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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
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91話 戻る心

もはや何度目かはわかりませんが、

今回はワリと難産でしたので、

読みにくいかもしれません(・ω・`)

「んっ……」


目を覚ました()は視界に広がる目が覚める前に(・・・・・・・)見ていた天井と全く同じ天井を見ながら


「ここは病院……だよね? ってことは今まで見ていた夢は……」


本当だった……ってことはないよね? とポツリとそう呟いたんだ。


そう、今呟いた通り、僕は今まで夢を見ていたんだ。しかもハッキリと覚えている夢を……。

普通の夢ならばほとんど覚えていないし、覚えていてもすぐ忘れると思うんだけど、ついさっきまで見ていた夢はさも体験してきた(・・・・・・・・)かのように覚えているんだよね。


でもでも、普通に考えたらおかしいよね? 僕が私って言っていたり、健吾とデートをしちゃったり……。それに……、その……、健吾にあんな気持ちを抱いちゃうなんて……。


いやいやいや、少しばかりリアル過ぎる気がするけど、きっと夢だよね! 夢だったとしても何であんな夢を見ちゃったのかはわからないけど、何かの気の迷いがあっただけだよね! うん!!


覚えちゃっているけど、実際にした記憶はないんだから夢に違いないと、乱れた心に言い聞かせるようにしたんだ。いや、間違っても現実だったってことがないことを願って言い聞かせたんだ。


だって、だってね? もし今まで見ていた夢が現実だったとしたらね? 僕が健吾にキ、キスをしちゃったってことになるんだよ? 口にじゃなくてほっぺにだったけどさ? いや、そういう問題じゃなくてっ!! 僕が健吾にしっちゃったのが駄目なんだよ!!


健吾も()なんかにキスされて気持ち悪かったに違いないしね。いや、もちろん夢の中の話だけど、それでも健吾が男にキスされることが万が一に気持ち悪くはなかったってことが……あって欲しくはないけど、それでも万が一があったとしても間違っても気持ちいいなんてことはないだろうし。


……うん、やっぱり夢だったんだよ。きっとこの病院にいるのもあの旅行で倒れたから……って、そうだよね。あのとき藤林君に追いかけられたときに、すぐに健吾たちのところに戻っていれば、それか青木君に話しかけられたときに相手にせずにそのまま逃げていれば海老菜さんに捕まらなかったのに。


……あれ? 海老菜さんに捕まってからどうなったんだっけ? 確か健吾や真琴、小野君が来てくれたのは覚えているんだけど……。それからのことを思い出そうとしても何かもやがかかったみたいになっていて上手く思い出すことが出来ないんだよね。ただ、あのときに僕は意識を失っちゃって、気がついたら病院(ここ)に運ばれていたってことは確かだよね。


みんなに心配かけっちゃったし、退院したら謝らないとだね。特に真琴や優花ちゃんたちには文化祭の出し物の練習が出来なかったって意味でも迷惑をかけちゃってるしね。


そこでふとどれくらい練習に参加出来ていないのかが気になった僕は病室に置いてある電波時計を見たんだ。するとそこには


「えっ……?」


旅行の最終日から約1週間経過した日付が記されていたんだよね。だから思わず二度見したんだけど、そこには今確認した日付と同じ日付が刻まれていたんだ。


そう、1週間というと数日寝込んでいたと仮定すると丁度そのくらいの日数なんだ。いやいや、何でも関連付けるのはよくないよね。


良い出来事でというわけではないけど、折角今一番気にしていることから意識を逸らせれたと思ったけど、何かあるとすぐに結び付けちゃうのは駄目だよねとさっき思いついたことを消し去るようにと顔を左右に振ったんだ。


ただ、そのときに否定しようと思う気持ちが強かったのか、身体も無意識にだけど顔の動きにつられるように動いていたんだよね。そして



カサリ――



と手に何かが当たったんだ。


予期せぬものが手に触れたから、僕は思わず体をビクッと跳ねさせながら、何かが触れた手を急いで胸元へ引き寄せたんだ。


予想外の出来事に動機が激しくなったんだけど、深呼吸を繰り返して何とか落ち着かせた僕は恐る恐る何が触れたのかを確認するために手が触れた方向に視線を動かすと、


「あっ……」


夢の中で(・・・・)見たことがある小包が置いてあったんだ。いやいやいや、何であるの!? 夢じゃなかったの!? いや、偶々あるだけだよね! ……だよね?


まさか中身まで一緒ってわけじゃない……よね?


夢の中で健吾にもらったヘアピンまでこの小包の中に入っていたら、それってつまり夢じゃなかったってこと……じゃ……?


今まで見ていた夢が夢であることを確認するために、僕は意を決して小包を手に取り、中身を確認するとそこには、やはり夢で健吾にもらったヘアピンが入っていたんだ。


「……夢じゃなかった?」


ここまで夢だと思っていた――思いたかった――ことが一致しているってことはつまりそういうことだよね? ってことは僕は健吾に……


しちゃったことも現実だということがわかったと同時に僕は顔に熱が集まるのを感じたんだ。


うぅ……、これから健吾にどんな顔をして会えばいいんだろう? あんなことしちゃった罪悪感と恥ずかしさからまともに顔を見れる自信がないよ……。


きっと怒っているよね……? いや、怒るだけじゃなくて軽蔑しているかも……。 どうやったら謝ってら許してもらえるだろ? 絶対に許さないって言われてしばらくはまともに口をきいてくれないかもしれないけど、いつかは軽い挨拶くらいはしてくれるくらいには許してもらえるかな?


そんな風に健吾に許してもらう方法を色々と考えようとしていたんだけど、気が付くと僕は唇をなぞるように指を当てていたんだ。


健吾に……しちゃったんだよね。


確かに口にではなかったけど、それでもしちゃったことには変わりがないよね。


健吾は間違いなく気持ち悪がっているだろうけど、僕自身はどうなんだろう? 僕も嫌だったはずだよね……? そのはずなのにこの気持ちは何なんだろう?


嫌悪感とは違う、今までに感じたことがない気持ちについて考えないようにするためにさっきまで考えようとしていた健吾への謝る方法も頭からすっかり抜けて戸惑っていると、


コンコン――


とノックする音が聞こえたんだ。


誰が来たんだろうって思ったんだけど、一瞬健吾の事が頭を過ったんだ。もし本当に健吾だったらどうしよう? まだどんな顔をして会えばいいのかもわかっていないけど、ここは病室だから逃げる場所がないんだよね……。


逃げられないと悟った僕は覚悟を決め、


「はい」


と返事したのであった。

京が健吾の頬にキスをしたことがわかっているのは

どこかの誰かさんによるお節介によるものです。


それで戸惑う京を見たいためにしただけかもしれませんが……。

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