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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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116話 文化祭

おまたせしました。

「さて、今日はお待ちかねの文化祭だ。お前らが一生懸命練習していたのも知っている。だから本番を楽しみにしているし、折角の祭りなのだから楽しんで欲しい。ただ、今日は外部の方も来られているからハメは外しすぎないようにな。以上だ」


そう言って教室を出ていく牧野先生を僕は見送った。今牧野先生も言ったけど、今日はついに文化祭当日を迎えたんだ。


僕たちの出し物(ダンス)は昼を少し過ぎた時間なんだ。だから今日はそれまで真琴や優花ちゃんと一緒に行動する予定なんだ。少しの間だけ別行動するけどね。そのことを思い返していると、


「さぁて、さっさと行きましょう? 京は11時から中山君と合流するってことだったわよね? ……本当にその後中山君と一緒に見て回らなくて良いの?」


真琴が僕のところまで来てそう言ったんだ。たぶん真琴は僕たちの出し物が終わるとほとんど見て回る時間もないことを気にしてそう言ってくれたんだろうけど、


「うん。健吾の中学時代の友達が来るみたいで、そのときに僕を紹介したいらしいから呼ばれているだけだしね」


僕は軽く頷いてからそう返したんだ。下手に健吾たちと一緒に行動しちゃうとバレる可能性が出てきちゃうもん。それだったらそもそも会わなければって話なんだけど、健吾がすでに()のことを話しちゃった後だったから会わないわけにもいかなくなったんだよね。しかも予想通り清水が()のことをすでにみんなに話していたみたいで聞きまくられたって健吾がげんなりしながらそう言っていたし。

あのときの健吾の様子を思い出していると、


「あぁ、中山君の友達ってことは京矢君だったっけ? 京の従兄の友達でもあるから京を紹介したいってわけね」


真琴は真琴なりに何か納得したみたいでそう返して来たんだ。


「そうそう。健吾が僕のことを話しちゃったらしくて、僕に合わせろってずっと言われたって言っていたしね。だから軽く顔合わせ程度ならってことでそうなったんだ」


本津は少し違うけど、下手に説明するよりは良いと思った僕は真琴にそう説明したんだ。清水に確認の意味で聞かれて僕のことを話したのは本当だし、僕のことを勘ぐられないためにもほんの少しだけ会うってことに落ちついただけだしね、うん。

問題は真琴たちも一緒に来てもらうつもりなんだけど、そのときに清水が変なことを言い出さないかなってことかなと、ほんの少し先の未来のことを考えていると、


「わかったわ。それじゃあ、大体10分くらいかしらね? それで予定を入れておくってことでいいわね。優花もそれでいい?」


真琴が頷いてからそう言って、優花ちゃんに確認を取ってくれたんだ。それに優花ちゃんも頷いてから、


「はい、大丈夫ですよ。真琴の言う通り軽い挨拶で終わるでしょうし。それはともかく、そろそろ移動しましょうか。一般公開が始まる10時半まで景品が出る出し物系は遊べても景品はもらえませんから真琴が嫌でしょうし、どうしますか?」


移動することを提案してくれたんだよね。確かに優花ちゃんの言う通り、ただ遊ぶだけの射的とかボール入れとかは真琴は絶対に嫌がるもんね。僕としては展示をどこかのタイミングで見れたらいいなと思っているだけで、それをすでに2人に伝えているから基本的に真琴に任せておこうと思って真琴の反応を待っていると、


「そうねぇ。展示は午後のあいている時間でいいでしょうし、2人が言う通り景品が出るところに行くのは馬鹿らしいし……」


真琴は顎に手を当てて少し考える素振りを見せた後、


「やっぱり最初はお化け屋敷かしら。同じことを考えている人がいるから多少は待つことになるだろうけど、それでも一般開放されてからよりは短いでしょうし、どうかしら?」


僕たちにそう提案してきたんだ。その提案に特に断る理由もなかった僕は


「うん。僕はそれでいいよ」


と返し、優花ちゃんも


「えぇ。私もそれで問題ありません」


と答えていたんだよね。僕たちの返事を聞いた真琴は


「よし、それじゃあ行くわよ。時間は有限なんだから急いだ急いだ」


そう言って我先にと教室を出て行ったんだ。僕たちと話しているときから体をそわそわさせていたのもあり、残された僕と優花ちゃんは見合わせ、苦笑してから真琴の後を追いかけたのであった。



………………

…………

……





「どう? 中山君から連絡はあった?」


お化け屋敷や書道部の書道ショー、演劇部のショート演劇などを見てまわり、逆転喫茶という店員が男女逆の衣装を着ている喫茶店で休憩をしていると、真琴がそう尋ねて来たんだ。僕は内容をもう一度確認するために携帯を取り出しながら、


「うん。中庭ステージで予想以上に人が多いから場所を変えるからよろしくだって。時間はそのままで体育館の横道で落ち合おうってきたよ」


そう言って2人に携帯を渡したんだ。するとメールの内容を確認した2人は


「確かに中庭は人が多いけど、急に場所を変更するのはちょっと……ねぇ」

「ですね。少し京さんに甘えすぎです。さすがにご友人の前では何もしませんが、少しお灸を据えた方がいいかもしれません」


黒い笑みを浮かべながらそう言っていたんだ。僕は健吾に文化祭の後に訪れるであろう苦難を思い浮かべて乾いた笑みを思わず漏らしながら


「あはは……。2人ともお手柔らかにね」


少しでも健吾への風当りが弱くなることを願いながらそう言ったんだ。たぶん変わらないだろうけどね……。

未来の健吾に心の中で合唱していると、


「さてと、そろそろここを出て向かいましょうか。ここも最初は色々な意味で面白かったけど、30分も居ればさすがに少し慣れちゃって面白味も欠けてきたし」

「時間的にも今出ると少し早いかもしれませんが、人波の中を動くとなると丁度いいかもしれませんね。もう少しならここに居ることも出来ますが、どうしますか?」


2人が僕に携帯を返しながらそう尋ねて来たんだよね。僕は携帯を受け取り、頷いてから


「2人の言う通りもう行こっか。早く着くことに越したことはないしね」


そう返したんだ。待たせちゃてそれで何か言われるくらいなら少し待ってパパッと終わらせちゃえばいいもんね。だからこそ早く行こうと伝えると2人は頷いてくれたんだ。


荷物をまとめた僕たちは集合場所へと向かったのであった。

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