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ガリウスの救世者  作者: たぷから
第8部「神鳴の封神者」
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第3章 6-5 裏方陣行動開始

 マラカが出したのは干し柿、作り置きの団子のようなもの、そして干し魚だった。


 「上等、上等」


 団子と魚をパオン=ミの起こした火であぶり、口にする。ふつうに食べられる。干し柿は甘くて重宝した。このような状況で、甘味がうれしい。心をほぐしてくれる。


 水も村の井戸で汲むことができ、マラカが数本の竹筒へ入れて持ってきた。

 人心地つき、今後を打ち合わせる。


 「シャクナというのは、どうもそう遠くない様子。街道沿いを北へ向かえば数日の距離のようですぞ」


 たった半日の探索でそこまで探り出し、食べ物まで調達してきたマラカに、改めてパオン=ミやライバが感嘆する。


 「ただ、関所が厳しいようです」

 「関所か。しかし、どうせ空から行く」

 パオン=ミは、関所に関しては特に気にしていなかった。


 「この国は、竜騎兵(ガルドゥーン)はどうでしょうか? あたいたちを捕縛するような竜騎兵が上空を警戒していたのでは、それも難しいでしょう」


 ライバの心配ももっともだ。しかし、ここにいる誰も、ホレイサン=スタルの竜騎兵の情報を持っていない。さすがのマラカも、そこまでは探りきれなかった。


 「しかし、囚われてからもつぶさに上空を観察していましたが、竜騎兵はただの一度も見ておりません」


 「確かに、な……」

 パオン=ミもうなずく。


 これは知る由もないことだが、単純に聖地の周辺は特に聖地から許可されている竜以外は、騎乗して飛行を禁じられているためである。


 従って、本来であればスーリーで飛び回っていれば聖地から竜に乗ったバグルスがすっ飛んでくるところだが、逆に聖地が崩壊したいま、パオン=ミたちは我が物顔で飛行できる。


 翌日、上空からここら辺の地形などを探索することとし、その日は早めに休んだ。



 翌日は二手に別れ、パオン=ミとマラカがスーリーでつぶさに周辺を飛び回り、村落の状況や街道筋を探索した。特にマラカは上空から地形のあらゆるところをアタマへ叩きこんだ。


 ライバとスティッキィは地上班だ。ライバの瞬間移動が役に立つ。

 「きっと、あれがそのシャクナという町かと思われますぞ!」


 パオン=ミの後ろへ乗っているマラカがスーリーの背中で指を差す。パオン=ミも目を細めた。湖の北を回っている街道へ南回りの街道が合流し、さらに東へゆくと、途中から脇へ街道が逸れてその先にこじんまりとした町があった。近づいてみると、やはり地震で建物が倒れており人々が忙しく働いている。町の要は奥まった場所にある大きな神殿で、宗教都市だと分かった。


 遠目から、聖地や宿場町の辺りも飛んでみる。

 「……なんか、建物が建っているな」


 「人が集まっておりますね」

 宿場町のあった辺りに避難民らしき者らが集まり、再建してるように見えた。


 「たくましいな」

 あまり近づいても何なので、方向を変えて去る。


 その日はそのまま集合地点へ向かい、ライバ、スティッキィと無事に合流できた。

 「何か分かったか?」

 「村人が移動してる。どこの集落も、本当に誰もいない」

 ライバがそう云って、さらに失敬してきた食料や鍋、什器を出した。


 「移動するにしても、普通はこういうものは持って行くと思うが……」

 「日持ちしないものを置いてったんじゃない?」

 確かに、野菜類が多い。


 「お米とか調味料とかは、全部無かったわあ。パオン=ミの云う通り、持ってったんでしょうね」 


 その日は鍋へ水を入れて湯を沸かし、野菜類を茹でて食べた。塩や味噌などの調味料が無く、味気なかったが仕方がない。


 「塩気がほしいな」

 パオン=ミが顔をしかめる。人は塩分が無いと生きられぬ。

 「それが、まるで無いのよお」

 「とにかく、地形や町の場所は分かった。明日からはアーリー様を探そうぞ」


 翌日……。


 パオン=ミとスティッキィでスーリーへ乗ると、それぞれの眼で地上を探す。街道筋に見当をつけ、アーリーならばきっと関所でひと騒動おこすのでは……と読んだのが大当たり(・・・・)


 街道の奥から、黒い煙が上がっている。火事だ。鎮火はされているようだが……いくつかの建物が類焼したものか、少し近づくと関所全体から煙が上がっていた。

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