39話 GW【後半】④
「ごめん健吾。意味がわからないんだけど?」
「え?……あぁ、すまん。わかり辛かったか?」
「うん。ごめんだけど、全然伝わらなかったよ?それで、えっと?中学のリベンジだっけ?どういう意味?」
「まぁ、京に取ったら嫌な思い出かもしれないが……。中学の卒業式のときに俺らゲーセンに行こうとしていただろ?だけど、アレが起きてしまって行けなかったからさ。だから今日はあの日のリベンジってことにしたかったんだ。それに……」
「それに……?」
健吾ってあの日のことまだ気にしていたのか……。多少姿は変わってしまったけど、無事?に生き返ることが出来たんだし、気にしなくてもいいのにね?それで、健吾が途中で言葉を切ったから、続きを促すと
「お前と2人きりで遊びたかったんだよ」
って、ニカッて笑いならが答えてきたんだよね。それに対して僕は溜息をつきながら
「ハァ……。そういうのは僕じゃなくて女の子に言ってあげたらいいのに。健吾って中学のときからかなりモテていたんだし、そういうセリフを言ってあげるだけで大抵の女の子は落とせると思うんだけどねぇ」
って返すと、健吾は肩を落として
「お前じゃなかったら意味がないんだけどなぁ……」
何やらブツブツと言っていたけど、声が小さすぎて聞こえなかっただ。
「え?何て?言うならハッキリ言ってよ」
だからもう一回言ってもらおうと思ったんだけど、
「いやいやいや!別に何でもないから気にしないでくれ」
って、教えてくれなかったんだよね。それから
「コホン。まぁ、それより……」
話を変えようと、ワザとらしく咳をした健吾は僕の服をじっと見てから
「今更なんだが、今日はどういった心境の変化があったんだ?」
って言ってきたんだよね。だから僕は
「いや、別にそういうのじゃなくて……。この服もちょっと色々あって、真琴達が選んだんだよね……。やっぱり変だよね?僕がこんな服を着るなんて……」
着ている服の裾を握って俯いたのだった。
ちなみに僕が着ている服は奇しくも病院を退院した日の服装とほぼ同じなんだ。細かく言えば靴があのときとは違うくらいで……。たぶん、これが真琴たちの選んだ候補の中に入っていたこの組み合わせがあったのを知ったお母さんが色々理由をつけて薦めてくれたんだろうね。今まで断固として着るのを拒否していた服よりも、まだ1回は来たことがある服ならまだ抵抗が少ないだろうって考えてくれたって感じで。
まぁ閑話休題、やっぱり僕がこんな格好をするなんてね……。
改めてこの格好が変だと思われることにショックだと思っていたことに気付いたせいで、余計に落ち込みはじめていると
「いたっ!?」
いきなり頭に衝撃が走って、何事かと思ったら健吾の手がチョップの形をしていたんだよね。ってことはつまり、今の衝撃ってチョップを頭に落とされたから……?
何でチョップをされたのかわからずにいると……
「だから、似合わないなんてあるわけないだろ?前にも言わなかったか?」
って、健吾が言ってくれているんだけど
「だ、だってぇ……」
僕にはそれがフォローにしか聞こえないんだよね……。だからいまひとつ健吾の言葉を信じられずにいると
「だってもヘチマもねぇよ。それに、その服が似合わなかったとしたら何で駅であれだけナンパされるんだよ?」
「うっ……。やっぱり健吾の言うとおりなの……かな……?」
「……それに、お前ならかなり変な服装とかじゃない限りナンパされていただろうけどな」
「え?なんて?」
最後の言葉だけ何故か小声で言ったせいで聞き取れなかったからもう1回言ってもらおうと思ったんだけど、
「と、とにかくだ!別におまえの服はおかしいところなんてないし、よく似合っているから問題ないってことだ!」
って言って、そっぽを向いちゃったんだよね。最近の健吾は何やら重要そうなところに限って小声で言うから聞き取れないんだ……。中途半端に聞こえそうなのが一番気になるから出来れば教えてほしいんだけど、絶対に教えてくれないんだよね……。ほんとなんでだろ?
「まぁ、別に変じゃないのならいいんだけどさ……」
健吾の力技っぽいフォローに対して小声でそう呟くと
「だろ?じゃあ、そういうことで。すぐにでもゲーセンに向かおうぜ」
って言って健吾が歩き出そうとしたんだけど
「ちょっと待って」
僕は健吾を呼び止めたんだ。
「なんでだよ?」
健吾が止められた理由がわからずに怪訝な顔をしていたんだけど、僕にはどうしても健吾を呼び止めないといけない理由があったんだ。だって……
「その前に、お昼ごはん食べようよ?」
もうお腹がペコペコで、限界が近かったんだもん。
そうして僕たちは先ほどのお礼という意味合いも兼ねて、桝岡さんのお店に逆戻りして、お昼ごはんを食べたのであった。
桝岡さんはすっごい顔をニヤニヤさせながら僕たちの様子を見ていたけど、それは出来るだけ気にしないようにしてお昼ご飯を済ませたんだ。味は普通の料理屋さんのよりもおいしかったんだよね。どのように味付けしていたかも気になって、聞いたら教えてくれるかなって健吾に聞いたんだけど、また今度にしろって怒られちゃったんだよね……。ちぇっ……。
………………
…………
……
「さて、着いたぜ」
「うん、そうだね。とりあえずどうする?」
お昼ごはんを食べ終わった後、僕たちはゲーセンに向かったんだ。けど、思っていたより少しだけ時間がかかったんだよね。てっきり最短ルートで行くと思っていたんだけど、最短ルートだと僕が交通事故に遭った場所を通らないといけないんだよね。健吾は僕がその道を通るのが嫌になっていると思ったんだろうけど、その道を避けたルートでゲーセンに行ったんだ。だからその分到着するのに時間がかかっちゃったんだよね。僕自身、あの交通事故そのものはそこまで気にしていないから通っても全然よかったんだけど、健吾が折角違う道を選んでくれた気持ちを無碍にしたくなかったから何も言わなかったんだ。僕だってそういう空気は読めるんだからね!
……まぁ、それは置いといて、今日は何をするつもりなんだろうね?
いつもと同じなら適当にUFOキャッチャーを見て回って、それから格ゲーを一緒にやるくらいなんだけど……。
そんなことを考えていると
「まぁ、とりあえずは適当にUFOキャッチャーを見て回るか」
「あっ、うん。わかった」
あっ、いつも通りなのね。何か変わったことをするのかと身構えていた分拍子抜けしながらも、今はどんな景品があるのかも気になっていた僕はUFOキャッチャーゾーンの物色を始めたのであった。
…………
……
「うわぁ……。なつかしー……」
物色していると、昔の漫画のキャラクターのぬいぐるみが目にとまったんだ。
なんだったけなぁ。確か主人公含めて、何人かが呪われちゃってて、とある条件を満たしちゃうと姿が変わってしまうとかそんな漫画だったんだよね。アニメ化もされていて、よく夏休みみたいな長期休暇のときに再放送されているんだよね。でも、途中で学校が始まっちゃったからいつも途中で見るのを止めざるおえなかったんだよね。原作も持ってないから結局最後がどうなるかはわからないんだよね……。まぁ、それはともかく、このぬいぐるみは主人公のライバル的ポジションのキャラが呪いで姿が変わった後の姿なんだけど、すごい可愛らしくて人気だったんだ。
それで、そのキャラの大きいサイズのぬいぐるみが景品としてあったんだ。何でいまさらという気持ちもあったけど、こんなに大きいのは見たこともなかったから思わずじっと見ていると
「ん?あぁ、P○ゃんじゃん。なつかしいなぁ。どうした?欲しいのか?」
「え?うん、まぁ、どっちかっていうと欲しいかな?」
健吾がそう聞いてきたから欲しいって返事したんだ。すると
「そうか。じゃあとってやるよ」
「え?いや、いいよ。とるなら自分でとるし」
健吾が自分のお金でとってくれようとしたから慌てて止めようとしたんだけど
「まぁ任せておけって。それに、俺はやっぱりUFOキャッチャーはする方が楽しいしな」
って言って僕の制止を聞かずにお金を投入したのであった。
明日か明後日に見直して、誤字脱字を自力で見つけれれば修正します。
あと、今回のネタにつかったら○ま1/2でこのジャンルにハマッたというわけではないのであしからず。
まぁ、そんなことはどうでもいいですよね、はい(・ω・`)
何か誤字脱字報告・意見等々ありましたら、コメント欄に残していっていただけたなら幸いです。




