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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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113話 予想外の再開2

「勇輝ごめん! 待たせちゃったね」


待ち合わせ場所に行くと、時間がギリギリだったってのもあってやっぱり勇輝が待っていたんだよね。だから僕は勇輝に駆け寄ってからそう言ったんだ。すると勇輝は目をパチパチとしばたたかせてから、


「いや、俺も来たところじゃから大丈夫じゃよ。それよりも、今日はまた普段とは違う恰好をしておるんじゃな。一瞬わからんかったよ」


そう笑みを顔に浮かべながらそう言っていたんだ。僕は軽く息を整えてから


「うん。今日はちょっとね。それよりもやっぱり変かな?」


軽く服をつまみつつそう尋ねたんだ。僕としては違和感があるって言われる方が凹むんだけどね。元々僕が着ていた服だし……。だけど、もしかしたら変だと思われているかな? さっきも僕の姿を見たときに驚いていたみたいだったし。

そんなことを思いながら勇輝の反応を待っていると、


「いや、普段の京の姿とは違っておったからビックリしただけじゃからおかしいところなんてないよ。これはこれで趣があって良いと思う」


そう返してくれたんだ。僕はその答えに笑みを浮かべて、


「ありがとう。それじゃあ、ここにずっと立ち止まっているのもあれだし、出発しようか? ……あれ? どこに向かうんだったっけ?」


勇輝に早く行こうと促そうとしたんだけど、途中で今日の目的地を聞いていないことを思い出した僕は踏み出そうと前に出した足を戻してから勇輝へそう聞いたんだ。すると勇輝は苦笑しながら、


「あぁ。そういえば言っておらんかったな。今日はゲーセンに行こうと思っておってな」


目的地を教えてくれたんだ。


「え? ゲーセン?」


だけど、勇輝がゲーセンを誘ってくれるとは思っていなかった僕がそう尋ねると、


「あぁ。京がしているゲームがあるじゃろ……? 確かブリーズブラウ……じゃったか? あれを俺も始めてみようかと思ったんじゃが、どうにも中々上手く出来んくてのぅ。出来れば教えて欲しいんじゃよ」


頷きながら目的地を教えてくれたんだ。


「え? ほんと!?」


しかも僕が好きなゲーム(ブリーズブラウ)がやりたいって言ってくれたんだ。中学生()のときならともかく今は格ゲーの話なんて中々出来ないからね。だから思わぬところで仲間が増えるかもしれないと思って、食い気味にそう返すと、


「あ、あぁ。こんなことで嘘はつかんよ。それでどうじゃ?」


気が付くと体まで前に出ちゃっていたみたいで、勇輝が少し体を引きながらそう言ってきたんだよね。勇輝の様子から前に乗り出しすぎていたことに気が付いた僕は体を少し引き直してから、


「うん、僕は全然大丈夫だよ」


そう返したんだ。僕としてはアーケード版しかシリーズ最新作は出来ないから願ってもないことだしね。

僕が肯定したのを見た勇輝の「行こうか」という言葉を合図に僕たちはゲーセンに向かったのであった。


…………

……


「それじゃあ、早速始めようとするかの」


ゲーセンに着いた後、勇輝は店員さんと何かの話をしていたんだけど、それが終わった後にそう言ったんだ。


「うん。でも、今店員さんと何話してたの?」


僕はそれに頷いて返してから気になったことを尋ねたんだよね。すると、


「あぁ、なに。今日は2台分貸し切りしてもらうよう頼んだだけじゃよ」


勇輝はさらっとそんなことを言って歩き出しちゃったんだ。僕は慌てて引き留めて、


「えっ!? ここってそんなの出来なかったと思うんだけど!?」


勇輝に真相を尋ねたんだ。だってね? 僕は中学のときからここに来ていたけど、そんなことが出来るなんて聞いたことも見たことも無いんだ。だからこそどうしてそんなことが出来るのを知っているのかを聞くために勇輝の答えを待っていると、


「なに。ここの店員は俺の知り合いなんじゃよ。じゃからそういうのも出来るってのを教えてもらっていたんじゃ」


勇輝はここの店員が知り合いだって教えてくれたんだ。なるほど、確かにそれだったら中々知れないようなことも知れるかもしれないね。でもあれ? 貸し切りだったら……


「でも、貸し切りだったら結構なお金がかかるんじゃないの?」


やっぱりずっとその台を僕たちだけで占拠しちゃうってことだしね。僕が思っている以上に高いかも。そんなことを思いながら鞄の中から財布を取り出して僕の分の代金を勇輝に渡そうとしたんだけど、


「あぁ。今回は俺が京に教えてもらうってことじゃからお金は取らんよ。じゃからその財布はしまっておくれ」


勇輝には払う必要がないって言われちゃったんだよね。僕は本当にいいのかという意味を込めて勇輝を見たら、勇輝はそれに頷いて返してきたんだ。僕が言うのも何だけど、勇輝が一度こうなったら余程のことが無い限り意見は曲げないってことは今までの付き合いでわかっている僕は問答をするのを止め、笑みを浮かべてから


「うん。ありがとう」


と勇輝に返して、財布を鞄の中へと入れたんだ。そして、


「そ、それじゃあ早速始めようか。時間も有限じゃしな」


勇輝がそう言い、僕たちは筐体の方へと向かったのであった。このときに勇輝の声が上擦っていた気がするんだけど、どうしたんだろうね?


…………

……


「ふぅ」


今僕はトレーニングモードで持ちキャラの変更点をチェックしていて、一通り思いつく範囲で確認が終わった僕は伸びをしながら思わず息を漏らしていたんだ。


え? 勇輝はって? 最初はずっと勇輝に基本的な操作方法や各キャラの特徴とかについて教えていたんだよ? だけど2時間くらい経ったときに、少し疲れたから休憩してくるって言って席を外しちゃったんだ。色々と一度に言い過ぎちゃったかなと少し反省しつつも、折角1人になったんだからと僕は色々と持ちキャラの確認をしていたんだ。


ただ、このとき僕は今日が休日で、ここが中学のときから通っていたゲーセンであること、そして何より中学のときの――つまり男だったときの――恰好をしているということに注意するべきだったんだ。


勇輝が返ってくるまで他のキャラも確認しておこうかなとか呑気に考えていた僕は


「あれ? 熱海?」


中学の卒業以来聞いていなかった声にそう話しかけられたのであった。

次回新キャラが出ます。

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