撫でてから悪態をつき、魔法陣の準備をするザン。


「お前一人で魔竜リンドに挑むつもりなのか?」


「リンドが強敵なのは知っているわ」


 魔王と互角の魔界のドラゴンの王。

 さらに、剣で斬りつけても刃の通らない鱗に覆われた相手だ。


「それでも、わたしは彼を下僕にする。

 そうしないとわたしは未来に進めない」


 わたしの真剣な表情に驚くザン。

 しかし、しばらくわたしを見詰めると、


「訳が分からんが、本気みてえだな。


 おれがお前に負けたのは事実だ。

 リンドに勝てたなら、ダイザーを倒すために力を貸してやるよ」


「本当?!」


「おれもダイザーの奴は気にくわねえからな。

 それにお前の顔を見てると、なぜか元々仲間だったみたいな気がしちまう」


 わたしがそういう態度で接してしまったのかも知れない。

 何しろ共闘は3回目だ。


「準備はできたぞ、行け」


 魔法陣が光り輝き、ザンは離れて行く。


 ユウちゃんを鞘に収めたわたしはただその場に佇む。


「よしなに」


 ザンに会釈すると、わたしの転移は始まった。

 早々に魔王ザンの協力を取りつける事ができてよかった。


 後はいかに魔竜リンドを下僕にするかだ。

 わたしは単身、魔界に旅立った。

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