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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第五章 冬休み編
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137話 クリスマスイヴ②

梅雨も明けて、本格的に暑くなってきましたね。

この時期になると、暑さで休日は夕方くらいまで気力が全くわかなくなる作者には色々な意味で辛い時期です(言い訳)

今回は、前半と後半で視点が変わります。

「健吾、おはよう!!」


玄関を開けながら僕は健吾に朝の挨拶をしたんだ。すると


「あ、あぁ。おはよう」


勢いをつけ過ぎちゃったみたいで、健吾が少し引いているっぽかったんだよね。……あれ? もしかしていきなりやらかしちゃった?


気合を入れようと思った矢先に空回りしてしまったかと、内心ビクビクしながら健吾の様子を窺っていると


「す、すまん。ちょっと考え事をしてたんだ。それじゃあ、早速だけど行こうか」


健吾は頭を横に軽く振ったかと思うと、僕にそう言ってきたんだよね。よかった。大丈夫だったみたいとホッとしながら


「うん。それじゃあ行こっか」


と返して駅の方へと歩みを進めたんだけど


「……どうしたの?」


健吾はその場から動こうとしなかったんだよね。だからどうしたのか健吾に聞きながら振り返ると


「いや、その……、なんだ……」


健吾は何かを言いたげな表情をしていたんだ。何かを言おうととして口を何度か開閉を繰り返した後


「その、なんだ……。上手く言えなくて月並みな言葉になってしまうんだが……。今日の服はいつも以上にいいんじゃない……か……?」


健吾の癖である頭の後ろをガシガシとかく仕草をした後、どこを変えたのかまではわからなかったみたいで途切れ途切れだったけど、そう言ってくれたんだ。彩矢に言われてしたことだったけど、本当に気づいてくれるなんて……。これはほんとうにチャンスがあるのかもしれない。そう思うと自然に笑みが浮かんできた僕は


「えへへ……、ありがと!!」


その嬉しさをそのまま健吾に伝えたんだ。すると


「お、おう。それじゃあ、行こうか」


健吾は鼻の先端を指先でかきながらそう言ってきたんだよね。それに僕は


「うん!」


と元気よく返事して、僕たちはそのまま駅へ向かったんだ。


…………

……


「ねぇ? 結局何の映画を観るの?」


駅に辿り着き、電車を待っているときに僕は健吾に尋ねたんだ。映画は観るって決まったのに、今日まで教えてくれなかったんだよね。だから僕も自分なりに上映中の映画を調べてみたんだ。すると今話題になっているのは大きく3つあったんだ。1つはアニメの映画、2つ目はシリーズもののSF系ホラー映画、最後は今がクリスマスイヴってこともあって恋愛ものの映画だったんだ。1つ目のアニメは僕は原作も読んでいるけど、健吾は読んだことがないって言っていたはずだから恐らく違うんだよね。2つ目のホラー映画は、有名なんだけど、僕も健吾も観たことがないし、そもそも健吾はホラーじゃないって言っていたからこれも違うはず……。なら最後の恋愛映画なんだけど……。これは……ないよね? 僕としては健吾と観たいけど、健吾は僕と観るのにこれを選ばないだろうしね……。そうなるとやっぱりアニメ映画かな? 僕が知らない間に健吾も原作を読んでハマったんかもしれないしね。だから恐らくそうなのだろうとあたりをつけていた僕は、健吾から予想した答えが返ってくるだろうと思いながら健吾の返事を待っていたんだけど


「……内緒だ。前も言っただろ? 着いてからのお楽しみだって」


健吾は教えてくれたなかったんだよね。その答えに僕は口を尖らせて


「えー。もうすぐ着くんだからいいじゃない。僕の予想だと、あのアニメのやつだと思うんだけど、どう? 最近良く話題にもなっているし」


健吾に軽く抗議してから、僕自身の予想を健吾に言ったんだ。隠してもバレバレなんだからという意味も込めて伝えたんだけど


「さぁ、どうだろうな?」


健吾はニヤリと笑ってからそう返してきたんだ。……あれ? もしかして違うの? そうなるとまさかの恋愛映画……? いや、それだけはないだろうから……。そうなると何か見落としたのかな? 健吾が好きそうな映画から先に調べていったはずだからそんなことはないとは思うんだけど……。

もしかしたら気持ちが先走りすぎて見落としてしまっていたのかも……? 予想が外れていたことに思いのほか動揺してしまい、上手く考えがまとまらずにいると


「そんなに悩んでいても仕方がないだろ? 俺が言うのもなんだが、映画館に着けばわかることなんだし、後少し待ってくれるだけでいいんだしさ」


健吾がそう言ってきたんだよね。そう言うなら教えてくれてもいいじゃないと思ったんだけど、この話は終わりだと言わんばかりに違う話を振って来た健吾に僕は釈然としないながらも、まぁ健吾の言う通りもうすぐわかることだしいいかと思い、健吾の振って来た話題に乗ることにしたのであった。



~~健吾視点~~


京の家まで約束の時間に間に合うように着いたのはいいが、インターホンを押すのは少し緊張するな……。京はただの遊びだと思っているだろうが、俺からすれば立派なデートなわけで……。

それでも押さないことには始まらないと、俺は意を決してインターホンを押した。さて、やっぱりデートは最初が大事だし、しっかり決めないとなと、昨日までのイメトレのことを思い出していると


「健吾、おはよう!!」


京が勢い良く玄関の扉を開けながらそう言ってきたんだ。


「あ、あぁ。おはよう」


考え事をしていたこともあり、反応が遅れてしまった俺は少し言葉に詰まりながら挨拶になってしまい、それがよくなかったみたいで、京の顔に不安の表情が浮かんでいたんだ。

……あれ? もしかしてやらかしてしまったか?


「す、すまん。ちょっと考え事をしてたんだ。それじゃあ、早速だけど行こうか」


俺は慌てて京に謝り、考え事をしていたことを伝えた。すると京の表情が不安のものから安堵のものへと変わったことに内心でホッと一息ついてから映画館に行こうと提案したんだが、そのときに京の服装に何か引っかかるものがを感じた俺は足を動かさずに京の服を観察してみたんだ。するとすでに歩き出し始めていた京は、提案したはずの俺が歩き出さなかったことを疑問に思ったみたいで、振り返りながら俺にどうかしたのか尋ねてきたんだ。

だが、何か引っかかるんだが、何かまでは特定出来なかった俺は


「その、なんだ……。上手く言い表せなくて月並みな言葉になってしまうんだが……。今日の服はいつも以上にいいんじゃない……か……?」


それでも何とか伝えようとしたんだが、言っている途中で俺の勘違いなんじゃないかという不安が頭を過ったため、途切れ途切れになってしまったんだ。だが、それでも俺の感じたことは間違いではなかったらしく、京は満面の笑みを浮かべながら


「えへへ……、ありがと!!」


と俺に礼を言ってきたんだ。……ヤバい、可愛すぎて鼻血が出そうだ…………。京の喜び様から、何かはわからないが、上手く正解を引き当てることが出来たみたいなんだが、鼻の問題を今現在抱えている俺は鼻をかく振りをしつつ、鼻血が出そうな方の鼻を抑えた。そして


「お、おう。それじゃあ、行こうか」


京にそれがバレないように、俺はそう言ってから、出来るだけ京の半歩前となる位置取りをしつつ駅の方へと歩き始めたのであった。


…………

……


「ねぇ? 結局何の映画を観るの?」


無事駅まで辿り着き、鼻の調子も戻った後、電車を待っていると京が映画を何見るか聞いてきたんだ。そりゃそうだよな。ただ、京のことだから事前に調べて、粗方予想は立てているんだろう。恐らく、アニメかSFホラーの2つまでに絞ったんじゃないかな。ただ、ホラーはないって言っちゃった後だからあのアニメの映画だと思っているんだろうな……。っと、返事をしなくては


「……内緒だ。前も言っただろ? 着いてからのお楽しみだって」


まぁ、言うつもりはないけどな。そのことを京に伝えると


「えー。もうすぐ着くんだからいいじゃない。僕の予想だと、あのアニメのやつだと思うんだけど、どう? 最近良く話題にもなっているし」


京は口を尖らせながら俺にそう抗議してきたんだ。……どうしてこう仕草が一々可愛いのだろうか。自覚してからというもの、こういった京の無意識な仕草が可愛くて可愛くて本当にヤバい。ただ、京は俺がそう思っていると伝えられても困るだけだろうから、俺はその感情が表に出そうなのを誤魔化すためにニヤリと笑ってから


「さぁ、どうだろうな?」


と返したんだ。すると、京はまた何やら思考が暴走し始めたみたいで、何か考え込もうとしていたんだ。京の思考のループが入ると長いことを重々承知している俺は


「そんなに悩んでいても仕方がないだろ? 俺が言うのもなんだが、映画館に着けばわかることなんだし、後少し待ってくれるだけでいいんだしさ」


京の思考ループが始まる前にそう言い、京が望んでいるであろう今までのような、ただ遊ぶときにするような話題を振ることにした。それに京は一瞬顔をしかめたような気がしたが、どの映画なのかがわからなかったことに不満を持っているんだろうと思った俺はそれを気にせず話題を振り、もう映画の話を俺がしないと悟った京が俺の振った話題に乗った後は、他愛のない会話をしつつ、映画館へと向かったのであった。

クリスマスイヴの話の間は基本的にそれぞれの視点で進めていく予定です。

決して引き延ばしているわけではありません。……ありません。

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