99話 始業式④
更新が遅くなってしまい申し訳ありません(・ω・`)
大筋は決まっていても、いざ細部を書こうとすると全く書けないってことはよくありますよね?
え? ないですか? すみません……(・ω・`)
そ、それはともかく、月曜日に活動報告にて京と健吾の関係修復の話の最終話をあげましたので、そちらもお読みいただければ幸いです。
「一緒にテスト勉強をせんか?」
勇輝がそう言ってくれたんだけど、
「いいの? 僕としては願ってもないことだけど、勇輝のためにならないんじゃ……」
勇輝のことだからもう最低限の復習で十分なくらいには勉強していそうだしね。だからこそ好意に甘えて勇輝の試験勉強を邪魔しちゃ駄目だと思った僕はそう返したんだ。だけど、
「そんなことはないから安心せい。昔からよく言われておることじゃが、人に教えるというのは案外教えた側の方が身につくもんじゃ。じゃからそんなことはないとは思うが、俺が一方的に京に教えることなってしもうたとしても、それで俺は復習出来るから問題無いんじゃよ。それ以外にも……まぁ色々あるが、そんなわけで俺のためにならないことなんて何もないんじゃ」
勇気は肩をすくめながらそう言ってきたんだよね。最後に何か言おうとしていたみたいだったけど、途中で誤魔化していたんだよね。言わなかったってことはそこまで重要なことでもないだろうし、別に聞かなくてもいいよね、うん。まぁ、聞いたとしても教えてくれないだろうし……。
そんなことを考えていると、
「あっ、京!! 試験勉強……」
後ろから真琴が呼んできたんだ。ただ、その後少し待ったんだけど続きの言葉がなかったんだよね。だから僕は何だろうと思いながら後ろに振り返って、
「どうしたの?」
真琴に用件は何かを尋ねたんだ。だけど、真琴は僕の問いには答えないで、片手を中途半端にあげた状態で立ち止まっていたんだよね。一体何をしているんだろうと思って首を傾げていると、真琴は中途半端にあげていた腕を組んでうんうんと頷いてから、
「ほーほー。なるほどね。これはお邪魔だったかしら?」
僕に向けていた視線を勇輝の方へと変えながらそう言ってきたんだ。そのときに真琴の視線の動きに釣られて勇気の方へ振り返ると、勇輝は何故か顔を赤くして狼狽えていたんだよね。どうしたんだろうと思って様子を窺っていると勇輝はくるりと体ごと回転させて僕たちに背を向けたんだ。
「……勇輝どうしたの?」
明らかに様子がおかしい勇輝に問いかけると、
「いや、京。何でもないんじゃ。少し待ってくれたら大丈夫じゃから気にせんといてくれ」
勇気は僕たちに背を向けたまま首を横に振って返事をして来たんだよね。勇輝の様子は気にはなるけど、待っていれば大丈夫だと言っていたし待っていればいいかなと考えていると、
「ふぅーん」
真琴が僕の方に意味深そうな笑みを浮かべながら見ていることに気がついたんだ。なんだろうと思って見返すと、
「勇輝に……京……ねぇ」
真琴はニヤニヤしながらそう呟いていたんだよね。そして
「いつの間に2人は呼び捨てで呼び合う仲になったのかしら? てっきり中山君とだと思っていたのに丘神君とだとはねぇ」
そんなことを言ってきたんだ。
「えっと……? それってどういう意味? 何で健吾の名前が出てくるの? それに男の子と仲良くなったら呼び捨てで呼び合うものじゃない?」
だけど真琴の言っている意味がわからなかった僕は首を傾げながら返すと、真琴はポカンとした表情を浮かべてから、はぁと溜息をついてきたんだよね。真琴の質問に答えたにも関わらず溜息で返された僕は
「いや、何で急に溜息をつくの?」
思わずムッとしながらそう返したんだけど、真琴はそれがまるで聞こえていないかのように
「はぁ……。やっぱり京は京よね。あのときに中山君と仲が進んだと思ったのに丘神君との仲も進展しているからおかしいと思ったのよ……」
独り言のようにそう呟いて脱力していたんだ。ただでさえ質問の返事を溜息で返されたのに、そんな態度まで取られたことに抗議の声をあげようとしたんだだけど、その前に
「どうしたんですか?」
優花ちゃんが僕たちに声を掛けてきたんだよね。
「あのね? 真琴が僕と勇輝ことについて聞いてきたからただ仲良くなっただけって言ったら溜息をついてきたんだ。真琴から聞いてきたのにひどいと思わない?」
まだ現状を知らない優花ちゃんを仲間に引き入れるために僕は簡潔に状況を説明したんだ。真琴も僕だけじゃなくて優花ちゃんにまで言われたら真琴が間違っていると思ってくれるだろうしね。だけど優花ちゃんが何かを口にする前に
「京は丘神君と『友達として』仲良くなっただけらしいわよ」
と真琴が友達としての部分を強調しながら口を挟んできたんだ。すると
「あぁー……。大体の事情はわかりました。京さんには申し訳ありませんが、私からはお2人に言えることはなさそうですね」
優花ちゃんは何かがわかったみたいで、1つ頷いてからそう言ってきたんだよね。僕の援護をしてくれるものだと思っていた僕は
「え? 何で!?」
ついそう言っちゃったんだ。すると優花ちゃんは少し困ったような表情を浮かべながら
「えっとですね……。私の言葉では京さんは納得出来ないかもしれませんが、私もどこまで教えてもいいのかわからなくて……。そこのところはどうなのですか?」
僕の後ろへと視線を向けてそう言うと、
「そこは勘弁してもらえんかのぅ。いずれ俺か中山からは話すときは来るじゃろうが、他のやつから言われてしもうたら俺らの面目が丸潰れしてしまうからの」
その声に応えるように僕の後ろから勇輝の声が返ってきたんだよね。僕は後ろへと振り返り、
「ねぇ? 真琴といい、勇輝といい、どうして健吾の名前が出てくるの?」
勇輝にそう問いかけると、勇輝は頬を人差し指でかきながら、
「そのじゃな……。それについては本当にいつか絶対話すから待っていて欲しいんじゃ」
と言ってきたんだ。あれ? この言葉と似た言葉ってつい最近聞いたことがあるような……? どこで聞いたのかを思い出そうとしていたんだけど、
「それよりも……じゃ。京は実力テストの対策が必要じゃろ?」
思い出すよりも早く勇輝が僕にそう言ってきたんだ。勇輝に言われた通り、今の僕にとって一番大切なのは実力テストの対策だよね。ある程度の点数を取らないと補講の対象になりかねないし……。そう思った僕は思い出すことを早々に諦め、
「うん、そうだね。それじゃあ早く始めないとね」
勇輝にそう返したんだ。すると勇輝は頷いてから、
「そうじゃな。それで……あー……」
勇輝は真琴たちの方に向いてから何やら言いにくそうにしていたんだよね。真琴と優花ちゃんは呆れた表情を浮かべながら
「はいはい。あたしたちはあたしたちでするから気にしなくていいわよ」
「えぇ。さすがにお2人の邪魔をするつもりはありませんし」
勇輝にそう返していたんだ。
「え? 何で? みんなで一緒にした方が楽しいし、一緒にやろうよ?」
2人がなんでそんな言葉を勇輝に返したんだろうと思いながら一緒にやろうと提案したんだ。だけど今度は真琴と優花ちゃんに溜息をつかれたんだよね。真琴だけならまだしも、優花ちゃんにまで溜息をつかれてしまった僕は何か間違ったことでも言ってしまったのかと狼狽えていると、
「いや、その……なんじゃ。京が望むのなら俺はそれでも……」
勇輝の力無い声が返ってきたんだ。勇輝にまでそんな反応をされてしまい、本格的に何かしてしまったのではないかと思い始めていると、
「いやいやいや、そこは無理しなくていいから。折角丘神君が勇気を振り絞って京を誘ったんでしょ? そこは自分の意見を通しなさいよ」
「そうですよ。それに京さん。私たちもご一緒させていただいたら女子の方が多くなってしまいますから丘神さんには何をするにも少々厳しいかと」
真琴が勇輝の言葉に返事をして、優花ちゃんが僕にそう言ってきたんだ。確かに優花ちゃんたちと一緒に勉強したら勇輝が辛いよね……。今でこそ大丈夫だけど、中学のときは女子と一緒になるかするっていうだけでいつも以上に相手に気を使ってしまって終わった後の脱力感がすごかったし。
「勇輝ごめんね?」
ようやくそのことを思い出せた僕は勇輝のことを何も考えられていなかったことに対して謝ったんだけど勇輝は
「いや、いいんじゃ。それよりも京はいいのか? 京が篠宮たちと勉強したいのなら俺は一向に構わないんじゃが」
それでも僕に気を使う言葉を投げかけてくれたんだ。僕はそれに頭を左右に振ってから
「ううん。折角勇輝が誘ってくれたんだから一緒に勇輝と勉強したいしね。だから真琴と優花ちゃんは誘ったんだけどごめんね? また今度お願いしてもいいかな?」
そう言い、そのまま続けて真琴たちには断りの言葉を入れたんだよね。すると真琴は
「はいはい。さっきも言ったけど、あたしたちはあたしたちでするから気にしなくていいわよ。それよりもさっきから話を聞いている限りじゃ京は実力テストの勉強を全くしていなかったみたいだし、折角なんだから丘神君にしっかり教わって来なさい?」
肩をすくめながらそう言ってきたんだ。それに僕は
「あはは……。うん。そうするよ」
苦笑いをしてから頷いて返すと、
「さて、それじゃあさっさと移動することにするかの? 時間も有限なんじゃし、早いとこ勉強場所を確保せんことには始めることも叶わんからのぅ」
勇輝がこれでこの話は終わりだという風にそう提案してきたんだ。最初は教室でするのかなとは思っていたんだけど、教室だと他の人も居て集中し辛いもんね。みんながみんな教室で試験勉強をしているわけでもないし。そう考えると勇輝の言う通り違う場所を探した方がいいよね。そう思った僕は勇輝に
「そうだね。それじゃあ移動しようか」
と返し、真琴と優花ちゃんに別れを告げてから勇輝と一緒に教室を出たのであった。
タイトルは始業式のままにするか、その次の話になるかを悩みましたが、まだ教室から出られなかったのでタイトルはそのままにすることにしました。




