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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
156/217

114話 予想外の再開3

更新が遅くなってすみません……(・ω・`)


PVがいつの間にか75万アクセスを超えていました。

これも読者の皆様のおかげです(*´ω`*)

更新頻度は相変わらずだと思いますが、気長に最後まで付き合っていただければ幸いです。

「あれ? 熱海?」


そう聞き覚えのある声に後ろから声を掛けられ、僕は思わず後ろを振り返っちゃったんだ。

するとそこには、やはり僕が予想した通り清水(しみず)琥珀(こはく)が立っていたんだ。


「えっ……。あっ……。し……」


まさか中学のときの友達に会うなんて思っていなかった僕は頭の中が真っ白になってしまい、上手く言葉を紡ぐことが出来ずにいると、


「あれ? 本当に熱海か? 熱海にしては小さいような……?」


清水が見せた反応はまだ本当に僕が京矢だということに確信しているわけではないものだったんだ。それを見て別人だと言えばもしかしたら清水はどこかに行ってくれるかもしれないという淡い希望も抱いたのだけれど、それよりも下手に話してしまうと余計に僕の正体がバレてしまうかもしれないという恐怖が勝ってしまった僕は出来るだけ顔を見られないように視線を下にし、先程まで言葉にならない声を出していた口を閉じたんだ。


それから清水は僕に何か声を掛けていたんだけど、僕は早く清水が僕のことを諦めて他に行ってくれることをただただ願いながら清水の声には反応せずに清水の足を見続けていたんだ。だけど僕の願いも空しく、痺れを切らしたのであろう清水は僕の方へと1歩踏み込もうとしてきたのが見えたんだ。もしかしたら無理矢理顔を上に向けさせられて確認されてしまうかもしれないと思わず目を詰むっちゃったんだ。もう駄目かもしれないと諦めかけたんだけど、その前に


「お主、京に何の用じゃ?」


勇輝がそう僕へ声を掛けながら僕を清水から隠すように間に入ってくれたんだ。僕は閉じた目を開き、勇輝の背中を見ていると、


「え? 京? 京矢じゃなく……?」


清水がそう返したんだ。京矢の名前が出て来たときに思わずビクリと肩を震わせてしまったけれど、幸い勇輝の影に隠れていたおかげで僕に背を向けている勇輝はもちろん清水にもそれが見られることがなかったんだ。それでもやっぱり京矢という名前が出てしまったことで荒ぶり始めた心臓の鼓動を何とか抑えようとしていると、


「京矢……? 誰じゃそれ? そもそも京は女なんじゃからそんな男の名前であるわけがなかろう」


勇輝は急にいつもよりもドスの利いた声で清水にそう返していたんだ。いつもからは考えられないような低い声に、さっきとは違う意味で肩を震わせながら勇輝の様子を窺っていると、


「へ? あっ、すまん!!」


清水が勇輝に謝り始めたんだよね。その様子を見ていて今がどんな状況なのかがわからなくなった僕は目を白黒させていたんだ。


「何で俺に言っとるんじゃ? 言う相手を間違えておるんじゃないのか?」


だけど、2人からは見えないところにいたこともあり、2人は僕の様子には気が付くこともなく話が続いていたんだ。


「あ、あぁ。そうだな。えっと、京……さん、ごめんね?」


「え? うん? 気にしてない……よ?」


そして清水が僕の前に来てから手を前で合わせながらそう言ってきたんだよね。どうして謝られたのかも今一つわかっていないけれど、何とかそう返したんだ。思わず疑問形になっちゃったけど、仕方ないよね、うん。

そう自分に言い聞かせていると、清水が何か言おうと口を開こうとしたんだ。だけどその前に、


「それじゃあ京行こうか。すまんが俺らはこれにて」


勇輝がそれを遮るように清水に会釈しながらそう言ったんだよね。そして僕の手を掴んでゲーセンの外に向かって歩きだそうししたんだ。まだ椅子に座ったままだった僕は慌てて立ち上がり、勇輝に手を引かれたままゲーセンの外へと出たのであった。


…………

……


「京、すまん!!」


「えっ!? えっ!?」


ゲーセンの外に出ると、勇輝はくるりと僕の方へと振り向いて、頭を下げながら謝ってきたんだよね。外に連れ出されてまさか謝れるとは思っていなかった僕は勇輝の下げた頭を見ながら戸惑っていると、


「俺が席を外してしまったばっかりに変なやつに絡まれてしまったじゃろ? 夏休みのときに十二分に後悔したつもりじゃったんじゃが、全然足らんかったようじゃ。本当にすまん……。未然に防げたものの、二の舞になるところじゃった……」


勇輝は頭を下げたままそう告げて来たんだ。僕としては夏休みのあの事件のことよりも、旧友に再会してしまったことで身バレするかもしれないということの方が圧倒的に上回っていてあのことは全く頭から抜けていたんだけどね……。

だけど勇輝には本当のことを伝えることが出来ない僕は


「ううん。勇輝がすぐ来てくれたから大丈夫だったよ? 勇輝が庇ってくれたおかげですごく安心できたしね。やっぱり男の子なんだなぁってすごく思ったもん。だから勇輝も頭を下げていないで上げてほしいな」


あのとき庇ってくれたときに思ったことを素直に伝えることにしたんだ。もし僕が男のままだったとしても勇輝みたいに友達を庇って立ち向かうことなんて出来なさそうだしね。清水のあのチャラい外見も相まって中々面と向かって話そうとは思えないもん。チャラいのは見た目だけって知ってるからもしかしたら大丈夫だったかもしれないけど、勇輝はそんなのは知らないわけだしね。だからこそ勇輝の行動はすごいと思ったんだ。まぁ、僕の場合は立ち向かったところで相手にされないとも言うけど……。


そんなことを考えていると、勇輝は顔を上げ……たかと思うとそのまま僕に背を向けちゃったんだ。


「…………えっと……、どうしたの?」


それから少し待ったんだけど、何も言わずにただ僕に背中を見せている勇輝に痺れを切らした僕がそう尋ねると、


「いや、何、他意は無いとわかっておっても喜んでいる自分を窘めているだけじゃよ」


何ていう変な答えが返ってきたんだよね。どういうことかわからず、頭の中で疑問符を浮かべていると、


「っと、そうじゃった」


勇輝は頭を左右に振った後、そう言いながら僕の方へ向き直ったんだ。向き直った勇輝の表情を見てもさっきまで僕に背を向けていた理由が全く思い浮かばず、余計に頭の中の疑問符が増えてしまっていたんだよね。そんな中勇輝は手にいつの間にか持っていたゲーセンの袋の中をあさり始め、


「これを渡そうと思っておったんじゃ。色々あって渡すタイミングを逃しておったが、思い出した今渡すのが丁度いいじゃろ」


そう言いながら僕に何かを手渡してきたんだ。その勇輝が渡して来たものを確認した僕は


「うわぁ……」


思わず感嘆の声を上げてしまったんだ。だって……


「確かそのキャラはブリーズブラウの京の持ちキャラじゃろ?」


勇輝の言う通り、勇輝が僕に渡してくれたものはブリーズブラウの僕の持ちキャラのぬいぐるみだったんだ。


「こ、これって、最近出たばっかりなんじゃ……」


しかも最近出たばかりだからかなり難易度は高いはずなんだ。だから


「えっと……、本当にいいの?」


思わず僕はそう尋ねちゃったんだ。すると勇輝は頷いて


「もちろん。そのためにとったんじゃし、もらってくれんと俺が逆に困りおるよ」


笑みを浮かべながらそう言ってくれたんだ。

僕は好きだからこそ使っているキャラのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて


「……ありがとう」


勇輝にお礼を言ったんだ。


その後、ゲーセンから外に出たのが想像していた以上に良い時間になっていたこともあり、家まで送ると言い張る勇輝に根負けした僕が勇輝に家まで送ってもらうことで勇輝とのお出かけは終わったのであった。

補足的な何かですが、勇輝は知り合いの店員とは勇輝と京のどちらも筐体前にいなかったらすぐに貸し切りは終わってくれていいと言う約束をしており、1日貸し切ったときの料金を払っています。


清水は京たちが出て言った後、どうしても京が気になり追いかけようとしましたが、その前に連れにナンパに失敗したと思われてからかわれてしまい、追いかけるに追いかけられない状況になっていました。


最後に、京の掛けられているペナルティは京が京矢だとハッキリとバレない限り発動しません。だから今回のように疑われただけで終わった場合はギリギリ大丈夫なのです。

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