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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第五章 冬休み編
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142話 クリスマスイヴ⑦

「ねぇ? どこに向かっているの?」


健吾に着いてきて欲しいと言われ、それに了承した僕は健吾と一緒にどこかに向かっているんだけど、まだ場所を教えてもらっていなかったことに気付いてそう尋ねると


「すぐにわかる。って言うより、もう着いたけどな」


健吾はここが目的の場所だと言いながらその場所を指をさしたんだ。健吾の指さした方向を見るとそこは


「……公園?」


今ではすっかり来ることがなくなった公園だったんだよね。どうしてここにという意味も込めて健吾の方を見ると


「まぁ、何だ。とりあえず入ろうぜ」


健吾は公園の中に入ろうと促してきたんだ。


「う、うん。わかった」


健吾がどうしてここに来たかったのかはわからないけど、中に入ればきっとわかるだろうと思った僕は頷いて、健吾と一緒に公園の中へと入ったのであった。


…………

……


「京、ここで遊んだこと覚えているか?」


公園に入り、屋根付きのベンチに座った後、健吾がそう切り出してきたんだよね。


「うん。中学生にあがるまではよくここで遊んだよね」


それに僕は頷いて返したんだ。中学生に上がるまでは、僕の家も健吾の家もゲームは1日1時間しかさせてもらえなかったんだよね。しかも昔からお母さん同士もよかったせいで、どっちの家でどれだけゲームしたのかも筒抜けだったから誤魔化すことも出来なかったしね。そうなると家の中で遊ぶか外で遊ぶかの2択になって、それならお母さんたちの監視の目から逃れるために公園で遊ぼうってことになって、小学生のときはよく健吾と遊んだんだ。あのときのことを思い出しながら、懐かしい気持ちになっていると


「そうだな。ちなみに何だが、そのときにした約束もまだ覚えてたりするか?」


健吾が続けて僕に尋ねて来たんだ。


「えーっと……、何だったっけ?」


色々と約束した記憶はあるんだけど、内容についてはほとんど忘れてしまっていた僕は健吾にそう返すと


「本当に覚えていないか? 大きくなっても……ってやつなんだが?」


健吾は僕の様子を窺うようにそう言ってきたんだ。


「えーっと、あっ!! 大きくなってもずっと一緒にいようねってやつだっけ?」


まだお互いに名字で呼び合っていた頃、これからもっと仲良くなるために、名前で呼び合おうと話になったんだよね。そのときに、これからお互いにどれだけ大きくなってもずっと一緒にいようって約束をしたんだっけ。あのときはただずっと仲良くしていようねって意味で約束したんだったなぁ。今だと今とは全く違う意味にとることが出来るんだけどなぁ。だけど、それは叶わない夢だと、また占めた蓋から漏れ出しかかっている気持ちを抑え込もうとしていると


「そうそう。それなんだが……っと、その前に」


健吾が頷いて、僕が思い出した内容が正しかったことを教えてくれた後、何かを言いかけていたんだけど、途中で止めて鞄の中に手を入れていたんだよね。どうしたのだろうと思っていると


「まずはこれだ。クリスマスプレゼント」


健吾はそう言いながら小さな箱を渡してきたんだ。


「こ、これは……?」


受け取ったはいいけど、まさかプレゼントをもらえるとは思っていなかった僕は思わずそう呟くと


「だからプレゼントだって、クリスマスプレゼント。あぁ、別にお返しとかはいらないぜ? 元々サプライズで用意したものだったしな。それよりも開けてみてもらえないか?」


健吾はこれが何なのかもう一度言ってくれたんだ。その後、僕が用意し忘れているのを見越しているかのようにそう言ってきたんだよね。実際に今日(デート)のことで頭が一杯でプレゼントのことまで頭が回っていなかったしね……。だから僕はそのことには触れず、健吾の言う通りにプレゼントを開けて中身を確認したんだけど


「……ねぇ、健吾? これって……」


つい最近、それも本当に今日見た物が入っていたんだ。だから僕は箱からそれを取り出す前に健吾を見たんだよね。だけど健吾は何も言わずにただ見返してきただけだったんだ。


「これ……、渡す相手を間違えてない?」


何も言ってこない健吾に痺れを切らした僕がそう健吾に尋ねたんだけど


「いや、間違っていない」


健吾からはそんなことはないって返って来たんだ。


「でも……、でも……。これって女物だよ?」


プレゼントの箱に入っていたのは、女物のネックレス。しかも……


「そうだな。しかも映画で見たやつに似ているだろ? しかも、雪降る公園ってところまで同じだ」


健吾が僕が思っていたことの続きを言っちゃったけど、本当に映画で最後のシーンで渡していたプレゼントに本当に似ているんだ。

まさか健吾がそうだと言ってくるとは思っていなかったこと、それに本当にシチュエーションが映画そっくりなことに、色々と意識してしまって何も言えずに固まっていると


「意味も同じだからな」


続けざまにそう言ってきたんだ。その言葉にハッと健吾の方を向くと、僕をここに誘ったときのような真剣な表情で


「京、俺は京のことをそう思っているんだ。あのときの約束も本当の意味でずっと一緒にいたいと思っている」


僕にそう伝えて来たんだ。そして


「別に答えが欲しいってわけじゃないから安心してくれ。それじゃあ、ここからなら1人でも帰れるよな? そういうわけで気を付けて帰れよ!!」


さらに重ねるように健吾がそう言ったかと思うと、健吾はベンチから立ち上がってそのまま走り去ってしまったんだよね。

だけど、そんなことよりも、健吾が僕のことを……? 夢じゃなくて……? でも、ここにあるネックレスは本物で……?

夢だと言われても信じてしまうような状況になってしまったことで、今が現実なのか夢なのかが判断出来なくなってしまった僕の脳は考えることを拒否してしまい、徐々に意識が薄れていったのであった。



~~健吾視点~~


「ねぇ? どこに向かっているの?」


無事京の了承を得られたこともあり、そのまま目的地へ向かっていると京がそう声を掛けて来たんだ。そう言えばまだ言っていなかったか。今回は隠すつもりではなかったんだが……。ただ


「すぐにわかる。って言うより、もう着いたけどな」


言う前に目的の場所に着いてしまったんだ。だから俺は目的地である公園を指さしながら京に返すと


「……公園?」


京はここに何の用事があるんだと言わんばかりに俺の方を見ながらそう聞いてきたんだ。


「まぁ、何だ。とりあえず入ろうぜ」


それに俺は頷いて返し、京に中に入るように促したんだ。これでシチュエーションとしては雪と公園の2つクリアだ。


「う、うん。わかった」


もうすぐ知られることになるが、まだもう少し黙っていたい俺は京に促した後にすぐに公園に歩を進め、京も戸惑いながらもついて来てくれていることを尻目に確認した俺は公園の中で、唯一屋根があるベンチを目指して歩いたのであった。


…………

……


「京、ここで遊んだこと覚えているか?」


京と並んでベンチに座り、一息ついたところで俺はそう切り出したんだ。


「うん。中学生にあがるまではよくここで遊んだよね」


それに京は頷いて返して来たんだ。……よし、これでまずは第一関門突破だ。


「そうだな。ちなみに何だが、そのときにした約束もまだ覚えてたりするか?」


さぁ、ここからだ。映画のように結婚の約束はさすがに当時は京も京矢()だったからしていなかったが……。それでもそれに近いことは約束していた。そのことを京に尋ねたんだが


「えーっと……、何だったっけ?」


京は悩む素振りを見せた後、俺にそう返して来たんだ。まぁ、この公園でした約束なんて数多にあるから、その中のどれかなんてわからないよな。どれも思い出せてない可能性もないわけじゃないが……。それでも、京の記憶に引っかかればいいと


「本当に覚えていないか? 大きくなっても……ってやつなんだが?」


一番思い出して欲しい約束のキーワードを伝えたんだ。すると


「えーっと、あっ!! 大きくなってもずっと一緒にいようねってやつだっけ?」


上手く京も記憶をサルベージ出来たみたいで、無事思い出してくれたんだ。ここが映画のような作り物ならば、昔の京矢のことを女と勘違いしていて、その約束をしていたなんてご都合展開があるだが、現実はそんな上手く出来ていないよな……。でも、この思い出してくれた約束からでもいけるはずと


「そうそう。それなんだが……っと、その前に」


俺は本当の意味で覚悟を決め


「まずはこれだ。クリスマスプレゼント」


予め準備していたクリスマスプレゼントを京に手渡したんだ。


「こ、これは……?」


ただ、何の説明もなしに中身もわからない箱を渡したこともあり、京は戸惑っているだけで中身を確認しようとしてくれなかったんだ。


「だからプレゼントだって、クリスマスプレゼント。あぁ、別にお返しとかはいらないぜ? 元々サプライズで用意したものだったしな。それよりも開けてみてもらえないか?」


だから俺は少し焦りつつも、京に中身を確認するように急かしたんだ。焦りのあまりに、余計なことも口走った気もするが、まぁ今はいい。それよりも京が開けてくれるか様子を窺っていると、京は恐る恐るといった感じだったが、中身を確認してくれたんだ。そして


「……ねぇ、健吾? これって……」


中身を見た京はそこで一度言葉を区切ってから


「これ……、渡す相手を間違えてない?」


頓珍漢(とんちんかん)な答えが返って来たんだ。そのことに思わずズッコケそうになりながらもなんとか踏みとどまり


「いや、間違っていない」


と否定で返すと


「でも……、でも……。これって女物だよ?」


京の戸惑いはさらに大きくなり、何かを言いたそうにしていたんだ。その言いたい内容がわかった俺は


「そうだな。しかも映画で見たやつに似ているだろ? しかも、雪降る公園ってところまで同じだ」


それを引き継ぎ、京の代わりに口にしたんだ。あえて映画と同じであるということを強調するために雪の降る公園ということも言ってやった。すると狙い通り京はこのプレゼントの意味を考え始めてくれたんだ。これはいけると


「意味も同じだからな」


俺は畳みかけるようにそう伝えたんだ。そこまで言うと京もやっとこのプレゼントにどんな意味が込められているのかがわかったみたいで、俺の方を見て来たんだ。……よし、今だ。


「京、俺は京のことをそう思っているんだ。あのときの約束も本当の意味でずっと一緒にいたいと思っている」


俺は今日のデートの間に何度も決めてきた覚悟の中で、最大の覚悟を決めて京に俺の思いを伝えたんだ。ただ、言った後に少し頭が冷え、思い出したかのように出て来た羞恥心と、京からの返事に恐怖心を覚えた俺は


「別に答えが欲しいってわけじゃないから安心してくれ。それじゃあ、ここからなら1人でも帰れるよな? そういうわけで気を付けて帰れよ!!」


京にそう伝え、逃げるように公園を後にしてしまったのであった。


…………

……


「いや、さすがにあれはないだろ」


あれから、雪の中を走ったこともあり、急速に頭が冷えた俺は、再び公園へと足を進めていた。いくら返事が怖いからって、雪が降ってこんなに暗い夜道に女の子を1人置いて帰るなんてさすがにない。だから俺はまだ京がまだ帰っていないことを願いつつ公園へと向かっていたんだ。


早く頭が冷えたことで、すぐに公園に辿りつけたこともあり、まだベンチに京が座っていたんだ。そのことにホッとしながら


「すまん。さすがに置いて帰るってのは無しで」


京に謝りながら近づいていったんだ。京も俺に気付いたらしく、ベンチから立ち上がり


「ううん、そんなことないよ。待っていたよ、健吾」


俺にそう返してきたんだが、ふと何か違和感を感じたんだ。本当はすぐに何かを返事をするべきなんだが、俺の何かがその違和感を見逃すなと言っているような気がして、俺はすぐに言葉を返さず、違和感の正体を探したんだ。そして、すぐにその違和感の原因がわかった俺は


「さすがに女の子を1人置いて帰るなんて出来ないしな。そうだろ、彩矢(・・)?」


彩矢にそう返したんだ。

この1話で2人視点はこの話で一先ず終わりです。

2人を同時に動かすと、想像していたよりも話が進まなかったので、

次にこういうことをするときはもう少し更新速度を上げるか

1話あたりを長くしてもっとテンポ良くしていきたいですね(・ω・`)

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