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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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102話 テスト勉強②

遅くなってしまい、すみません(・ω・`)


暑さとエアコンや扇風機の風に滅法弱い作者はこの時期になると朝起きるときにはすでに体力を半分以上使い果たしてしまっているんですよというよくわからない言い訳を1つ。

何かエアコンや扇風機を使わないで暑さを抑える方法とかないですかね……。

「こんな喫茶店があったんだね」


勇輝のオススメの喫茶店に入り、まずはお互いにどこがわからないかを見直そうということになって暫く勉強していたんだけど、僕は思わずそう呟いたんだ。

いや、なんていうかね? すごいんだよ? この喫茶店ではこうやって勉強を推奨しているのかどうかはわからないんけど、僕たち以外のお客さんもほとんどが学生で勉強をしているんだよね。それだけだったら図書館で勉強しているときみたいに静かで息苦しいものになると思うじゃない? でもこの喫茶店は全然そんなことなくて、集中出来るようにだろうけど、何かのたぶんクラシックなのかな? の曲のピアノアレンジっぽい曲が流れているんだ。それに喫茶店自体も吹き抜けになっているから解放感があって息苦しさなんて全然感じないんだよね。だからすぐに勉強に集中出来たんだ。それで1教科だけだけど、一通り見直しが出来た僕は気が付くとそう呟いていたんだよね。するとその呟きは勇輝の耳にも届いたみたいで、勇輝も動かしていた手を止めて


「いいところじゃろ? 適度に話し声もあるから図書館みたいな堅苦しい雰囲気もないしのぅ。他にも客が作業に集中出来るように工夫されておるんじゃよ」


少し自慢気に鼻の下を人差し指で擦りながらそう言ってきたんだ。僕はその勇輝の様子に笑みをこぼしていると、


「ところで、どうやら一段落ついたようじゃが、何かわからんところか困ったところは出て来たかのぅ?」


勇輝はそう言って僕が何の教科の勉強をしているかを見て来たんだ。それで僕が今勉強している科目が生物だと知った勇輝は


「暗記系か……。京は普段は暗記はどのようにしておるんじゃ?」


僕にそう問いかけて来たんだ。


「どのようにって……。暗唱しながらひたすら書くだけだけど……」


僕はそれにそう返したんだよね。すると、


「ふむ……。それだと1つオススメの暗記があるんじゃが、試してみる気はないかのう?」


と勇輝が聞いてきたんだ。


「え? ほんと?」


僕は反射的にそう聞き返していた。正直、暗記系はあんまり得意じゃないしね。覚えたら覚えた分だけその前に覚えたことがうろ覚えになっちゃって中々全部を覚えることが出来ないし……。今までも色々と試したけど、結局身につかなくて元のごり押しに戻っちゃったもん。だからこそ僕よりも成績が良い勇輝なら僕じゃ思いつかない暗記方法を知っているかもしれない。期待を込めて勇輝の答えを待っていると、


「あぁ。と言ってもこれも向き不向きがあるから絶対に京に合うとは限らんから合わないと思ったら素直に言っておくれ」


と言ってからおもむろに勇輝は僕にノートを渡してきたんだ。なんだろうと思いながら受け取ってノートを見ると、


「うわぁ……」


ノートの中はすっごくキレイにまとめられていたんだよね。僕じゃ到底出来なさそうなキレイさに僕は思わず感嘆の声を漏らしていたんだ。ノートってこんなに見やすく作ることが出来るんだと思いながらページをめくっていると、どのページも大きく1つのことが書いてあって、そこから矢印で色々な方向に単語が繋げられていたんだよね。これはどういう意味なんだろうと、この書き方の意味を考えていると、


「これはメモリーツリーという中心となる事柄を軸にそこから関連付けさせて覚えていくという手法なんじゃ。これのいいところは関連付けさせて覚えられるから、万が一ド忘れしてしまったとしても他の関連しているところから思い出しやすいという利点があるんじゃよ。例えば……」


そう言いながら勇輝は新しいルーズリーフを取り出したんだ。そして


「こうやって中心にセミと書くじゃろ? そうして下に矢印を伸ばして幼虫と書く。その横には幼虫の期間である3~17年と書くんじゃ。それでそこから横へと矢印を伸ばして成虫と書いて、その横に1~2週間と書くんじゃ。そうすればかなり大雑把になってしもうたがセミの一生はこれで終わりじゃの。それで今度はセミの種類を書いていくんじゃよ。アブラ、クマ、ミンミンといったようにの。それでその種類の特徴を書いていくと……」


勇輝はそう言いながらどんどんと書き加えて言ったんだ。その手際のよさに「おぉー」と再び感嘆の声を出していると、


「……とまぁこんな感じじゃ。教科書を見ながらじゃないから下の生態についてが少ししか書けておらんから少々頭でっかちになってしもうたが、こうやって一つ一つ覚えるのではなく、まとめて覚えることが出来るから覚えやすくて思い出しやすいんじゃよ。もちろんそのノートの中にはこんな未完成の見栄えが悪いものじゃなくて、しっかりと完成したやつがあるからそれを見てくれれば生物のテスト範囲を補えるはずじゃ」


一区切りがつくまで書けたのであろう勇輝はそう言って締めくくったんだ。勇輝は不出来な未完成だって言うけど、僕からしたらこれだけでも十分見やすいんだけど……。ま、まぁそれはともかく、勇輝の言う通りこれは一度作ってしまえばすごく見直しやすいし、これなら作ってる間にも多くのことを覚えられそう。

そんなことを考えていると、


「ただ、これは慣れるまでは作るのにも時間がかかってのぅ。じゃから本来は授業の復習がてらにメモをしていって……、それである程度たまったところでこの形に持っていくってのがいいんじゃよ」


勇輝は最後の方が少し言い辛そうにしながらもうそう言ってきたんだ。まぁ、勇輝は慣れているからこそ今だってすぐに作れたんだろうけど、慣れていなかったら1つ1つ確認しながら作らないと駄目だろうからすっごく時間が掛かって間に合いそうにないもんね。作れはするだろうけど、それだけでテストまでの時間が終わっちゃいそう。今回のテストには間に合いそうにないけど、次の中間テストのときには使ってみようかな? 勇輝が今即席で作ってくれたのを見ていた限りだと自由度も高そうだし、色々工夫の仕方を考えながら自分なりのものを作れば面白いかも? そんなことを考えながら、このノートを勇輝に返しても暗記方法を忘れないようにと、書き方を思い浮かべながらじっと見ていると、


「そんなに穴があきそうな程じっと見ておらんでも取り上げたりせんよ。それよりもこの方法が気に言ってくれたのなら、このノートを貸そうかのぅ? 実物があった方がわかりやすいじゃろ?」


勇輝は僕にそんな提案をしてきたんだよね。


「え? でもそれだと勇輝がテスト勉強出来なくなるんじゃ……」


だけど、このノートに書かれている内容はどう見てもテスト内容だし、僕に貸しちゃったら勇輝が勉強出来なくなると思った僕がそう返すと、


「大丈夫じゃよ。その内容は粗方覚えておるしの。ただまぁ……、やはり最後の見直しはしておきたいからテストの前日に返してくれると助かる」


勇輝はそう言ってくれたんだ。最後の方はあえて恰好をつけないようにするかのようにそう言ってきたけどね。僕は思わずクスッと笑みをこぼしてから


「うん。ありがとう!! 勇輝には悪いけど、少しの間借りるね? もちろん大切にするから!!」


嬉しさの余りに勇輝のノートを胸で抱きしめながらそう伝えたんだ。もちろん中が折り曲がらないように閉じてからだよ?


「あぁ……、うん。そのじゃな……。京が喜んでくれたのなら何よりじゃよ」


だけど、勇輝は何故か片手で顔を覆いながら途切れ途切れにそう返して来たんだ。どうしたんだろ? もしかしてノート曲がっちゃった!? そう思った僕は急いで胸に抱いていた勇輝のノートを掲げてノートの様子を確認していると、


「ノートはどうもなっておらんから大丈夫じゃよ。それよりもじゃな……あー……。すまん、ちょっと顔を冷やしてくる」


勇輝はそう言い残してお手洗いに向かっちゃったんだよね。顔を冷やすって別にこの喫茶店の中は全然熱くないよね? なぜ勇輝がそう言って席を立ったのかがわからなかった僕はノートが本当に曲がっていないかを確認しつつ勇輝を見送ったのであった。

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