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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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109話 元通り? の日常2

前半は京視点、後半は優花視点です。

「京、おっはよー!」


教室に入ると真琴が待ってましたといわんばかりに席から立って入口にいる僕のところまで来たんだよね。


「う、うん。真琴おはよう」


今日は特に忘れ物もないはずだし、提出しないといけないものもないのにどうしたんだろうと思いながら真琴に返すと、


「いやぁ、一時期どうなるかとは思ったけど、無事に中山君と仲直り出来たみたいで」


真琴はニヤニヤとした笑みを浮かべながら僕にそう言ってきたんだ。


「え? 何で知って……!?」


喧嘩というか……すれ違いをしていたことはバレていたけど、仲直り出来たことまではまだ知らないと思っていた僕は思わず動揺して、どうして知っているのかを聞こうとしたのに最後まで言い切れずにいると、


「そりゃあ、つい昨日まで別々に来ていたのに一緒に学校に来ていたら……ねぇ。教室から正門は見えないけど、教室から駐輪場は見えるのよ?」


真琴は呆れた表情を浮かべながらそう言ってきたんだよね。真琴の言葉に僕は机に鞄を置かずにそのまま教室の窓に行くと、真琴の言う通り駐輪場が見えたんだ。まぁ、窓から見えると言っても窓に体を密着させるくらい近くに寄ってようやく見えるくらいなんだったんだけどね……。それでも、真琴が僕たちが一緒に学校に来ていたところを見たわけで……。


元々隠すつもりはなかったけれど、このタイミングの悪さに呆然としていると、


「本当に我ながらベストなタイミングだった……って言いたかったけど、実はそうじゃないのよね」


いつの間にか僕の近くまで来た真琴がそう言っていたんだ。


「どういうこと?」


僕たちが一緒に来たのを見たのは真琴じゃないって言ってきて、どういうことかわからずに聞き返すと


「そのままの意味よ。京たちを見たのは丘神君なのよ」


という言葉が返ってきたんだ。


え? 勇輝が?


真琴や優花ちゃんならともかく、勇輝が僕たちを見つけたということが予想外で、思わず勇輝の姿を探したんだけど、勇輝は優花ちゃんと2人で何か話していたんだよね。


「……あれ? 勇輝が優花ちゃんと2人で話すって珍しいね?」


みんなでいるときに話をしているときは見たことはあるけれど、今みたいに2人きりで話しているということは滅多に見たことがないんだ。遠くて会話の内容まではわからないけど、優花ちゃんが何かに呆れていて、勇輝が困ったような笑みを浮かべていたんだよね。一体どんな会話をしていたのかが想像もつかず気になっていると、


「まぁ、あれは丘神君がヘタレなだけだから気にしなくてもいいわ」


真琴がそう言ってくれたんだけど、説明が説明になっていなくて「勇輝がヘタレ……?」と呟きながら首を傾げていると、


「とにかく、京は気にしなくてもいいのよ。それよりも、京は勇輝が優花と2人きりで話しているところを見て何か思うところはないのかしら?」


真琴がそんなことを聞いてきたんだ。


「え……? さっきも言ったけど、2人きりで話しているのが珍しいなぁって思ったけど……?」


だけど、真琴が何を聞きたいのかがわからずそう返すと、


「やっぱり京にとってはまだそうよねぇ。……やっぱり勇輝君にとっては前途多難ね」


と溜息をつきながらそう言ってきたんだ。いきなり溜息をつかれたことに少しムッとなりながら


「だったらどういう意味なの? いきなり溜息をつかれるとすごい気になるんだけど?」


真琴に少し言葉をきつくしながら尋ねたんだよね。


「え? あぁ、ごめんごめん。今の溜息も京に対してじゃないわよ? ただ、どこかの奥手過ぎる誰かさんに向かってなだけよ」


だけど真琴は手をまででフリフリと振りながら謝ってきたんだ。そのタイミングで後ろからクシャミが聞こえて来たんだよね。反射的にクシャミがした方向に振り向こうとしたんだけど、


「おーい、おまえらー。席に着けー」


と言いながら牧野先生が教室に入ってきたんだよね。そこでようやくまだ鞄を持ち続けて立っていたことに気が付いた僕は牧野先生に注意される前にと、クシャミをした人が誰かだったのかを確認することなくいそいそと自分の席まで戻ったのであった。




~~一方そのとき~~


「本当によかったんですか?」


丘神さんにそう尋ねると、


「あぁ、いいんじゃ。京と中山が喧嘩しているときに京とより仲良くなろうというマネは俺には出来ん」


丘神さんはそう返してきました。


「……そうですか。ですが、現状貴方と中山さんでは大きい差があると思いますが、どうするつもりですか?」


何故かそのように余裕ぶっていましたが、暗にそんな暇はないと言い返しました。ちなみに、今私は丘神さんに発破をかけて京さんとの仲を進展させようとしていますが、正直に言いますと、私個人としては京さんが丘神さんと中山さんのどちらとお付き合いしてもいいと思っています。夏休みの例の事件で、多少あることにはありましたが、全員無事でいることは今でも奇跡だと思っています。それでもやはりあんな目にあってしまったのですから、京さんの心の中には少なからず男性に対して恐怖を覚えてしまうような感情が芽生えてしまっていると思います。なので、京さんが信頼している男性である丘神さんか中山さんに京さんと付き合っていただきたいと思っています。もちろん余計なお世話であることは重々承知なので京さん本人には伝えるつもりはありませんが。

……少し話が逸れてしまいましたが、要は幸いにしてお2人とも京さんに好意があるようですし、どちらかに付き合っていただきたいと私と真琴が考えているということです。ですが、丘神さんがあまりにも奥手……いや、ヘタレ過ぎて現状大きく後れを取ってしまっています。

なので本当に京さんと付き合いたいのならばもう少し焦っていただかないとと思い、丘神さんの反応を待っていたのですが、


「そ、それは……。こ、これから頑張るわい。そこはほら、文化祭の練習がこれから本格化するから京と居れる時間は増えるしのぅ」


返ってきたのはそのような情けない反応でした。私は盛大に溜息をついてから、


「それで追いつけると思っているのですか? 確かに京さんとは一緒に居ることは出来ますが、クラスメイト全員と一緒なんですから2人きりには中々なれませんよ? それに京さんが記憶を失くしている間は京さんに会うことが出来なかったんですよね? もう一度いいますよ? 本当によかったんですか?」


呆れた表情を浮かべながらそう言いました。この夏休みの間に京さんと中山さんの間が大きく進展した――京さん本人はまだ自覚はしていないようですが――ことも伝えようかとは思いましたが、現状丘神さんは受け身過ぎてそれ以前の問題ですからね。一度に言い過ぎて変な風に暴走されると元も子もありませんからね。


ただ、私の考えていたことは通じたらしく、


「……むぅ。やはりもう少し積極的に行かんと厳しいかのぅ」


……本当に通じたかは怪しいですが、少しは焦りを持っていただけたようですね。ですが元から受け身だったこともあって良い案は持っていないらしく、うんうんと唸っているだけでした。その様子を見て私はもう一度溜息をついてから


「……文化祭の練習の間は出来るだけ私と真琴でフォローしますから、その間に別の案を考えてください。さすがにそれ以上はお手伝いはしませんよ? 私も真琴もあくまで中立でいるつもりですから」


と言いました。すると、


「……すまん。恩に着る」


丘神さんは少し考えた後、私に軽く頭を下げてそう言いました。これで少しは積極的になってくれるでしょう。私は丘神さんに一言告げてから席に戻りました。京さんにも勉強以外でも頼りになる男性が中山さん以外にもいることを知っていただきたいですしね。このまま京さんが自身の気持ちを自覚してしまうとそのまま中山さんに依存してしまいかねないですからね。今も中山さんとどれだけ喧嘩していてもすぐに中山さんの話を信じてしまうくらいには信じきってしまっていますし。京さんにはもう少し視野を広くしていただきたいところです。

そんなことを考えていると、丘神さんがクシャミを2回していました。そのときに真琴の視線が丘神さんに向いていることに気が付きました。つまり、そういうことなのでしょう。


「おーい、おまえらー。席に着けー」


丘神さんのクシャミの原因がわかったのとほぼ同時にそう言いながら牧野先生が教室に入ってきました。なので私は最初の授業の教科書類を出しながらこれからの予定を頭の中で立て始めました。


さて、まずは練習のときにどうセッティングしましょうか。

文化祭のときの展開の前準備的な話を1つ入れ忘れていたことに気が付いた作者です。

次話は文化祭練習になるのですが、その話が一段落ついた後に本編としてか章間としてかはわかりませんが、その話を入れる……はずです。


最後に、優花は出来るだけ平等にチャンスを与えるという意味で中立的な立場でいようとしています。真琴はまぁ……、楽しんでチャチャを入れようとしているかもしれませんが。

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