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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第五章 冬休み編
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138話 クリスマスイヴ③

最近更新間隔が開いてしまってすみません……。

暑さ対策をそろそろ考えねば……。

「はぅ……。あったまる……」


駅から歩いて徒歩10分。体にも外の寒さが染み渡り始めた頃、僕たちは映画館に着いたんだ。映画館内の暖かい空気に触れた僕は思わずそんな言葉が口から出たんだよね。手を摩りながら、手袋を持ってくるべきだったかなと思っていると


「それにしても今日は一段と寒かったな。もしかすると雪でも振るんじゃないか?」


健吾も寒かったらしく、賛同の声をあげていたんだ。それに僕は


「そうかもしれないね。……そうなったら嬉しいな」


同意した後、そう呟いたんだ。だって、雪が降ったらホワイトクリスマスになるんだよ? そうなったら思い出として、すごく良いものになるじゃない。だから出来れば振って欲しいなと、一人小さく笑っていると


「うん? 何だって?」


健吾の耳には最後の言葉は届かなかったみたいで、僕にそう聞き返してきたんだけど


「ううん、何でもない。それよりも、早く行こうよ。まだチケット取ってないんでしょ?」


僕は軽く顔を横に振ってから、健吾にそう提案したんだ。そろそろ何の映画を観るのかの知りたいしね。だから健吾を催促したんだけど


「そんな慌てなくても前売り券買ってあるから大丈夫だって。そもそも今日は……ほら、冬休み(・・・)だろ? だから先に取っておかないと席が取れそうになかったしな」


健吾はすでに準備済みだから焦る必要はないって返してきたんだ。確かにクリスマスイヴ(今日)を前売り券買わずに見たい時間に観ることなんか中々出来ないよね……。そのことにも気がつかないくらい浮かれてしまっていた僕も僕だけど、さすがにもう映画館に着いたんだから教えてくれてもいいじゃないと、抗議の意思を示すために口を尖らせていると


「……まぁ、もうすぐにわかることだし、映画館に着いたからもういいか。今日観る映画は……」


健吾は僕の態度に気が付いたみたいで、少し苦笑いをしながらもついに僕に教えてくれようとしていたんだけど


「……京?」


その前に僕がよく知っている声で僕の名前が呼ばれたんだよね。


「えっ……?」


まさかここでその声を聴くとは思ってもいなかった僕は、呆けた声を出しながら声のした方へと振り返ると、そこには何か少し気まずそうな表情をした真琴と優花ちゃんがいたんだよね。

どうしてここにって思ったんだけど、ゴールデンウィークのときみたいにつけてきたのかもしれないった僕はスッと目を細めて


「……2人はどうしてここにいるのかな?」


今の僕からは僕自身も想像出来ないくらい低い声で問いかけたんだよね。すると2人は両手を必死に左右に振りながら


「ちょちょちょちょっと京、落ち着いて。今回は本当に偶然だから!!」

「そ、そうですよ! 私たちは2人で映画を観る約束をしていたのですが、予定が合うのが偶々今日だっただけなんです!!」


そう言ってきたんだ。それに僕はコテンと横に首を傾げながら


「……ほんとに?」


と確認すると、2人は首を何度も縦に振っていたんだよね。その様子から嘘をついていないことがわかった僕は細めていた目を開き


「そっか。疑ってごめんね?」


と2人に謝ったんだ。すると


「いえ、私たちも無粋なことをしてしまいましたので……」

「そうそう。危うく馬蹴りになるところだったもの……」


2人は安堵の表情を浮かべながらそう返してきたんだ。思わず怒ったけどそんなに怖かったのかなと、2人がホッとしているのを見てそんな考えが頭を過っていると


「ところで……」


真琴が健吾の方へと向いて何かを言おうとしていたんだよね。


「ちゃんと気づいた?」


何を言うのかなって思ったんだけど、ただそうとだけ健吾に聞いたんだ。これって僕の一工夫のことを言っているんだよね? やっぱり真琴たちにはすぐにわかられちゃうよね。そんなことを考えていると


「あぁ」


健吾はただそう言って頷いたんだ。それに真琴は僕の方へと向き直って


「本当?」


って確認してきたんだよね。だから僕は


「うん。似合ってるって言ってくれたんだ」


と玄関での出来事を思い出しながらそう返したんだ。すると


「そ。なら優花行きましょうか」


真琴は満足した笑みを浮かべた後、優花ちゃんにそう言ったんだ。それに優花ちゃんは


「そうですね。これ以上お2人を引き留めると、それこそ馬蹴りにされてしまいますし」


同意の言葉を返していたんだよね。その後


「それじゃあね」

「それでは」


と僕たちに別れを告げて2人は受付の方へと歩いて行ったんだよね。それを見送った後


「ちょっと予想外のことも起きたが、俺たちもそろそろチケットを取りに行くか」


健吾が僕にそう声を掛けてきたんだ。


「うん、そうだね。それで、結局何の映画を観るの?」


僕は頷いて返し、改めて健吾にそう尋ねると健吾はこう返してきたんだ」


「あぁ、そう言えばまだ言ってなかったな。『君のために』だ」


…………

……


「あぁ、やっぱりよかった」


健吾にこの映画を観ると言われたときは驚いたけど、やっぱり評判通り内容が良かったんだ。色々と共感出来ることもあったし、これは観て大正解だったね。健吾もきっとそう感じているだろうと思い


「ねぇ、この映画本当によかっ……た……ね?」


健吾の方へ向いてそう尋ねようとしたんだけど、そこには顔を真っ青にした健吾がいたのであった。



~~健吾視点~~


「はぅ……。あったまる……」


無事映画館へと辿り着き、暖かい建物内に入ると、京が手を摩りながらそう呟いていたんだ。


「それにしても今日は一段と寒かったな。もしかすると雪でも振るんじゃないか?」


確かに今日はいつも以上に寒かった。空の雲もかなり白かったしな。もしかしたら雪が振るかもしれない。そうしたらホワイトクリスマスになるわけだが……。その願いを込めて京にそう返すと


「そうかもしれないね。……そうなったら嬉しいな」


京も同じように思っていたらしく、同意の声が返って来たんだ。ただ、その後に呟いた声が周りの音で上手く聞き取れなかった俺は


「うん? 何だって?」


と京に返したんだが


「ううん、何でもない。それよりも、早く行こうよ。まだチケット取ってないんでしょ?」


京は顔を横に振りながら何でもないと言ってきたんだ。その後、恐らく無意識何だろうが、俺の服の裾を摘まみながら早くチケットを取りに行こうと言ってきたんだ。どうしてこいつは……。っと、それよりも冷静に、何事もないように……。俺はそう自分に言い聞かせてから


「そんな慌てなくても前売り券買ってあるから大丈夫だって。そもそも今日は……ほら、冬休みだろ? だから先に取っておかないと席が取れそうになかったしな」


クリスマスという単語を出さないように注意しつつ返したんだ。これはあくまで遊びとして映画館に来ているだけだしな。だが、京は俺の答えをお気に召さなかったみたいで、口を尖らせていたんだ。……………………。


「……まぁ、もうすぐにわかることだし、映画館に着いたからもういいか。今日観る映画は……」


これ以上無理矢理引き延ばしても京の機嫌を損なうだけだしな。決して京の可愛い抗議に(ほだ)されたわけじゃない、うん。ここまで来れば逃げられることはないだろうし、後は力押しで何とかしようと決心しつつ、映画のタイトルを言おうとしたんだが


「……京?」


告げる前に京を呼ぶ声に遮られてしまったんだ。

声のした方へと振り向くと、そこには篠宮さんと服部さんがいたんだ。どうしてここに……? その疑問をそのまま口に出そうとしたんだがその前に


「……2人はどうしてここにいるのかな?」


俺の横から今まで聞いたことがないような低い声が聞こえてきたんだ。その声に思わずビクッと肩を跳ねさせてから慌ててそちらの方を見ると、完全に目が据わっている京の姿があったんだ。何で京がここまで怒っているのかはわからないが、ガチで怒らせたらこうなるのか。……よし、京を本気で怒らせるようなことはしないようにしよう。俺はそう心に決め、被害を受けないように一歩下がってから3人の様子を窺っていると、どうやら2人が今日ここにいるのは本当に偶然だったみたいだ。俺と同じ、いや、俺以上に今の京を怖がっているしな。今の2人に咄嗟の嘘をつく余裕なんかないだろう。京もそうだとわかったようで、無事仲直りは出来たようだ。

京の機嫌も直り、これで一先ず解決かとホッとしていると


「ところで……」


篠宮さんが俺の方に向き


「ちゃんと気づいた?」


そう尋ねて来たんだ。これって京の服装についてだよな? 何を聞いてきたのかはわかったが、結局詳細を言えないままである俺は


「あぁ」


とだけ返したんだ。その言葉に篠宮さんは


「本当?」


俺が簡潔に返したのもあり、半信半疑の様子で京に確認をしていたんだが


「うん。似合ってるって言ってくれたんだ」


と本当に嬉しそうに言ってくれたんだ。そこまで嬉しそうに言ってくれると逆にちゃんとどこがって言えなかったことが心苦しくなるな……。ただ、京の様子に篠宮さんと服部さんは満足したみたいで


「そ。なら優花行きましょうか」

「そうですね。これ以上お2人を引き留めると、それこそ馬蹴りにされてしまいますし」


余計な一言を添えながら京に向かって言った後


「それじゃあね」

「それでは」


そう言ってから受付の方へと歩いて行ったんだ。2人を見送った後


「ちょっと予想外のことも起きたが、俺たちもそろそろチケットを取りに行くか」


京にそう声を掛けると


「うん、そうだね。それで、結局何の映画を観るの?」


京は頷いた後、そう聞いてきたんだ。そういえば、まだちゃんと言っていなかったな。だから俺は


「あぁ、そう言えばまだ言ってなかったな。『君のために』だ」


京に映画のタイトルを伝え、何かを言われる前に急いでチケットを取りにいったのであった。


…………

……


やばい……。いや、映画自体はすごく良い出来だった。映画のタイトルを伝えた後、結局京から反対の意見が出ることもなかったから心置きなく観ることも出来たしな。あらすじも見て予想した通り、今の俺にとってかなり参考に映画だった。ただ、こればかりは本当に予想外だった。下手に調べすぎて知ってしまうと楽しめないと思って調べなかったのが仇となっちまった。

本当にどうしよう……。












………………プレゼントが被っちまった。

映画の内容については次回にて。

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