表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガリウスの救世者  作者: たぷから
第6部「轟鳴の滅殺者」
408/674

第1章 3-5 ライバの吐露

 「隠し事は無しだよ。私は、とあるお方(・・・・・)の命令でここにいる。カンナさんを護れってね」


 「ほおおう」

 わざとらしく驚いて、目を丸くする。

 「その『とあるお方』が、カンナちゃんを殺せと命令したら、殺すんだ」

 「そのとおり」


 スティッキィが、弾かれたようにガリア「死舞闇星剣(しぶあんせいけん)」を出した。そのまま、容赦なく幾つもの闇の星を出し、突きかかる。


 ライバが瞬間移動で消えたので、星は鋭く回転して硬い高級木材の椅子をバギバギに切断した。


 「あの女……!!」

 殺気に満ち、スティッキィが部屋を出ようとしたが、

 「だから、落ち着きなって……たぶん、次の命令は来ないよ」


 自分の後ろで、壁へ寄りかかって腕組みするライバが、鬱として声を発する。スティッキィは艶消しに漆黒の細身剣を突きつけた。


 「その前に……その『とあるお方』ってえのを吐いてもらおうじゃない。まさか、アーリーじゃないでしょうね」


 「デリナ様さ」


 ライバが顔を上げた。マレッティやアーリーより昨夏のカンナとデリナの戦いのことを聴いていたスティッキィ、ブルブルと震えてきた。


 「……あんた……よくも……いけしゃあしゃあと……」

 怒りのあまり、顔もひきつって、笑いまで出る。

 「頭のてっぺんから削って跡形も無くしてやるわよ!!」


 云った瞬間、ライバがまた瞬間で間を詰め、スティッキィの喉元にその食肉解体用の大型ナイフのガリア「次元穴瞬通屠殺小刀(じげんけつしゅんつうとさつしょうとう)」を突き立てた。眼が暗殺者のそれに光っている。


 「……あんた……!!」


 「私もメストだってお忘れみたいだね。それとも、知らなかった? 同じ『甲冑』配下と思ったけど」


 グッと、刃が紅潮してピンクに染まった喉へ押し付けられる。冷や汗が伝った。「甲冑」とは、かつて「覆面」「仮面」と共にメストとして活動していた三つの組織の一つで、レブラッシュの組織のことだ。いまは「覆面」と「仮面」の組織は壊滅して、レブラッシュがすべてを吸収している。


 「どういう……つもり……!?」

 「スティキィは、感情を出しすぎる。それでよくメストが務まったもんだ」

 「余計なお世話だっちゅうのよ」


 「君を殺せとは命令されてない。依頼もされてない。落ち着いて私の話を聞いてくれるのなら、殺さないけど」


 「殺しなさいよ」

 「カンナさんとは、ここでお別れ?」

 スティッキィが黙る。


 「……わかったわよ。なんの話よ。ただし、話の内容によっては……カンナちゃんとウォラにすべてを報告するから」


 「かまわないよ」


 ライバが離れる。スティッキィは首を押さえ、息をついた。ライバがガリアを消したので、自分も消す。が、彼女たちほどの遣い手になると、ガリアを出そうが出すまいが、効果を発揮するのに関係ない。


 ライバがバラバラの椅子を見て、

 「あーあ、すぐカッとなって……これ、ちゃんとスティッキィが弁償しなよ」

 「わかってるわよお!」


 ライバは、もう一脚の椅子へ座りなおした。

 「これは、相談も兼ねているんだけど……」

 ライバが嘆息交じりに、両膝へ肘をつき、手を組んで、どこを見るともなく話し出した。


 「デリナ様はさ、去年の夏に、サラティスを侵攻してカンナさんと戦って……カンナさんのあまりの『力』に驚嘆して……考えを改めたようなんだ。それまでは、どうも、カンナさんを『紛い物』として排除しようとしていた……らしいんだけどね」


 そこで、チラリとスティッキィを見る。スティッキィが黙っているので、話を続けた。


 「帝都へ行って、それから聖地ピ=パへ行った……私へいろいろと指示が出てたんだけどもね。ホルポスを陥れようとしてたのも……なにか考えがあってのことだと思うけど、それは分からない。それで、帝都や聖地で調べ物をして……確信したんだと思うよ。カンナさんが『本物』だって。それで、急にカンナさんを護れなんて言う指令がきたんだと思ってるんだ。だけど……」


 そこでライバが黙ってしまい、見る間に涙目になったので、スティッキィも驚く。


 「私には、これで最後の指令だって。カンナさんをどこまでも護れって云って、そのままカンナさんに仕えろ、だって」


 「なによ、それ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ