表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
109/217

章間⑱-1 悪夢の始まり4-1

今回は真琴視点です。

本編の補足的なつもりです。


あと、ついにブックマークが500件を超えました(・ω・´;)

読者の皆様、本当にありがとうございます(*´ω`*)

これからもゆっくりな更新だとは思いますが、

気長に待っていただければ幸いです。

「ふぅ……」


何とか上手くいって、海老菜も気絶させたあたしは思わず目を息をはいていた。


いやぁ、やっぱり保証なしで博打を打つのって緊張するわね。中山君とも突入する前にいくつか打ち合わせをしたかったんだけど、いきなり走りだしちゃうんだもの。確かに京がさらわれたことで内心穏やかじゃないのもわかるし、あたしももちろんすっごく腹が立っていたわ。だけど、こういうときだからこそ落ち着いて行動しなきゃいけないのよ。恐らく相手はあたしたちよりも人数は上。だから無策に突撃してもあたしたちが不利になるだけ。それなのに……。


まぁ、こうやって無事だったから、このことで攻めるのはやめてあげましょうかな。ほんと谷村君と別れる前に、丘神君たちとの分岐ポイントまで戻っておいてもらって正解だったわ。思ったよりは持っていてくれたんだけど、中山君が抑えられて京が再び人質に取られたときはもうダメかと思ったんわ……。丁度そのときに谷村君と合流して、ここまで案内してもらったのであろう空元や村居さんたちが到着したのは本当に助かった。丘神君も思っていたよりもずっと強いみたいだったし、うれしい誤算が続いて、無事にこの場を制圧することが出来た。


とまぁ、上手く行き過ぎた気もしなくもないけれど、何とか全員無事(・・・・)で切り抜けることが出来たのよ。……って、あたしって誰に説明しているのかしら?まぁ、いいわ。それだけギリギリだったってのもあって、あたしも精神的に疲れているのよ、きっと。


本人は気付いているかはどうかはともかく、本当にギリギリのことをさせられたんだから、からかうくらいはしてもいいわよね?


そう思った私はパンパンと手を叩いてみんなの注目を集めた後、


「それじゃあ、中山君。さっさと京を縛っているものを解いてあげなさい?」


中山君に『今回は貴方が騎士(ナイト)なんだからね?』という意味を込めて、顔をニヤニヤしながら言ってやったのよ。丘神君には少し悪いことをしたかなとは思ったのだけど、真っ先に駆け付けたのは良し悪しはともかく中山君だったんだから、丘神君には我慢してもらうことにしましょう。


無事にあたしの意思は中山君に伝わったみたいで、少しバツが悪そうに頭の後ろをかきながら、


「そうだな。みんなすまない。それじゃあ京、もう少し我慢していてくれ」


京にそう言って後ろで縛っていたもの――おそらく紐――を解き始めたのを見たあたしは、ようやく一段落がついたと思って、目をつぶってもう一度息をはこうとしたんだけど、丁度そのときに




カラン




という、金属が地面に擦れるような音が聞こえたの。その音に嫌な予感がしたあたしはすぐに目を開けたんだけど、


「がっ!?」


すでに藤林に中山君が金属バットで殴られた後だった。失敗した。しっかりあいつも本当に気絶しているかどうか確認するべきだった。いや、今は後悔して立ち止まっている場合じゃない!


そう思ったあたしはすぐに動いて全力で藤林の顔を蹴飛ばした。チラッと藤林が吹き飛んだ方を見たんだけど、ピクリとも動いていないからもう大丈夫でしょう。小野に見ておくようにアイコンタクトを送ったら、小野も反応出来なかったことに後悔しているような顔をしていたけれど、無事に伝わったみたいで頷いてくれた。

それを確認したあたしは中山君の無事を確認するために中山君が倒れた方をみたんだけど、あろうことか京のやつ、何かを呟きながら中山君の身体を揺らしていたのよ。あの馬鹿!!こういうときは頭を動かしたらダメなのに!!

丘神君も同じことを思っていたみたいで、


「いかん!京さん、中山の身体を動かしたらだめじゃ!!」


って言っていたんだけど、京の耳には届いていないみたいで、揺らすことをやめなかった。これは実力行使するしかないと近づこうとしたら、京が頭を直接揺らそうとし始めていたのよね。さすがにそれはいけないと思ったあたしは急いで京を後ろから羽交い絞めにして中山君から離したのだけど、京はそのことも気に留めず、ただ中山君に向かって手を伸ばしていたのよ。京は必死にしているんだろうけど、京の力じゃあたしからは抜け出すことも出来ないこともわかっていたから、あたしは京から意識を離し、中山君の安否の方に意識を向けていると、


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


近い距離で叫び声が聞こえたと思ったら、急に京が脱力したの。


「えっ!?ちょっ!?」


落とすわけにもいかないから、急いで持ち直したんだけど、あたしの内心はかなり慌てていた。京がそんな叫び声(・・・・・・)を上げるとも思っていなかったし――京の声だと一瞬わからなかったし――、気が動転しているだけで抑えていたら少しは落ち着くとも思っていたのもあって、意識を失うのは想定外だったわ……。

どうしたらいいのか判断がつかずに、京を落とさないようにと持ち直していると、


「頭の中で整理しきれなくなったんじゃろう。そこに寝かしておいてくれるかの?京さんには悪いが仕方あるまい」


丘神君がそう言ってきたのよね。そうよね、ただ寝かせればよかったわね……。


「こほん。そうさせてもらうわ。それよりも中山君はどうだった?」


私は居心地の悪さを誤魔化すために軽く咳払いをして京を寝かせた後、中山君の安否を尋ねるために丘神君に聞いたの。すると、


「病院に行ってみないとやはり詳しくはわからんが……。少なくても命に別状はないはずじゃ……」


少なくても生きてはいることは教えてくれた。さすがにそれ以外のことはわからないわよね。


「……とりあえず救急車を手配すればいいのかしら?」


こういうのは出来るだけ早い方がいいものね。そう思って携帯を取り出そうとしたんだけど、


「いや、それは服部さんがしてくれておるはずじゃから、もう少ししたら来るはずじゃが……」


優花がすでに呼んでいると言われてしまったあたしは大人しく携帯を戻したんだけど、丘神君が中々に表現し辛いような表情をしながら優花の方を見ていたのよね。何事だろうと思って優花の方を見ると、


「ふふふ……。京さんを無事に取り戻せましたので、私の出番がなかったですが、大人しくしていようと思っていたのに……。こんなことをしてしまうのですね……。どうしてあげましょうか」


優花は全面的に黒い笑みを出しながらそんなことを呟いていた。あれはダメだわ。あれは完全にキレてるわ……。今回は物理的な面が強かったから優花の出番も少なくて、大分たまっているだろうし。……うん、もうこれは色々な意味でこいつら終わったわね。


優花の出番は長くても救急車が来るまでだろうから――こんなことをしたあいつらに同情するつもりはないけれど――あたしは救急車の早急な到着を切に願ったのであった。……もちろん京や中山君に出来るだけ早く病院に行ってもらうためよ?


もう1話続きます。

視点は変わるかもしれませんが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ